元気のピクニック④
リャナ復活!
元気はドライアドがリーナだという事には気付かなかったが、ある事には気が付いた。
「ドライアドさん……。キツそうだけど……大丈夫?」
「あら……。バレない様に笑顔で隠していたのに……。顔に出ちゃってたのね……。フフフ……歳を取ると駄目ね……」
「顔って言うか、ドライアドさんの鼻の穴が0,35ミリ開いてたから解ったんだよ。ミリャナがいつもそれで、他の人を心配させない様に。って気を遣うんだ」
やれやれ、まったく……。とアメリカ人の様なジェスチャーをする元気。
「0,35ミリ……?そ、そう……。私の鼻の穴が……開いてたのね?……そう……。良く解ったわね」
ドライアドが驚きながらも、ニコリとする。
「ハハッ!ミリャナは皆を心配させない為に嘘をつくから、俺がちゃんと見ておかないといけないんだ!寝るまでずっとね!」
「そ、そう……。元気も愛が深いのね……」
「え~。そんなぁ~。愛だなんて……フフフ……」
どう言って良いのか解らなかったドライアドの発言に、元気は褒められたと思い。モジモジしながら喜ぶ。
「……私は羽根が無いから……人間の姿を模してこちらの世界に居る事が難しいの……」
そう言って寂しそう微笑むドライアド。
「あぁ。羽根が無いと魔力がアレってやつか……。じゃあ……。ほいさ!」
元気は羽根が無いと魔力の制御が難しい。と言う話をなんとな~く覚えていた。
そして何となんとな~く。ある事をした。
「こ……これは!?あぁ。元気ちゃん……アナタは何て事を……」
「それで、もう大丈夫でしょ?」
「大丈夫じゃあ無いわ……。羽根が無いのは……苦しむのは……私の永遠の償い……」
困惑するドライアド。その背中には、アゲハチョウの様な綺麗で美しい羽根が復活していた。
「苦しむとか、償いって……ドライアドさんって何したの?」
元気の発言にポカンとするドライアド。
「え?元気ちゃん……お話しは聞いていなかったの?」
「え?聞いてたけど?」
「その……。リーナって……私よ?」
「……………………!?うええええええぇぇぇ!?ドライアドさんって!ドライアドって名前じゃ無いの!?」
「ツッコ所はそこじゃ無いでしょ!元気ちゃん!」
元気のあまりの残念さに、キャラを忘れてツッコんでしまうドライアド。ツッコまれた元気はとても嬉しそうだ。
「アハハ……。ナイスツッコミ!……何でツッコまれたのか解んないけど……」
「な、何でって、リャナを連れ出して危険な目に合わせ……挙げ句の果てに、リャナを置いて……私は逃げたの……。私は最低のーー」
「ーーでもさ!……俺は、ドライアドさん……リーナさんに感謝したい!母さんを人間の世界に連れて来てくれたリーナさんにね!フフフ……ありがとう!」
「え……?」
またまた元気の発言にポカンとするリーナ。今度はリーナが元気が何を言ってるか解らない様子だ。
「だって、ミリャナと出会えたのはリーナさんがあの日あの時、母さんを連れて人間界へ来たからでしょ?……俺、ミリャナが居なかったら死んじゃってたかもだし……。あ、と言う事は、リーナさんは俺の命の恩人って事だ!……いやぁ。……本当にありがとうございます!」
勝手に話を広げる系男子の元気は、一人で勝手に納得してしまう。だがリーナはまだ納得出来ない様子だ。
「……そんなのは他の誰かでも、助けて貰わなくても……助かってたかもでしょ?」
「そうだけど……。それよりも、俺はミリャナと会えた事が嬉しいんだ」
「ミリャナと?」
ポカンとし続けるリーナに元気がニコリとする。
「……ミリャナと出会って家族ってこんななのかな?とか……色んな人と出会って、兄弟姉妹ってこんななのかな?とか……。父さん母さんって……。こんななのかな?って……思えたんだ……あれ?何か恥ずかしいな……」
「……。フフフ……大丈夫。聞かせて……」
ほっぺたをポリポリとかく元気にニコリとしながら、話の続きを促すリーナ。元気も何だか、リーナに話を聞いて欲しい気分だった。
「……でね。エルフ……特にフェルミナなんだけど……。アイツらに色んな事に巻き込まれたり、父さん母さんに色々とお強請りされたり、娘に馬鹿にされたりするんだけど……。何されても憎めないと言うか……。あぁ~……もう!……何か、上手く言えないけど……。幸せなんだよね……今とっても……。だから……もう、償いとか……良いんじゃ無いかな?……これは、ここに居なければ出来ない経験で……。やっぱり母さんをリーナさんが人間界に置いていたおかげだと思うんだ……」
「……そう……ね……。そうかも……知れないわね……」
リーナはそう言う以外どうしようも無かった。話をする元気がとても幸せそうだったからだ。
過去に何があったとしても、元気の今の幸せをリーナは否定する気になれなかった。
「勿論!一番の感謝はミリャナと会えた事!もうね!ミリャナの顔を見るだけで毎日がハッピーなんだ!おっぱいにしても、プリッとしたお尻にしても、可愛い踝に足の裏だって見るだけでもう、心が幸せ~て感じなんだ~。足の裏の皺の数も覚えたんだよ?へへへ!あ!勿論!お耳も、お顔も最高だよ?可愛いお臍だって、いつかペロペロしてみたいなぁ……。それにポタンも可愛いの何のって!あの可愛いほっぺたを毎日ペロペロして、食べちゃいと思ーー」
「ーーそう?じゃあ、私のお臍をまずはペロリとするといいわ……」
「ぎゃ!?母さん!?ビックリした~。……あぁ~良かった~!元に戻ったんだね!」
リーナに意見を受け入れて貰えた元気が、調子に乗ってミリャナとポタンの話していると、リャナがザブン。っと泉から現れた。
「リャナ……」
リーナがリャナの名前を呟いた後「ごめんなさい……」ともう一度呟いた。
そんなリーナを見てリャナが言う。
「何方かしら?大きな蝶々?……不思議な人ね。妖精かしら?……元気の知り合い?」
「……まぁ、そんな感じ……。リーナさんが母さんを助けてくれたんだ……」
リャナがリーナをしばらく無言で見つめる。
「…………そう。リーナさん初めまして。私はリャナ……助けていただきありがとう御座いました」
リャナがそう言って、リーナに頭を下げた。
そんなリャナにリーナはもう言えない。謝罪の言葉も、会えて嬉しい事も。……愛を伝える事も出来ない……。……今のリャナには暗い過去など必要無いのだ。
リーナに唯一出来る事は、初対面の相手として笑顔を返す事。リャナは元気達と今は幸せに暮らして居る。それだけで良い。とリーナは思い……。重い想いをすべて心の奥底に仕舞い込んだのだった。
元気のピクニックは次回で終了かな?
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