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元気のピクニック①

2、3話続きそうですw

 露死南無天を中央に残したまま、家に戻った元気だったのだが家に戻るとすぐさま問題が発生した。


「か、母さん!?どうしたの!?」


「何か……しらね……失敗したのかしら……」


「失敗って何!?」


「フフフ……心配してくれるのね……」


「笑い事じゃ無い!」


 元気におんぶされていたリャナの様子が変なのだ。


 元気は急いで部屋に向かいベッドにリャナを寝かせた。


「ヒール!……何でだ……何でだ?何で利かないんだ?」


「フフフ……」


「だから!笑い事じゃ無いんだって!」


 ニコリと微笑むリャナがどんどんとしおれてくのだ。


「ねぇ?元気。ミリャナのパンツは好きかしら?」


「な、何だよいきなり!?……好きだけど……」


「そう……ミリャナの事も好きかしら?」


「も、勿論だよ……。くそ!ポタンを……」


「駄目よ……心配はかけたく無いわ……それにアナタとお話がしたいわ……」


「そんな事言っても……」


「フフフ……本当に良い子ねアナタ……。……ミリャナはね……私の宝物なの……」


「……うん」


「だからね……。アナタも大事にしてあげて……あの子の世界は綺麗で正しくあって欲しいの……私達が間違えた分だけ……綺麗に……してあげたい」


「……うん」


「これからも、アナタが守ってあげて……」


「そ、そんなの当たり前だよ!」


「フフフ……ついでに、ミールとダルドリーもお願いね……。いつもは飄々としているけど寂しがり屋だから……」


「そんな事知ってるよ!……いつも何だかんだそばに居て助けてくれるんだから……」


「フフフ……そう?……そう思ってくれているのなら良かったわ……」


「駄目だ。……何も利かない……やっぱりポタンを!」


 リャナの様子が本当におかしい。発言もだが……しおれて行くと言うよりも……木になって行くのだ。


 元気はその現象の理由と理屈が解らない。なので対処のしようが無いのだ。


「じゃ。元気。サヨウナラね……その内……また会えると良いわ……ね……」


「母さん!?」


 リャナはそう言って目を閉じると、完全に人型の木になってしまった。


 表面は深緑の木の皮で覆われ、身体のあちこちには枝が生えている。その様はまるでトレントの様だった。


「ポタンを!召喚だ!怒られるけど、それどころじゃ無い!………………あれ?何でだよ!」


 召喚するが、ポタンからの応答が無い。ポタンにも何かあったのかと不安になる元気。そして、ダルドリーやミリャナ、アイリスを呼ぶがこちらも応答が無かった。


 これは、セイレーンの能力の一端なのだが後に語る事となる。家族達に反応が無く更に焦る元気。


 リャナは樹木化したが生命反応がある。なので蘇生が出来ない。


「そうだ!アカシックレコード!……もう!なんっでだよ!」


 過去に同じ様な事があったかも。と過去を見ようとしたが、神の力も及ばない。何が起きているのか解らず元気はますます混乱した。


『彼女を森の泉へ……』


「……ドライアドさん?」


 急に聞こえたその美しい声を元気は覚えていた。しかし、元気の反応虚しくドライアドは一度そう言うと沈黙してしまった。


 元気はドライアドの言う通り。リャナをゆっくりと抱え急いで泉へと駆け出した。


 家の裏の森の小道を抜けると泉に到着だ。


 昼過ぎなのに鬱蒼と茂った木々達が光を遮り薄暗い。その風景が元気の不安の色を濃くする。


「ド、ドライアドさん!どうすれば良いの!?」


 元気がそう叫んだ瞬間だった。


 泉が眩く光り、その光が森中を支配した。


 そして、その輝きの中心に薄い緑のドレスローブを着た、美しい老婦人が現れた。白髪で長く大きい三つ編みが肩から垂れている。


「フフフ……焦らなくても大丈夫よ……元気ちゃん……その娘を泉につけなさい」


「うん……わかった……」


 ニコリと微笑むその顔を見て元気はホッとする。ドライアドから暖かい布団にくるまれた時の様な安らぎを感じるのだ。


 言われた通り。元気がリャナと一緒に泉に入ると、リャナの身体だけが泉の中心へと流れて行く。


「安心なさい……。元に戻すだけ……ちょっと時間はかかるけれどね……。フフフ……せっかくだしちょっとお話でもしましょうか?」


「……うん」


 元気はドライアドの優しい微笑みから目が離せない。そして何故かもっと話していたいと思うのだ。


 そして元気は泉の畔に腰掛け、ドライアドと向き合った。


「……こんな事をいきなり言うと驚くでしょうけど……この娘は私の子なのよ」


「え?……じゃあ、母さんもエルフって事?」


「フフフ……違うわ……彼女はフェアリーね」


「フェアリー?」


「妖精族の娘なの……エルフは樹木の子供……。リャナは花の子供よ」


「花の子供……ハハハ……母さんがお花……フフフ」


 リャナが花を持っている所を想像して、元気はおかしくなる。バッサバッサと花束を持って自分をいじめてくる想像しか出来ないのだ。


 実際一度、『お鼻の中にお花が咲けば良いのにね』と、意味の解らない理由で鼻に花を活けられ、アート人間にさせられた事があるのだ。


「あらあら。その顔は何か面白い事があったのね?」


「お鼻にお花を活けられたんだ。ミリャナが笑ってくれたから良かったけど……」


 ミリャナはコテコテな解りやすいギャグが好きなのだ。元気はミリャナの笑う顔を思い出して、何故ドライアドともっと話していたいのかの理由に気付いた。


「フフフ……。そう。お鼻にお花を……フフフ……何それ……フフフ」


 ドライアドの楽しそうに笑うその顔が、ミリャナにソックリなのだ。


「フフフ……。ドライアドさんってこう言うのも好きだったりする?」


 元気は立ち上がると、ひょっとこ踊りをした。ミリャナの一番お気に入りでこれをすると必ず笑うのだ。


「な、何……動き……プフフフ……や、辞めて頂戴……プククククク……お、お腹がよじれそうよ……ヒケケケケケ……」


 やはり、ミリャナと一緒だ。と元気は思う。ミリャナも我慢の限界を越えると、変な笑い方になるのだ。


 笑うドライアドをもっと見ていたかったが、程々にしておいて座り直す元気。これ以上やるとミリャナは笑いながら怒り出す。ミリャナになら怒られても良いが、ドライアドにはあまり怒られたく無い。怒って身体に花を生やされたり、大事な所を木にされてしまってはとても困る。元気ちゃんならぬ元子ちゃんは嫌だ。


「面白かった?」


「え、ええ。とっても……フフフ……今、娘達はこんなに楽しい生活を送っているのね……良かったわ……」


 涙を拭いながら微笑むドライアド。この泉で起きたミリャナの過去の事も知っているのだろう。と元気は思う。そして今、娘達は……と言う事は、昔リャナにも何かあったのだろう。と考える。素の元気はまぁまぁ賢いのだ。


「さっき、母さんがフェアリーって言ったけど……じゃぁ。ミリャナも妖精なの?……妖精でも納得の可愛さ……ってか妖精越えて俺の天使なんだけど……」


「まぁ。天使……フフフ……マイエンジェルってやつね」


「え!異世界の事。解るの?」


「フフフ……エルフ達の思念で色々とね。元気ちゃんが現れてから楽しいわ。あの子達ももの凄く活き活きしてる」


「そうですか。それは良かった」


「そうそう、ミリャナの事だったわね。あの娘は、人間と妖精のハーフ。『ピクシー』よ」


「ピ、ピクピク……ピクシー!……。うん。可愛くて素晴らしい響きだね!」


 ミリャナがピクシーである事実を知った元気は、今度秘密裏に蝶々の羽を付け、頭に触覚を付けてミリャナ観察して見ようと思った。しかし、それでは駄目だ!と直ぐに考えを改める元気。


 思うだけならば誰にでも出来る。思うだけでは意味が無い!そうさ!思うのでは無く実行しなきゃイケないんだ!と硬く決意する元気は、ミリャナが絡むと頭の中にぱぁっとお花が咲き誇り、急にお馬鹿になるのだった。


 しかし……それは、ピクシーの秘められた能力……では無い。と先に説明しておく事にしよう。元気がお馬鹿なのはミリャナのせいでも何でも無く、三年近く引き篭もり妄想を続けた結果である。良く言えば生粋の空想家なのだ。


色々と話が色濃くなって来ましたねw


しかし、設定はそうなんだ~って感じで読んで会話や世界観を楽しんで貰えたら良いなと思います!



少しワロタ! もっと読みたい! 心がピクリと反応した! と思われた方は、ブクマ:評価:いいね等々。よろしくお願い致します。


下の ☆☆☆☆☆ ⇒ ★★★★★ で評価できます。最小★1から最大★5です。


『★★★★★』で……元気も喜び頑張りますw



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