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ピクニック部隊

先に帰った一行のお話。

 元気達が中央から撤退している頃ダルドリー達一行は、中央国付近の海岸へと来ていた。


「俺達は仕事があるから。ポタンに城に送って貰うよ。ニコラウスの事で行かないといけない所もあるし」


「うむ。……少しでも時間が惜しい。なぁ、ニコラウス」


「えっと……あの。はい……」


 ヴァイド、グレイ、ニコラウスは城へ戻り。王国運営の段取りをする為に早速行動を起こす様だ。


 ニコラウスは残りたい様子だったが、強制的に連行された。


「じゃ。私は後で合流するからママ後でね、アイリスあまり迷惑を掛けない様にね!」


「もう!先輩ったら……解ってるわよ!」


「ポタン叔父様達をよろしくね」


「こっちは、じいちゃんに任せておけ!」


 ダルドリー、ミリャナ、アイリス、フェルミナ、マーリュクはピクニックの続きだ。


 フェルミナとマーリュクは、少し離れた磯で既に遊んでいる。生き物を捜すのに夢中な様だ。


 ダルドリーが一緒なのが不安なのだが。とポタンは思うが、すぐ戻ればいい。と思い返し何も言わない。「じゃ、また後で」とミリャナ達に言うとヴァイド達を連れて城へと飛んだ。


「それで……おじちゃん?何処行くの?炎季もとっくに過ぎてるのに……。ここまで来て皆で釣りとか言わないでよね……」


 面倒臭そうに磯を見渡してきょろきょろするアイリス。海岸沿いだが……浜辺が無い。


「釣りでも良いじゃ無い?……ここで遊ぶんでしょ?お父さん?」


 ミリャナはアイリスとは打って変わって。わくわくしている。


「ハハハ!皆で釣りも良いが、今日は違うんだなぁ~!ハハハ!じゃじゃーん!」


 ダサイ効果音に合わせ、ポケットから貝殻の笛を取り出すダルドリー。それをアイリスに渡す。小さなホラ貝の様な形だ。


「何これ笛?……。吹けって事?…………お、お姉ちゃん……。こ、これ……吹いていいわよ?」


「え?……本当!?やった!……!?……ア……アイリス……貴方が渡されたんだから、貴方が吹いていいわよ!……貴方いつもこう言うの自分でやらないと怒るでしょ?」


「こ、今回はいいわ。お姉ちゃんに譲ってあげる。いつも良い所を譲って貰ってるもん!たまには遠慮しなきゃ!」


「良いのよアイリス。大丈夫だから。ほら返すわね」


「ちょっと……離して……握らせないで!は、離しなさいよ!」


「ほら!暴れないの!きゃ!痛いじゃ無い!蹴らないでよ!……ほら……お口に添えてあげるから……」


「や、辞めて!は、離せぇ!」


 笛をどちらが吹くかを巡って、取っ組み合いを始めるアイリスとミリャナ。ダンジョンでレベルが上がったミリャナから、アイリスは逃げられない。


「こらこら喧嘩は辞めんか……。どうしたんだ?お前ら?」


 それを見かねたダルドリーが仲裁に入り理由を聞く。するとミリャナとアイリスの動きがピタリと止まった。


「お、お姉ちゃんが言いなさいよ……」


「ア、アイリスが言ってよ……」


 取っ組み合ったまま、発言権をなすり付け合う二人。そこに遠目でそれを見ていたフェルミナがやって来た。


「どうしたんだ?何か問題事か?」


 フェルミナは蟹を両手に捕まえご満悦。何処をどうしてそうなったのか、頭にはヒトデが乗っている。


「フェルミナ!こ、これ!吹いて良いわよ!」


「ちょっとアイリス!」


 アイリスが笛をフェルミナにバッと突き出す。それを受け取るフェルミナ。


「笛か?……うわ!何だこれ!クセェ!ハハハ!うんこにでも落としたのか?」


「……う、うんこ?」


 ダルドリーがミリャナとアイリスを見やる。見られた二人が居たたまれなくなりそっと目を逸らした。


「なんだ。ダルドリーのか?これ……。これは酷いぞ?ちゃんと歯をちゃんと磨かないからこんな事になるんだぞ?冒険中に100年程使っていた私の水入れも、こんな匂いになったんだ!ハハハ!心配するな!洗えば大丈夫だから!」


 そう言って海水で笛を洗いに行くフェルミナ。それを見て、更に吹きたく無い。と思う二人。


「……そ、そうか。臭かったか……。その……何かすまんかったな……二人共。……ハハハ」


 落ちこむダルドリー……しかし、二人は励まして良いものか悩む。気にしないで!とは気軽に言えない程に臭かったので、歯磨きはちゃんとちゃんとして欲しい。と思ったからだ。


 そして、ミリャナが意を決して口を開いた。


「……ちゃんと歯磨きはしてね、お父さん…………。お父さんには、歯抜けになって欲しく無いわ……格好いいお顔が台無しだもの……お、お母さんもそう言ってたわ!」


 焦り過ぎて話を盛るミリャナ。リャナは、あの人最近クサイわね。としか言ってない。


「……そ、そうよ……。それと手は毎回ちゃんと爪の中まで洗っておじさん……時々本当に魚臭いから……。ワルイルドなのも良いけど……今はほら……清楚系男子が流行してるから……ね。イケオジって良いわよ?わ、私も清楚系男子が好きなの!」


 平気で嘘をつくアイリス。アイリスは人にも自分にも甘々なダメンズが好きだ。


「そ、そうだな……ちょっと……遊びすぎで気が抜けていたのかもしれんな!……可愛い娘からのアドバイスだ!真摯に受け止めるとしよう!ありがとう二人共!」


 前向きに捉えようとするダルドリーにホッと息を付く二人だったが、空気読まない系女子が帰って来た。


「ハハハ!ダルドリーは愛されているな!……それで、この笛はどっちが吹くのだ?」


 海水でびちゃびちゃになった笛を笑顔で差し出すフェルミナ。細かい所に喪が追加され絡まっている。


「……フェ、フェルミナ。それ吹いて良いわよ?私。ご飯食べ過ぎてお腹がいっぱいで……」


「わ、私もお腹いっぱい……」


 笛を吹きたく無い気持ちでいっぱいな二人。


「そうか!私はまだ食える!じゃ、これは私が吹こう!ここで吹けば良いのか?ダルドリー」


「……いや……海辺で吹いた方が良いかもな……」


「そうか!ちょっと行って来る!」


 ダルドリーが寂しそうにジッと見ているが、二人は気付かない振りをする。そして、フェルミナが海辺の小高い磯の上までぴょんぴょんぶるるんと跳ねて行き。ピィィィィ!!!っと気持ち悪い笛を海に向かって吹いた。


「ぐあぁ!この音!?指笛と似ていて身体の力が抜けて……ひえぇぇええぇ!」


 笛を吹き終わり。ゾゾゾっと力が抜けてしまったフェルミナが、バランスを崩してドボンと海に落ちてしまった。


「「「フェルミナ!?」」」


 急いで三人が近寄り。落ちた先を見るが磯に波が打ち付けるのが見えるだけ。フェルミナの姿は見えない。


「ちょっと!アンタ達!見てないで早く助けなさいよ!」


 マーリュクが焦ってパッと顕現する。姿を見せるだけなら豪華なエフェクトはいらない。


「マーリュク様!?」


「だ、誰!?」


「マーリュク様だと!?あの!癒やしの女神のマーリュク様か!」


 驚く三人にマーリュクの琴線が反応する。そしてバーンと小さなお胸を張った。


「そう!私が!可愛くて、美しくて、可憐な癒やしの女神マーリュク様その人よ!……人じゃ無くて女神だけどね!」


 ダルドリーとミリャナが急いでかしずく中で、アイリスだけがマーリュクを見据える。


「ねぇ……ちょっとキャラ……被ってない?」


「はぁ?悪魔の小娘と美しい女神の私とを一緒にしないでくれる?アンタ!天罰を与えるわよ!」


「はっ!そんな事したら旦那様がアンタを消すわよ!」


 小さいお胸をマーリュクに向かって張り返すアイリス。


「だ、旦那様って誰よ……」


 強気なアイリスにマーリュクがちょっとビビる。


「私の未来の旦那様!元気様よ!」


「ア、アイリス何を言ってるの!?」


 アイリスの発言に驚くミリャナ。アイリスの小さなお胸の向きがミリャナにシフトチェンジされる。


「何って?そのままの意味よ?恋は自由でしょ?しかも私は悪魔だから当分は可愛いまま、しわしわになって行くお姉ちゃんと可愛いままの私。フフフ……男は可愛い方を選ぶわ!……特に旦那様はね!」


「そ、そんな事は無いわ!……そんな事は…………無いわ!」


 元気の素行を思い出し、二度言うミリャナ。


「…………。アンタ達……あんなのが好みなの?子供ねぇ?」


 言い合う二人に呆れるマーリュク。


「はぁ?じゃ、アンタはどんなのが好きなのよ?」


「わ、私?私は……ろ、露死南無天の様な安心出来て頼れる人が……」


「枯れ獣専かて、話にならんわ変態……」


「ちょっと!内面の話をしてるのよ!私は!?アンタ本当に天罰をーー」


「ーーひやぁあああぁぁぁあああぁぁ」


 マーリュクが錫杖をアイリスに向けた時。フェルミナが海上にザバァン!っと大きな波飛沫を上げながら飛び出して来た。


「「な、何よあれ……」」


 フェルミナと一緒に姿を現した物に対して、まったく同じ反応をするアイリスとマーリュク。


「わぁ……」


 ミリャナはその物を見て、目を輝かせながらポカンとする。


 海に落ちたフェルミナと一緒に姿を現した物……それは、お城程に大きなクジラだった。


「ち、ちょっと!アンタ!女神様なんでしょ!何とかしなさいよ!アレ!」


「む、無理よ!私そんなタイプの神様じゃ無いもの!」


 いきなり現れた巨大なクジラ型モンスターに慌てる二人。ミリャナは驚いたままボーッとクジラを眺めている。


「そんな神じゃ無いって、はぁ!?天罰とかほざいといて何よ!役に立たないわね!」


「仕方ないでしょ!……そうだわ!元気を呼べば良いわ!こう言う時にしか役に立たないんだから!」


「な!?私の旦那様はそんな事……。……ちょっと私街まで行って呼んで来る!」


 反論しようとしたが、急には思い浮かばないアイリス。元気を呼びに急いで飛び出そうとする。


「まぁ。待て二人とも……あれは、敵じゃ無い。俺の友人だ」


「「はぁ?」」


 驚く二人に満足げなダルドリー。そしてバーンと胸を張り言い放った。


「いざ行かん!海の王国!アトランティカへ!ピクニック再開だ!」


 そんなダルドリーの言葉を理解出来ず。驚きで声が出ない三人であった。

やっぱり。こう言うのが好きw

さて、アトランティカ(*^_^*)どんな国なのでしょうね?それは次章です!海の真ん中でヒラリーを助けてくれた人。ソレは……!実は!まぁ解りますよねw


少しワロタ! もっと読みたい! 心がピクリと反応した! と思われた方は、ブクマ:評価:いいね等々。よろしくお願い致します。


下の ☆☆☆☆☆ ⇒ ★★★★★ で評価できます。最小★1から最大★5です。


『★★★★★』で……元気も喜び頑張りますw



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