ピクニック①~ミリャナ~
さて、うきうきわくわくピクニックです!
「ミリャナ~準備出来た~?」
「出来たわ元ちゃん……フフフ」
元ちゃんが出してくれた黄色いワンピースと、麦わら帽子にフフフ……指輪。ちゃんとお弁当も持った!
今日は皆でピクニック!ずっとポタンと計画をしていたのだと、昨日元ちゃんが話をしてくれた。
内緒にするなんてズルい!と思ったけど……いいの!父さんと母さんとポタンとアイリスと元ちゃんと……家族でお出かけ……凄く楽しみ!
ミールはアルトと遊ぶみたいでお留守番……ちょっと残念だけど、フフフ……。幸せそうだからいいの!本当に楽しみ!ひょっとこ踊りしちゃいたいわ!
「風寒くない?」 「うん!大丈夫!」
おーとばい?本当は当たる風がちょっと寒いけど、そんなのはどうでもいい!流れる雲と過ぎ去る景色が綺麗……海がキラキラ光って下で鳥が飛んでる。
ポタンとアイリスは叔父様達を連れて先に飛ぶって言ってた。
お父さんお母さんは少し前をおーとばいで飛んでる。お父さんお母さんが一緒なの……夢みたい。元ちゃんありがとう……。
「ミリャナ大丈夫?やっぱ寒いんじゃ無い?」
「ううん。大丈夫よ!ありがとう元ちゃん」
ちょっとぎゅっとし過ぎちゃった……。
……でも、何処に行くのかしら?
凄い!大きなお城!アルカンハイトのお城の何倍もある!何処かしらここ?
「ミリャナ?……さっき言ったの覚えてる?」
「え?うん!私は化身を召喚せし者?だっけ?お芝居のセリフよね?」
「うん。ここで起こる事は全部劇だからね!安心してね!ねぇ!母さん本当に大丈夫?」
「あら?ミリャだけ仲間はずれにするの?酷い男ねあなた……」
「いや……そう言うわけじゃ……」
「ミリャは、俺が守るから大丈夫だ!ほらミリャおいで、特等席へ案内するぞ!」
「うん!」
元ちゃんたら。あんなに焦ってどうしたのかしらね?フフフ……劇で良い役が貰えなかったのかしら?
「ミリャ!ここで俺の雄姿を見ていろよ~」
「うん!おとうさん!」
お父さんに人の家の屋根の上でシートを引いて待つように言われたけど……良いのかな?怒られそうで心配……。フフフ……でも嬉しい!皆が私の為に劇をしてくれるなんて!
でも不思議ね……こんな大きな街の大通りなのに、人っ子一人歩いて無いわ……。お城の前の大広場も誰もいない……元ちゃんが作った遊び場かしら?
この前、本当に空飛ぶお城を作ってたから、きっとそうね、らぺただったかしら?
「ひゃ!?」
びっくりした!大きな爆発!あれは花火ね!青空で大きく広がる七色の火花が綺麗!
「きゃぁ~!」
「ぐはははははは!待て~小娘~!」
「誰か~助けて~!」
あ!アイリス!やっぱりメイド服なのね……フフフ……可愛い。黒い鎧の人はグレイ叔父さんね!
「グレイ。楽しんでるわね……」
「あ、お母さん!うん!楽しそう」
フフフ……お母さんも楽しそう。良かった。
……どうしたのかしら?大通りをもう、三往復もしてるけれど……。
「おっさん!もう無理よ!げふっ……もう走れないわ!どんだけ走らせるのよ!?」
「む、むう。仕方ないであろう!人がまったく出て来ないのだ!」
ここには人が居るのかしら?らぴたにはロボットがいたけど……。
「作戦変更だ!まずは人を家から出そう!」
「元気か……。そうは言うが、一体どうするのだ?」
「ん~。あ!これだ!」
…………あ!これ!ひょっとこ踊りの音だわ!フフフ……。この間の抜けた音がまた面白いのよね!ぴ~ひゃらら。ぴ~ひゃらら。
「ぷ~。くすくす……アハハハハ!」
「フフ……。ミリャは本当に好きなのねアレ……」
「う、うん……フフフだって動きが変なんだもの……アハハハハ……」
面白くて涙が出ちゃう。
「ちょっと、だ、旦那様!い、嫌よ私はそんなのは!嫌です!」
「ア、アイリス!やらんと作戦が……街の人が救えん!いや、街だけなら救えるがこの後が……」
「嫌よ!絶対に嫌!」
まったくアイリスったらワガママ言って!
「アイリス!頑張りなさい!劇が進まないでしょ!ワガママしないの!」
「そんな事言うなら、お姉ちゃんがすれば良いでしょ!そこから降りて来なさいよ!」
「……嫌よ!……恥ずかしいもの」
「おい!私だって恥ずかしいんだわ!」
「ちょっと!声が大きいって二人とも!ほら、叔父上も父さんも踊って!」
「こ、こうか?」
「ハハハハ!何だこれは!面白いな!」
「ぐぬぬぬぬぬ!お姉ちゃん!笑ったら絶対に許さないからね!」
「わ、解ったわ……」
そんなの無理よ!ぷくくくく……。お腹が苦しいわ!どうしましょ!どうしましょ!
「何やってるのかしら、あの人達馬鹿みたい」
「ブッハ!アハハハハ!お母さん!言わないで!ヒヒヒヒヒ……。お腹が……お腹が……」
フウフウフウ……。あら。チラホラ人が顔を出し始めたわ!あ~おかしい……一体何往復するのかしら……。
「そ、そろそろでは無いか?」
「そ、そうだな、じゃおっさん!頼む!」
はぁ~。良かった……。あのままじゃ息が苦しくて死んじゃう所だった。
「わ、我は暗黒騎士なり~!そこの少女よ~!生け贄となれ~」
「きゃ~誰か~助けて~!」
「グレイ。棒読み過ぎね……」
「もう!お母さん!叔父さんが一生懸命頑張ってるんだから静かにして!」
「フフフ……そうね」
グレイ叔父さんがこんなに活き活きしてるのを見るのは、初めてだもの!ちゃんと見なきゃ!
「待て~い!」 「とう!」
「「我ら、マントーマン1号2号が相手だ!」」
「むむ!現れおったな!マントーマン!」
「ラ、ライダーマン!助けて~!」
「お嬢さんは向こうに隠れていなさい!」
「ありがとう!マントーマン!」
フフフ……父さんと叔父様ね!赤と黒のマントと仮面が格好いい!
「頑張って~!」
「おう!父さん!やるぞ~!」
「ハハハハ!兄さん返事しちゃ駄目だよ~」
「ま、真面目にやらんか二人とも!」
ウフフ……。初めて見るかも……あの三人が揃う所……これも元ちゃんのおかげね……フフフ……。
「が、頑張れ!マントーマン!ねぇちゃんの仇を討ってくれ~!」「う、うちの娘もいなくなったんだ!マントーマン!」「俺の嫁もだ!」「マントーマン!」「マントーマン!」「マントーマン!」「マントーマン!」「マントーマン!」
うわぁ!凄い!こんなに人が!
「に、兄さん……これ、ヤバくないか?」
「う、うむ……。しかしやられ無ければ、話が進まん」
「ぐぬ……やりにくい……」
「い、行くぞ!暗黒騎士!マントーマンパンチ!」
「ガハハハ!きかぬわ~!」
「ぐわぁぁああ!」
「一号!くそう!これならどうだ!マントーマンキック!」
「ガハハハ!きかぬきかぬ~!」
「ぐあぁあああぁ!」
「マントーマン!!!」「マントーマン!負けるな~!」「マントーマン!頑張れ~!」
「この!悪魔め!」「暗黒騎士め!」
「こ、こら!石を投げるな!誰だ!卵を投げたのは!やめんか!こら!」
大丈夫かしら叔父さん……。凄い!全部避けてる……さすが騎士団の偉い人ね!格好いいわ!
「はぁ。よくこんなので熱くなれるわね……。ビックリよ……」
「アイリス。凄く面白いじゃない……フフフ……アナタも可愛かったわよ」
「……当たり前でしょ?てか……笑ってたでしょ?」
「…………笑ってないわよ?」
「本当?おばさん?」
「笑ってたわよ?盛大に」
「お、お母さん!」
「嘘はイケないわミリャ。正直に生きなさい」
「ご、ゴメンねアイリス!私あれを見ると、どうしても笑っちゃうのよ……」
「はぁ……。今度、お姉ちゃんも皆の前でやってよね!じゃないと、絶対に許さないからね!」
「わ、解ったわ!」
もう!お母さんたら……。どうしよう……恥ずかしいわ……でも。皆も頑張ってるんだし私も頑張らなきゃ!
三人称か一人称か迷うましたが、ふわふわさせたいのでミリャナ視点ですw
市民は魔物と暗黒騎士にガチ切れしてますw
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