ユートピア~セイレーン~
セイレーン目線です。
フェルミナの言ったとおり、元気さんはいい人だったし、ベイビーちゃんも凄かったわ!
私はトリトルちゃん達の為にユートピアに行って、魚人達の為にお仕事をしなくちゃ!
でも……ユートピアって何処かしら?……来る途中にあった町で聞いてみるのが良いわね!
家の前の林道を抜けて右側には入り口が無かったから左に行けば良いわよね?……それにしてもこのスラックスってお靴は良いわね……足が痛く無いわ……来る途中は石を踏むと痛くて泣きそうだったもの……。
あの門番の兵士に聞けば良いかしら?
「あの~。ユートピアに行きたいのですけど……。どうやって行けば良いのですか?」
「ユートピアですか?……ずいぶん変わった格好をしていますが……どちらから?」
「どちらから?あちらから来ました」
「いや……。来た方向では無くて……。何処からいらしたのかが聞きたくて……」
「あ!そうなのですね……。私はアトランティスから来ましたのよ!ユートピアに行ってお仕事をしないといけないのです!」
「ア、アトランティス……。ユートピアでお仕事ですか?……お仕事とは……」
「フフフ……。私達人魚に手を出したら、天罰を下すと言わなければならないのです!あなたも手を出しては駄目ですよ?」
「て、天罰!?……あ、貴女様のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「あ!申し遅れました!私はセイレーンと言いまして、凪の女神をやっております。アトランティス初代王の妻です。怪しい者じゃありませんよ?」
「そ、そうですか……。ちょ、ちょっとお待ちを……」
どうしたのでしょうか?あの兵士さん笑顔が固まって居ましたが……。気分が悪いのかしら?
「お、お待たせしました!ユートピアにはこの門から道なりに真っ直ぐ行くと、トンネルが見えて来ますのでソレを抜けて真っ直ぐ行くと見えます!」
「まぁ!ありがとう御座います!……お礼をしたいのだけど……私、今何も無くて……」
「い、いえ!大丈夫です!仕事ですので!」
「そう?……あ!では少しの祝福を……」
この者に静かなる生活が訪れます様に……。
「こ、これは……」
「フフフ……。安眠のおまじないですよ。お顔が少し疲れて居る様でしたので、よく眠れる様になります」
「あ、ありがとう御座います!」
「いいえ。お仕事頑張って下さいね」
「はい!」
あんなに喜んでくれるなんて、嬉しいわ!アトランティスの人達は夜も寝ないで鍛錬鍛錬で、私の祝福を嫌がる人ばかりだったもの……。
「お~い!お姉さん……。乗って行かないかい?……神様って事は元気の知り合いだろう?」
「ミ、ミールそんな気安く失礼でしょ!?」
「フフフ……。神様と言っても私何も出来ないもの……いいのよ。じゃあ少しお願いしようかしら……。でも荷物が重そうよ?私も一緒に押すわ!」
「そ、そんな神様にお手伝いさせるなんて!」
「いいのいいの!私って結構力持ちなんだからね!」
フフフ……可愛い子達ね、親切でとっても良い子。ミールとアルトって言うのね。元気さんの知り合いかしら?結構重いわね……これを毎日二人で……。偉いわ……。
「はい、到着!これからどうするのセイレーンさん?」
「セイレーン様でしょミール!」
「フフフ……。良いのよアルトちゃん。男の子はそうで無くちゃね。やんちゃなくらいが丁度良いのよ」
「やんちゃって……。げ!。……行くぞアルト……急げ!……じゃ、セイレーンさんまたね!」
「ミ、ミール待ってよ!セイレーン様!お手伝いありがとう御座いました!」
「いいえ~。フフフ何て可愛いのかしら……えい!」
祝福をあげちゃう!……あの子達に波風の立たない平和な日々が訪れます様に……。
白い清潔感のある綺麗な町ね……。水の音がそこら中からする……。何だか落ち着くわ……。
「貴女が、アトランティスから来たセイレーン様ですか?」
「ひゃ!」
「あ、いや。失礼……驚かしてしまいまして……。俺は……私は騎士団長のグレイと申す者でこの町とアルカンハイトの警備を担っている者です」
「いえいえ、こちらこそ初対面で驚いてしまって失礼しました……。アトランティスから来たセイレーンです。ベイビーちゃんから頼まれたお仕事でこの町にやって来ました!」
大きな毬藻が喋ってる様で驚いたとは言えません……。
「ベイビーちゃん?あぁ……ポタンの事ですかな……、出来れば内容を聞きたいのですが……これ、グレイス……裾を引っ張るな……」
「あ、貴女……本物の人魚のお姫様なの?」
「フフフ……。えぇ!本物の人魚よ?お姫様ではもう無いけれどね」
「うわぁ!凄いわぁ~。ねぇ!グレイ!凄いわ!うわぁ~」
「こ、これ。す、すいません……。どうしてもお姿を拝見したいと言いまして……。ほら、じっとしてなさいグレイス……」
「フフフ……。グレイスさんは子供の様な喜び方をするのですね、とても可愛いわ……」
こんなに喜んで貰えたのは何百年振りかしら?もっと喜ばせたくなっちゃうわ……。
「フフフ……。グレイスさんちょっと見ててね」
「セ、セイレーン様何を!?」
「わぁ!水路に飛び込んじゃった!」
まぁ!なんて綺麗な水!……凄いわ地上にもこんなに綺麗な水がある場所があるなんて……。ユートピアって町は凄い場所ね!
「は、橋から飛び込むなど……。な、何と言う事を……。しかし……あれは……」
「グ、グレイ……凄いわ!……綺麗……。虹色の尾ひれに鱗……。美しすぎて……私泣いてしまいそうよ……どうしよう……どうしよう」
「あぁ……。この世の物とは思えん……波打つ羽衣も神秘的で言い表しようが無い程の美しさだ……」
ふ、二人とも褒めすぎです!恥ずかしいですわよ!……フフフ……でも嬉しい……。ポセイドンもあんまり褒めてくれなかったですもの……。あぁ……。どうしましょう?嬉しすぎて顔が綻ぶのを止められませんわ!こんな気持ち何百年振りでしょう!
「な、何だ!」「に、人魚がいるぞ!?」「うわぁ!ママ!凄く綺麗だよ!」「美しい……」「じ、実在したのか!?」「人魚さ~ん!」「こっち向いて~!」「お~い!」
何でしょう?この町の人々は……。人間も、獣人も……子供達も皆笑顔ではありませんか……。笑顔が溢れていて私も自然と嬉しくなりますわ……。そうだわ!お仕事しなければ!……今度はちゃんとするのです!
「今日は皆さんにお願いがあって参りました!」
この町なら大丈夫だと思います……。
「もうすぐ私の仲間がこの町にやって来るのですが……。皆さん……。私達と仲良くして欲しいのです……私達は……皆さんと仲良くしたいです!」
「え!本当!人魚さん達が来るの!?」「すげぇ!」「大歓迎さ!」「人魚が来るって事は美人さんが増えるって事だな!」「水路に階段を作らないとな!」「わぁ!楽しみ!」
あぁ、ローレライ……貴女が夢見た世界がここにありましたよ……。皆が仲良く暮らす平和な世界が……。
「セイレーン様……。それ……どうやって上がるんですか?水路にはまだ階段が……」
「あ……。グレイさん……。すいません……考えてませんでした……」
勢いで飛び込んだは良いですが……どうしましょう……。地上まで四メートルはありますね……。
「アハハ!セイレーン様おっちょこちょいね!誰かロープ持って来て~!」
あぁ、恥ずかしい……。橋の上から、歩道から……皆が私を見て笑っています……でも、暖かな笑い顔です……。
ローレライ……早く貴女も帰って来て一緒に泳ぎましょう……。そして、私に……罰を下さい……。あの日、貴女が連れ去られるのを見てる事しか出来なかった私に……罰を……。
ローレライは普通にいい人。そんなキャラですw
癖が強い人ばっかりなのでたまには良いかなと思いますw
セイレーンとローレライは仲良し。あの日も一緒に泳いで居ました。
次回はトリトル達の救出です。
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