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元気のピクニック②

妖精のお話し。

 現在リャナは、飲み込んだアリアナの魔石に生命力ごと魔力を吸われている状態らしく、木の形になったのは、フェアリー特有の防衛反応だとドライアドが教えてくれた。


「あれは、果てし無く禁忌に近い行いなのです」


「禁忌?」


「人体錬成は行えませんが……。人間は人体を使って新たな人間を造る事が出来るでしょう?」


「え?新たな人間を造る?……どう言う事?」


 本当に理解出来ていない元気。人体錬成の抜け道の話か?と元気は思っているが、ドライアドが言っているの人間の営みの話だ。


 ドライアドはどう教えるか説明に困る。子供から聞かれる『子供ってどうやって作るの?』永遠のテーマだ。


「そ、その……あれよ……。おしべとめしべがくっついて、新たな命の芽吹きを感じた……幸せの鳥さんが畑に子供を……運んで来るのよ」


 恥ずかしそうに説明するドライアド。


「あ!……そう言う事……」


 ドライアドの言いたい事を理解する元気。そして、何故。鳥は畑に子供を放置するのだろう?と思うが。……言わない。老婦人とは言え目の前に居るのは女性だ。性的なお話しをして、お互いに何だか気恥ずしいのだ。


「と、とりあえず。子供が出来るソレを独りで行う、独殖どくしょくならば、禁忌を破った罰を受けずに済むのよ……。独りで命を造る事が出来るの」


「な……成る程……独りでソレを……」


 ドライアドは、繁殖の事を言っているのだが、思春期の元気には、子供を造るソレを独りでする。が違う風に聞こえる。……しかし、ドライアドの言っている事の意味は、ある程度理解出来た様だ。


「魔石になった者の魔力と生命力が、リャナの物を大きく上回っていたのでしょうね。フフフ……。でももう、心配は無いわ安心なさい」


「良かった……」


 元気に微笑むドライアドを見て、元気は無条件にホッとする。ミリャナに似ていると言う事もあるが、黒竜戦の時に魔石になってしまったフェルミナやエルフ達が、森の泉で復活した前例があるからだ。


 ある程度リャナの状態の話が終わったので、今度は元気の気になった事を聞いてみる。


「……ドライアドさんは……ユグドラシルの奥さんなの?」


「そうですね。人間の言い方をすればそうなるかも知れませんね……それが何か?」


「……あの……ユグドラシルは木じゃないですか……その……。繁殖の営み等は……」


 元気がそこまで言うとパッとドライアドが姿を消してしまった。


 森を照らしていた輝きが一瞬にして消え、綺麗だった森が薄暗くなる。その光景に罪悪感が驚くほど湧き上がる元気。


「ご、ごめんなさい!すいません!もう聞きません!……ほ、本当は別の事が聞きたいのです!」


「……。私とユグドリアスはそう言う事はしません……お互いに森や自然の管理をしているだけよ……思春期だから気になるのは仕方ないんでしょうけど……。あまり女性にそう言う事を聞くんじゃありません」


 元気が急いで謝ると、ドライアドが再び姿を現し、ジト目で元気を睨む。美人な老婦人のジト目……これはこれで……。と思うが、口には出さない。まだ消えられては困るのだ。


「本当に、ごめんなさい……」


「フフフ……。解ればいいわ。それで聞きたい事って何かしら?」


 元気がシュンとすると、直ぐに許してくれるドライアド。甘々な所もミリャナソックリだと元気は思う。触手プレイに関してのリアルな情報が手に入るかも知れない。と言う下卑た考えを、心の秘密の部屋にそっと押し込めると、元気は質問を開始した。


「ドライアドさんって何で今まで姿を現さなかったの?……ポタン……森の子供の時以来だよね?ドライアドさんがこんなに優しい人だって解ってたら、もっと早くにお話ししたかったよ」


「フフフ……。嬉しい事を言ってくれるわね。これでも……私は『妖精の国』の代表なの、だからあまりこちらに顔を出せないのよ……。花の子供達が面白がってこちらに来ちゃうから……」


 困った様に頰に手をあてるドライアド。


「……来ちゃ駄目なの?」


「元気ちゃんは、良い子だから解らないかもだけど……森の子供達の件で私達が森を出たらどうなるか……解ったでしょう?妖精の羽根は難病に利くお薬になるの……」


 そう言ってドライアドが、自分の肩を悲しげに撫でる。そして元気は気付いた。


 ドライアドも妖精なのだが……背中の羽根が無いのだ。


「ドライアドさんの羽根は……」


「フフフ……。私は昔おてんば娘でね……。興味本位で外の世界に出ちゃって……その時に……ね。フフフ……私の話しは良いから……他のお話しをしましょう……。ね?」


 可愛らしく、ね?っと言われては仕方が無いと話を流す元気。気にはなるが……アイリスの件などもある……。相当酷い目に合ったのだろう。と思ったからだ。


 思いやる心。色んな出会いや経験の中で元気の心は少しずつ成長しているのだ。


「……じゃあ。妖精もエルフと同じ様にして魔力から産まれるの?」


「フフフ……良い質問ね。元気ちゃんは賢いのね」


「え?へへへ……そうかなぁ?へへへ……」


 違うわね。等と否定はせずに、褒めながら質問に答えてくれるドライアド。そんなドライアドを好きだなぁ、この人。と元気は感じる。


「……妖精はね。人々の強い。喜び、幸福、願い等の強い想いから産まれるの……」


「成る程。妬み嫉み憎しみとかから産まれる魔物とは逆の存在って訳なんだね」


「そうね。フフフ……本当に賢いのね元気ちゃんは」


「へへへ……」


 元気は嬉しくてニコニコが止まらない。ドライアドも素直に喜ぶ元気を見て嬉しそうだ。


「えっと……じゃあ、何で母さんは……外に?」


 しかも……妖精なのに羽根が無い……。と言おうとしたがやめておく。外に出た妖精の運命など決まっているからだ。


 たまたま優しい人と楽しくハッピーに暮らす。ここはそんな事例が少ない世界なのだ。


「……あの娘が外に出たのは、あるフェアリーがあの子を愛しちゃった事が原因なの……。その娘は妖精の中では変わり者でね……」


 悲しげな表情でリャナの話を始めるドライアド。そんなドライアドの姿に元気は目が離せなかった。

少しだけ続きますw


元気の異世界スローライフ(日常)は不思議な事がいっぱいな様ですw



少しワロタ! もっと読みたい! 心がピクリと反応した! と思われた方は、ブクマ:評価:いいね等々。よろしくお願い致します。


下の ☆☆☆☆☆ ⇒ ★★★★★ で評価できます。最小★1から最大★5です。


『★★★★★』で……元気も喜び頑張りますw



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