ポタンのピクニック②
適当に終わらせられない雰囲気w
交渉から数週間後。中央城内部の動きも無くなり。ポタンはリュライ率いる救命団と中央へ向かう事となった。
待ちに待ったカタコンベ探索の始まりである。中央へ向かう為のゲートの広さや仕組みは、ダンジョンのを模した。
同じゲートを設置した場所に行き先を設定すれば、すぐに行き来出来る。ダンジョンへ向かう事も多い救命団員は、何の躊躇も無くゲートを潜り中央の街外れへ到着。寝泊まりは街外れの教会だ。
寄付と称して既に食糧や金貨を渡してある。アルカンハイトと似た様な作りだが、子供が殆どいない。部屋は無数に空いている。
孤児院に子供がいない。それは良い事だ。とポタンは思ったが実情は違った。
孤児院から貴族が子供を買って行くのだ。
中央の孤児院それは、人身売買の巣窟であった。
しかし今回の騒動でそんなゴミ貴族は一気に減った。買い取り金と言う寄付は減るだろうが、子供のいない孤児院に寄付はいらない。残った子供達も、後でアルカンハイトに連れ帰ろうとポタンは思う。膨よかな司教やシスター達とは違い、子供はガリガリでボロボロなのだ。
何が起こっているのか、そんなのは一目瞭然であった。
救命団の主婦パート組に子供の世話を任せて、ポタン達は城内へ向かう。仰々しい一行に街の人がざわめくが、団員の掲げたアルカンハイトの旗を見ると歓声が上がった。
「光の人の部隊だ!」「とうとう来たか!光の人!」「待ってたぞ~!」「光!」「光!」「光!」「光!」
まるで勇者の凱旋だ。ポタンはリュライが抱っこしている。
「な、何事なのだこれは……一悶着。二悶着はあると思っていたが……」
とリュライ。
「す、凄いですね団長!なんか……恥ずかしいです……」
とスカリー。
「……こんな感じになってるのね」
とポタン。この三人が先頭を歩く後には約二十人程が続き、残りは待機だ。
一日で終わればいいが、死体の数が解らない。そして最悪。魔石が魔物化していれば、戦闘になり怪我人も出る。油断大敵だ。
そして何故バレていたか、それはヴァイドの扮したマントーマンの着ていた、赤を基調とした貴族服の背中に刺繍されていた獅子の紋章。それでアルカンハイトの関与がバレた様だった。
城門前広場に到着すると、中央騎士団が出迎える。白銀の鎧で全身ビシッとしている。こちらも総勢二十名程。その中の一人が前にザッと出てポタンにかしずいた。
「この度は良くお越しくださいました。エルフの女王!言い付け通り。城の封鎖と警備は万全であります!」
「ありがとう御座います。ブルドンさん。……では、参りましょうか」
「は!」
「……ど、どうなっているのだポタン……」
「中央騎士団が……何で……」
驚くリュライとスカリーにポタンは満足げだ。
「フフフ……。今は私が彼等の雇い主なのです。守る物が無ければ、お給金は発生しませんものね?ブルドンさん?」
「うむ……。王が不在になり始めて気付いた。我々はどんなに温い生活をしていたのかと……。なんせ稽古をするだけで金が貰えていたのだからな……」
ポタンの隣を歩きながらポリポリと頰をかくブルドン。金短髪。金髭のおじさん。
騎士も貴族だ王宮からの配給で生きている。
戦場。警備は平民の兵士の仕事。こちらは仕事なので各ギルドからの給与だ。
貴族達はお金が尽きて始めてからやっと、先の不安を感じ始め。そこに、ポタンがポンとお金を出したと言う訳だ。
「言われた通り。城内の貴族の数は調べました。総勢百六十二名。どれも幾度と無く孤児を買ったり、街で問題を起こしたり、娘を攫ったりと……やりたい放題だった人間達です」
「多いですね……」
「……昔からの事ですので……。特に今回死んだ王に変わってから増えた様に思います……」
「ふむ。そうですか……」
それ以降は黙ってしまったブルドン。ろくでも無い王でも一度は仕えた王だ。悪く言うのは気が引けるのだろう。と思いポタンも深く聞く事はしなかった。
「門を開けよ!」
「「はっ!」」
待機していた兵士が門を開ける。アリアナが破壊した城の門は元気が復旧した。
簡単に出入り出来ては、子供等が入ってしまう恐れがあったからだ。
元気は現在は。リャナの面倒を必死に見ている……がそれは別のお話だ。今は置いておく。
「では!各隊!中央騎士と救命団にて二の対になり四名で行動せよ。異常が起こった場合速やかに退避。報告後対応を行う様に!」
「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」
城門を潜るとドンっと大きな正面階段。そして左右の奥と横に続く廊下。まずは1階の探索からだ。
「広いですね……」
「うむ。アルカンハイトの二倍三倍は広さがありそうだ……」
リュライとスカリーが城内を見回しながら右奥の廊下を進む。その前にブルドンが立ち城の中を案内してくれる。
「下の階層は客室や舞踏会場や謁見の間等の来客用の空間が主だ。地下は牢獄。上が住居等の生活空間だ……死体があるのは上だろう……」
「……いや……下に何かあるな……」
リュライが何かを感じた様だ。それにポタンが即答する。
「そこに行きましょう!ブルドンさん!」
「何故だ?下には牢獄しか無いぞ?……それに何故そんなに嬉しそうなのだ?女王よ?」
わくわく感が顔に出ていたようだ。と急いでポタンは、ポーカーフェイスに顔を戻す。見たいからに決まってるじゃない!とは言えないのだ。
「い、いえ。……リュライ様はエクソシズムの使い手なので……。何かあるかなぁ?って……調査に有益な情報が……」
「うむ……調査の一環か……しかしエクソシズムと言えば?あの、お化けが見えるとか言うインチキ集団の事だろう?……役に立つのか?」
ブルドンが何気にそう口にした瞬間。スカリーの様子が変わった。
「……インチキ集団ですって?……団長。この人……呪い殺してよろしいでしょうか?」
スカリーの異様な雰囲気に焦るブルドン。目が完全に据わっている。
「い、いや。気に障ったのなら謝る。その……俺はそう言うのが解らんのでな……その馬鹿にした訳では無いんだ……」
「……そうですか……なら、良いです」
ブルドンの謝罪にスカリーがニコリと微笑み。胸をなで下ろすブルドン。
「二人共。もういいか?進もう……この先だろう?牢獄は?」
「そ、そうだが……。リュライとやら……城に来た事があるのか?」
「いや……。……感じる」
そう言うとリュライが歩き出し、スカリーがトコトコと後を追う。ブルドンはその二人の後ろ姿と、先程から機嫌良くニッコニコしているポタンを見て。……コイツらヤバい奴らかもしれん……と思い。ゴクリと息を呑むのだった。
その後。廊下を進み地下への階段を発見した一行は階段を降りるのだが、ブルドンはとうとう異変に気づき始める。リュライがブルドンの案内なしでスルスルと城内を進んでいくのだ。
「其方は本当に城は初めてなのか?」
「あぁ。そうだが……何故だ?」
「い、いや……何でも無い……」
ブルドンはそれ以上聞く事はしない事にした。訳が解らない物事が一番嫌いなのだ。
そして牢獄への階段を降りる途中。リュライが突然足を止めた。
「ブルドン殿……。1階のと牢獄の間に他に階層はあるのか?」
「い、いや……無いはずだが……」
「そうか……。では、ここは。貴族の遊び場か……それとも王族だけが知る隠し通路か……」
リュライが壁を押すとズズズっと壁の一部が半回転して隠し通路が現れた。
「な、何だそれは!」
「わぁ!流石です。団長!」
驚くブルドンに、目を輝かせるスカリー。ポタンは心の中でお見事!とリュライに拍手する。ポタンでさえ何も感じず。気付かなかった隠し通路。リュライはそれを何事でも無い様に見つけ出したのだ。
ポタンの少しの疑心が消え確信に変わる。この人は本物のエクソシストだ!と。……そして……ブルドンは思った。来るんじゃ無かった。と……。
隠し通路の先には一体なにが!頑張れブルドンw
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