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元気のピクニック⑤

元気のピクニックは終わりです。

 元の姿に戻ったリャナは、泉から出るとおもむろに服を脱ぎ始めた。


「リャ、リャナ!一体アナタは何してるの!?げ、元気ちゃん!見ていないで早く止めなさい!」


「え?……解った。母さん、家じゃ無いんだから服を脱いだら駄目だよ……。リーナさんが驚いちゃうじゃないか……」


「……そうだったわね……。じゃあ。服を速くて乾かして頂戴、寒くて堪らないわ」


「解ったよ……」


 着ていたシスター服のすそを、お腹の半分までまくり上げながら元気を見るリャナ。そんなリャナの服を元気が魔法で乾かす。元気は家の中で色々とやられ過ぎて、もうこれ位では驚かないが、しかしリーナはリャナの行動に相当驚いた様だった。


 風と熱魔法でリャナの服を乾かしながら、元気がリャナに疑問をぶつける。


「そう言えば母さん……お腹の魔石の話し聞いたんだけどさ、産まれた後ってどうするの?アリアナを育てるの?」


「え?何で私が育てるのよ?」


「何でって……え?……何で?……え?」


「助けたからって、その人の面倒見てたら、貴方の様になってしまって、毎日気楽に暮らせ無いじゃないの……私は嫌よそんなの」


「そ、それはそうだけど……」


 少しだけ、自分の甘さを自覚して来た元気はリャナに言い返せない。ちょっと先っぽだけ……のつもりが、結局ズブズブの関係になってしまっているのだ。


「まぁ。そんな貴方だからこそ皆が好きなんだろうけどね。アリアナが産まれたら孤児院に預ければいいわ。私も様子を見られるし」


「あぁ。成る程ね……。そっちの方が安心か……」


 孤児院にはミリャナもいるし、他のシスター達もいい人達だ。と元気はリャナの発言に納得し安心する。元気をイジメるリャナ二号が、将来出来上がっても困るのだ。


 元気が納得していると、リャナがいきなりパンツを脱ぎ始めた。


「な、何してるの母さん!?」


「貴方が失礼な事を考えていた様だから、お仕置きとして、ミリャナよりか先にやってしまおうと思って……」


「そ、そんなの駄目に決まってるじゃ無いか!俺の初体験はミリャナって決めてるんだから!」


「あら?でも、童貞って……女の子受け悪いのよ?どうせやるなら、経験を積んだ男の方が良いじゃ無い?元気も初心者の冒険者よりも、熟練の冒険者の方が良いでしょう?」


「そ、それは……」


 こんな感じで、元気で遊ぶのがリャナの日課なのだ。


「フフフ……。アナタ達は仲が良いのですね……良かった……。本当に良かった」


「ちょっと、笑ってないで母さんを何とかして下さいよリーナさん!」


「何とか?…………。リャナ……その子供は、私が育てたら……駄目かしら?」


「え!」


 リーナの発言に驚く元気。そして、どうにかして欲しいのは、子供の方じゃ無いんだけどと思う。


「……別に良いけれど……。彼女は人間よ?赤子は妖精の国に行くと駄目になのでしょう?」


 そう言ってリャナは、何故その事を自分が知っているのだろうか?と違和感を感じる。


「そうだけど……今の状態であれば、リャナから魔石を取り出して直接妖精へとする事が出来るわ……。お腹も大きくならないし……産む時の痛みも無いわよ?」


 リーナは、リャナの為に何かしたい。そしてリャナが育てないのならば、自分がリャナの子供を大切に育てたいと思った。そうすれば、リャナとの繋がりが消えないと思ったのだ。


「……お腹が膨らまないのも、出産の痛みが無いのも良いわね。じゃあお願いしようかしら……。本当にいいのかしらリーナさん?」


「えぇ。勿論よ。リャナ!じゃ。気が変わらない内に早速!……こんな事が出来るのも元気ちゃんが、羽根を戻してくれたおかげよ!ありがとう!」


 リーナは笑顔で羽根を大きく広げると、リャナに向かって泉の中心から飛び立ちリャナへと抱き、輝きを増した。


「……リーナさん……。魔石を取り出すんじゃ無いのかしら?」


「そうする事も出来るけど……。産む所から私が貴方の代わりに……。そして、貴方の代わりにこの子を愛したいの……」


「そう……」


 しばらく無言で抱き合う二人。抱き合う二人の姿に、先程の話を思い出した元気が泣きそうになっていると、リーナの輝きが元に戻った。


「これで良いわ……。リャナ……」


「そう。ありがとう……。リーナ……」


 リーナがリャナから離れ元の位置に戻る。それを見やるリャナ。リーナが泉の中心に戻ると、リャナは元気に向き直った。


「終わった様だし、家に帰りましょうか……」


「リーナさんとのお別れは、名残惜しいけど……。ポタン達と連絡が取れないのが心配だ……。父さんが一緒だし大丈夫……と思いたいけど……」


 本当は今すぐ飛び出したいが、何処に行けば良いのか解らない元気。フェルミナとマーリュクがセットで付いて行ったのが、もの凄く気掛かりなのだ。


「ポタンと言うのは、あの日の森の子供の事でしょう?……彼女なら無事よ。安心しなさい……。もうすぐ帰って来るわ」


「え?何で解るのリーナさん?」


「フフフ……。元気ちゃんも知ってるでしょ?念話よ」


「成る程……。良かった……」


 元気はホッと一息して思う。今度自分も念話を覚えようと。そして毎日、朝昼晩にポタンの安否の確認をしよう!と思ったのだった。


「そろそろ帰って来るハズだから、家で待っててあげなさい。私も……この娘とお家に帰るわ……」


 リーナがお腹をさすりながら元気とリャナに微笑む。そんなリーナの姿を見てリャナが口を開いた。


「私は今でも『アネモネ』の花が好きなの……。リーナ……。アナタは、まだ『マリーゴールド』の花は好きかしら……」


 リャナがリーナを見つめる。そんなリャナの発言にリーナが目を大きく見開き息を呑んだ。


「リーナ……。アナタ……」


「……やっぱりいいわ。何でも無いの……。元気帰りましょう。色々とありがとう御座いましたリーナ……。サヨウナラ」


 そう言って、リャナが家に向かって歩き始めた。


「リーナさん。本当にありがとう御座いました……。か、母さん待て!歩くの速いよ!」


 森の子供同様。妖精は産まれた時から記憶がある。しかし、リャナは孤児院で暮らす内に、妖精の世界等は無い。この記憶は夢だったんだ。と徐々に忘れて行った。


 しかし、リーナに抱擁ほうようされた時に、記憶は本当の事だったのだ。とリーナの温もりに触れたリャナは、頭では無く心で理解したのだった。


「今でも、好きよ!大好き!……愛してる!……サヨウナラ何て嫌よ!……またね!……この子をしっかり育てるから!……またね!」


 泉から聞こえて来るリーナの声を聞きながらリャナは、マザーに辛く当たったり。ハブリムを脅し学費をむしり取ったりした事。どうしようかな?と考える。


「フフフ……。母さん何か嬉しそうだね?」


「……そう?……じゃあ。後でシスターの所に一緒に連れて行ってあげる。後ハブリムの所にもね……」


「え?何で?」


「ミリャナとやる前に童貞を奪われるのと……。一緒に遊びに行くの……。どっちがいいかしら?…………言う事を聞かないと夜這いするわ」


 困った時は神頼み。教会の孤児院育ちのリャナは、神をとうとぶ生粋のシスターに育っていた。


「な、何だか知らないけど……シスターとハブリム?って人の所に一緒に行くよ……」


 訳の解らない二択を繰り出して来るリャナに、本当にしそうで怖い。と思いながらも、元に戻って良かった。と思う元気。そんな元気は、すでに妖精のお話や、出て来た人達の名前はすっかり忘れているのだった。


こうして、新たな世界を垣間かいま見る事となった元気の、不思議なピクニックは終わりを告げたのだった。

ぎゃ~!最近何かお腹がゆるゆるで寝不足!


でも書きます!ブクマをしてくれた貴方の為に!……なんちゃってw


次回はまだ決まってませんw何から終わらそうかw



少しワロタ! もっと読みたい! 心がピクリと反応した! と思われた方は、ブクマ:評価:いいね等々。よろしくお願い致します。


下の ☆☆☆☆☆ ⇒ ★★★★★ で評価できます。最小★1から最大★5です。


『★★★★★』で……元気も喜び頑張りますw



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