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魔道船クジラ城

衣装を忘れた方へwミリャナは黄色いワンピース。アイリスはメイド服。マーリュクは神官服に錫杖でダルドリーは釣り人服ですw

 話はポタンがカタコンベの調査を始める前まで遡り。ダルドリー達のピクニックの話しに戻る。アトランティカへのピクニック再開だ。


 ミリャナ達。女の子一行が巨大なクジラの出現に驚いていると、クジラの口元から小船が一隻。ダルドリー達のいる磯の方へと近づいて来た。


 船の上では、紫色の漢服(中国のカンフー胴着の豪華な物)を着た青年が仁王立ちしている。金髪ロングヘアー。耳が魚のヒレの様な形でそこはかとなくイケメン。そんな青年の顔が、少し不機嫌な様子で歪んでいる。


「よう!ヒルトン!待たせたな!」


 船を岸に着けたヒルトンにダルドリーが片手を上げて挨拶をするとヒルトンが軽くダルドリーを睨む。


「ダルドリー。待たせすぎだ……。さっさと乗れ姫様がお待ちだ」


「おし!お前ら船に乗り込め!行くぞ!」


 ダルドリーの補助でそれぞれが船に乗り込むと、クジラに向かって船が動き出す。魔力で動かしている様で揺れも少なく船はスイ~っと進んで行く。クジラに向かう船の上でそれぞれが挨拶を交わす。そしてクジラの口元まで進むと小船はそのままクジラの口の中に突入した。


「ちょ、ちょっとおじさん!大丈夫なのこれ!」


「ハハハ!アイリス。怖がらなくても大丈夫だ!きっと驚くぞ!」


 ダルドリーがそう言って笑うが、クジラの口の中は薄暗く、凄く不安なアイリス。ミリャナはポカンとしたまま口の中を眺めている。マーリュクは楽しそうに、辺りをキョロキョロ見渡たしている。ヒルトンは船の先端で前を向いたままだ。


 小船が進み出すとクジラが口を閉じて、辺りが真っ暗になる。


「真っ暗じゃない!だ、大丈夫なの!?これ!」


「……悪魔っ子よ。騒ぐな……船から落ちるぞ……」


 焦るアイリスにヒルトンがそう言うと、船の先にぶら下がったランタンに火を灯す。すると辺りにぼんやり、クジラの口の中の様子が浮かび上がる。暗闇の先へ永遠に続く赤いひだひだが生々しくて、アイリスは不安な気持ちになった。


「ちょっと……お姉ちゃんもマーリュクも何でそんなに落ち着いてるのよ!このままじゃ、胃袋に入って行って溶けちゃうかもしれないのよ!」


 と焦るアイリス。


「それはそうかもだけど、私は死なないし別に良いわよ?……ねぇねぇ。そんな事よりもさぁ。クジラの口の中って気持ち悪いわね……」


 死なないマーリュクは、観光モードだ。


「フフフ……アイリスは怖がりね。お父さんが大丈夫だ!って言ってるんだもの。大丈夫うよ」


「ハハハ!あぁ!大丈夫だ!」


 とミリャナはダルドリーの隣でダルドリーの言う事を全面的に信用している。……いや。大丈夫とか言って、戦場に行って死んでんじゃん。とアイリスはダルドリーにツッコもうと思ったが辞めておいた。


 そんなアイリスに、ヒルトンが前を向いたまま話しかける。


「悪魔っ子よ。安心しろこのクジラは生きてはいるが、王族専用の海中魔力船だ。胃袋は無い」


「あ、悪魔っ子?……そ、そう……。じゃあ何処に向かってるの?……ヒルトンさんだっけ?」


「……船内の王室だ。そこでお前達を姫様が待っている。……さっさと会ってさっさと帰れ。ポセイドン王にバレたら追放所ではすまないからな……。あそこの扉を抜けた先の通路の奥の部屋にいらっしゃる」


 船の向かう先を見やると、船着場の桟橋とその先の木の扉を、扉横にぶら下がったランタンが照らしていた。


 桟橋に船を停めると一同は扉を開く。


「うわぁ!凄い!綺麗!」


「凄いわね!長年神様で居るけど海の中を見るのは初めてよ!」


「……どうなってるのコレ?ヤバ……」


 上を見上げれば太陽と雲が波でゆらゆらと揺れ、大小様々な魚達がキラキラと輝きながら自由に回遊している。優雅に泳ぐその様は永遠に終わりの無い流星群の様で、いつの日かに見た星空を思い出し、ミリャナは心が暖かく優しい気持ちで満たされ、心が熱くなるのを感じる。


 そんな魚達に視線を釣られ横を見やれば、薄暗い海中に無数の光の柱がオーロラの様に差し込み。それに照らされた海月達がゆらりと揺れている。白いドレスをふわりふわりと揺らめかせるその姿は、まるでダンスを踊っている亡霊の様だ。


 美しくもあり恐ろしくもある。そんな光景が海中をとても幻想的な空間に見せている。星空の下で一人で過ごす事の多かったマーリュクは、その孤独で寂しげに揺れる海月の美しさに目が離せない様子だ。


 そして海月を照らす陽光を追って足元へ目線をやると、今度は揺れ輝く珊瑚礁のアスレチックでカラフルな小魚達が、隠れたり顔を出したりと楽しそうに遊んでいる。笑い声が聞こえて来そうなその様子に、アイリスの頰が自然と緩む。クールな悪魔のつもりのアイリスだが、誰かと一緒に心を踊らせる事が大好きなのだ。


 女の子達それぞれが、海の中を鑑賞しながらロマンチックな感傷に浸っていると、とても無感傷なダルドリーの発言で現実に戻される。


「うお!あれは、凄いなぁ!でっかいサメだ!是非釣り上げたいものだ!ハハハ!食ったら旨いかもしれんな!ハハハ!」


 五メートル程の巨大なサメを発見して、子供の様に喜ぶダルドリー。


「おじさん……最悪。せっかく楽しんでたのに……空気読んでよね」


「お父さん。釣っても持って帰って来ないでね。捌けないんだから……。絶対駄目よ!」


 アイリスとミリャナがダルドリーを睨みながら文句を言う。


「……はぁ。お父さんって言うのは皆あんななのかしら?……うちのお父さんも大きい物が好きだったわ……おっぱいとか」


「マーリュク……アンタのは何か違うわね……男がおっぱいが好きなのは違わないだろうけど……」


 アイリスがそう言うとミリャナを見る。それに釣られてマーリュクもミリャナを見た。


「成長が出来無いのが怨めしいわ……」


「……私も成長が遅いのが怨めしいわ……」


 アイリスとマーリュクがジト目でミリャナのおっぱいを見やる。


「ど、何処を見ながら、何を言っているのあなた達は!もう!」


 そんな二人にミリャナが胸を隠しながら怒る。すると「ゴホン!」とヒルトンが咳払いをした。


「そろそろ良いか?姫が待っているのだ先に進もう」


「あ、す、すいません……」


 歩き出したヒルトンにミリャナが謝ると、一行は後に続いた。


 水中ドームの突き当たりにある扉を開くとそこには、正面真っ直ぐに続くレッドカーペットの敷かれた廊下。廊下の左右には複数の部屋があり。廊下の最奥には大きな扉が見える。天井のシャンデリアに明かりがともり壁も白い土壁製でお城の通路の様だ。


「凄い。クジラの中とは思えないわ……」


 広い廊下を見回すミリャナとマーリュク。


「ってか、さっきのは海の景色のやつの方が知りたいわ……」


「あれはね、マジックミラーの応用ね。魔力で外の映像を中に反映してる感じだと思う」


 ポタンがアイリスの質問に答える。アイリスがいきなり現れたポタンを見やるが、瞬間移動をもう何度も見ているので、慣れてしまって驚かない。


「ふ~ん。って……いつ来たの先輩?」


「今さっき……ニコラウスを魔王城に届けたその足でそのまま」


 ポタンがアイリスにニコリとする。するとアイリスがチラリとポタンを見やる。


「ふ~ん……そう。……お父様とお母様元気だった?」


「フフフ。ええ。ヴェルゴレ様が城も落ち着き始めたから、いつでも遊びに帰っておいでって言ってたわよ……ミルオレは相変わらず何処かに遊びに行ってたわ」


「……そう。ありがとう先輩」


 素っ気なくお礼を言うアイリスだが、何処と無く嬉しそうな雰囲気だ。


 ポタンはそれを確認するとミリャナの元へ飛んで行き、抱っこして貰う。その前にダルドリーがポタンを抱っこしようとしたが勿論拒否した。


「では、失礼の無いよ……何だ……その赤子は……」


「ご挨拶が遅れました……。ポタンと申します。以後お見知りおきを」


「な……」


 ポタン自信が答えるとは思っていなかったヒルトンが、驚いて固まる。


「ハハハ!俺の自慢の孫だ!可愛くて賢いだろ?」


「私の娘です!フフフ……ねぇポタンちゃん」


「うん!ママ!大好き!」


「……。あれで押し切ろうと出来る心意気が凄いわ……」


「いや。あの二人は無意識なのよ。押し切るとかそう言うのじゃ無いわ。だからたちが悪いんだけどね……」


 微笑ましい空気の三人とは違い。娘自慢に孫自慢をする二人に呆れるマーリュクとアイリス。


「……と、取り敢えず。姫様に失礼の無い様にな」


 ヒルトンは色々と質問をするのを諦めた様で、コンコンコンっと三回扉を開いた。


「は~い!どうぞ!」


 すると中から可愛らしい声が聞こえ、それと同時にヒルトンが扉を開いた。


 部屋の左手にはソファーが向かい合わせに二つあり、間には低い木製のテーブル。右手には象でも余裕で入れそうな巨大な水槽。正面には大きな赤い天蓋ベッド。ベッドのある場所の左右には、白い木枠の大きな窓があり海中が見られる様になっている。そして赤い天蓋ベッドの前に、チョコンと佇む子供の姿を見て、扉を開けるなりヒルトンが驚きの声を上げた。


「ひ、姫様!何と言う格好を!」


「え~だって。新しいお洋服早く着たいんだもの!フフフ……いらっしゃいダルドリー!……それに、わぁ!お友達がいっぱいね!私はトリトルよ!よろしくね!丘の人!」


 ニコリと嬉しそうに笑うそのツルペタ童女は。フワッとした青紫色の足首まである髪の毛と、そして薄青色の肌をしている。一目で人種族では無いのが解る風体をしていた。


 そして、大きな魚のヒレの様な耳の間にある、大きなクリッとした可愛いお目々を嬉しそうにキョロキョロ動かしながら、小さな口を綻ばせトリトルはミリャナ達を見る。


 そんなアトランティカのツルペタなお姫様は現在。スッポンポンなのだった。


ニコラウスの話を先に書いておきたくて、後に残したのと、アトランティカ。の内容をふんわりさせときたかったのですが、まぁ。書いても良いかと思い書いていますw


次回はお姫様との交流です。


少しワロタ! もっと読みたい! 心がピクリと反応した! と思われた方は、ブクマ:評価:いいね等々。よろしくお願い致します。


下の ☆☆☆☆☆ ⇒ ★★★★★ で評価できます。最小★1から最大★5です。


『★★★★★』で……元気も喜び頑張りますw



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