新王誕生
中央王国をどうするか決まりますが……
ある程度、対処法が決まった所で次は中央王国乗っ取りについてだ
「乗っ取るメリットは、情報の見える化」
「見える化?」
とグレイ。
「可視化するって事か?」
とヴァイド。ポタンの話に反応したのは二人。元気とニコラウスは、何となく話を聞いている感じだ。
「うん。情報の開示を徹底させるのよ……。あぁ、パパ達は少しおやつタイムしてて良いわよ?難しい話解んないでしょ?」
「うん!そうする!」
元気はそう答えるとニコニコおやつタイムに入る。ニコラウスが、ポタンを不安気に見やるが、ポタンがニコリとすると安心した様でニコラウスもおやつタイムに突入した。
「結局、大きな問題を起こすのは中央でしょ?なら起きない様に監視すれば良いのよ」
「言うのは簡単だが……アルカンハイトでさえ苦労してるのだ……中央など更に難しいのでは無いのか?これ以上管理の仕事が増えると死んでしまうぞ?」
ヴァイドが腕を組みながら難色を示す。
「別にじいじが、管理しなくても良いのよ」
「む?では誰がするのだ?……ほれヴァイド」
グレイがヴァイドにお茶を渡す。
「ありがとう兄貴。そうだな、誰がするのだ?」
「それは……」
ポタンがニコラウスを見やる。それに二人も同調する。ニコラウスは美味しそうにクッキーを食べている。
「……しかし。見た目は大人でも内面は……まだ子供だ。どうなるか……」
グレイが髭を摩りながら困惑する。
「仕事なんて徐々に覚えて行けば良いのよ。そして子供だからいいの。変な事を覚える前に取り込んで、純粋なまま教育すればいいのよ」
「言っている事は解るが……そう上手くは……」
「おじちゃん……別に一人でしろって訳じゃ無いのよ?中央には中央の貴族がいるでしょう?しかも今回変な影響を与えそうな貴族はほとんど消えるわ」
「しかし、卑しい実力者もいるぞ?ソイツが国の中枢をになう物だったらどうするのだ?」
「じいじが言いたい事は勿論解る。だから王国を引き継がないのよ。新しい国にするの!」
ポタンが言った言葉に二人が固まる。ポタンはそれを見て満足気だ。
「それなら、過去の事なんか関係無いでしょう?歴史は尊ぶべき物だから保管はしたとしても、やり方まで引きずる必要は無いわ」
「うむ……過去を捨てて新たにか……確かにそうすればいいが、過去に執着するじじい共はどうする?こっちにはいないが、向こうにはいるぞ?」
「フフフ……そんなの引退してもえらえば良いのですよ」
「そんな簡単に……とても納得するとは……」
「させるんですよ。天罰で……。ね。パパ」
「ん?そうだね?……それでさ~ミリャナがね~」
ポタンに一瞬反応した元気だったが、現在ニコラウスとの彼女自慢合戦の方が忙しい様だ。
「力業過ぎるが……。まぁ、何と無く出来そうな気はするな……。国を滅ぼした神オルフェウスの逸話は有名だからな……元気が居るから出来る事か……」
「そうですね。何だかんだパパが居るから出来るんですよね……」
「へへへ……。でさ~この前お風呂にさ~……」
褒め言葉だけはしっかり聞こえている元気だった。
「そしてですね!ふふん!私がなぜこの様な提案をしたかと言うとですねフフフ……」
意味深に笑うポタンにこれ以上の事が何かあるのか……。っとグレイとヴァイドが息を呑む。
「空間を繋ぐゲートを完成させたのです!」
どーんとポタンが胸をはった。お胸の兎ちゃんアップリケも誇らしげだ。
「そ、そうか……凄いな……」
「う、うむ……驚きだな……」
「あ、あれ?もっと、ひゃ~!とか言って驚くかと思ったのに……。ねぇ。パパ?……私ね。空間を繋ぐゲート作ったんだけど?」
「うおえぇぇぇえ!!!何だって!?それって!ドアを開くと、どこでもお風呂場に行く事が出来る夢の道具じゃ無いか!!!でかしたぞポタン!凄いぞ!ポタン!流石だポタン!フフフ……この子俺の娘。……凄いだろ~?……この前なんかさ……」
今度はニコラウスに娘自慢を始める元気。それを見て、そうコレコレ。と満足するポタン。
「あ、いや。本当に驚いているが実感がわかんのだ……」
「うむ……。想像がつかん……ダンジョンのゲートみたいな物か?」
「うん。これで、こっちと中央を繋いで報告連絡相談を瞬時に行える様にするの……そうすれば、問題が大きくなる前に対処出来るでしょ?……大きくなる前に問題事を解決すれば、大きな問題はほとんど無くなるんだし……ね?おじちゃん?」
「俺を見るな……耳が痛い」
個人的な問題を大きくしたグレイが、ポタンから目をそらす。
「フフフ……。一人でじゃ無理だけど皆でだったら出来るでしょ?大きいか小さいかの違いなんだし、それに補充要員はユートピアにも、アルカンハイトにだっていっぱいいるわ」
「確かに……専門職の能力を生かし切れていない獣人や魔族が多いな……。なる程。ゲートはソイツらの行き来にも使えるのか……」
「ご名答。そして、こちらからは人員を派遣する感じにして、中央からお金を貰う。そうすれば、中央が安定してアルカンハイトの手を離れても永久に外貨が稼げるわ」
「そこまで考えておるのかポタンは……」
「まぁ、穴は所々あるけどそこは現場に任せるしか無いんだけどね……後はやってみないと解らないわ……解ってるのは、このまま行けば中央が滅んで被害が拡大するって事だけ」
「……そうだった。色々と内容が濃い過ぎて魔物の存在を忘れていた……」
「うむ。そうだな……。しかし……我々が世界規模で動く日が来ようとは……」
深刻そうに考えこむ二人。
「フフフ……。パパ?ママの住むこの世界がピンチよ?どうする?」
「え!じゃ、ミリャナの為に世界を救わなきゃ!……で?どうするの?」
グレイとヴァイドが元気を見て呆れる。
「ハハハ!神様は本当にミリャナ様が好きなんですね~。僕ももっともっとヒラリーを愛さなきゃ!」
そう笑うニコラウス。
「……まぁ。コイツらが国のトップであれば、世界は平和なのかもしれんな……」
とグレイ。
「下が苦労するだろうがな……そこは、何処かの誰かに任せよう……」
とヴァイド。深く考えるのを諦めた様子だ。
「じゃ。大まかな流れはそんな感じでニコラウスには中央の国民を救ったヒーローになって貰います」
「え!」
っと驚くニコラウス。
「急に現れて俺が王様だ~!ってのもおかしいでしょう?」
「確かにそうだな?どうするのだポタン?」
「私が台本を書くから、その通り動いてくれればいいよ!演出はパパね!色々とホログラム出して貰うから」
「任せろ!え~!何か面白そうなんだが!」
「……遊び気分過ぎやせんか?お主ら……。しかしヒーローとは英雄みたいな物だろう?衣装はどうするのだ?設定は?プロットを書かねばいかんのでは無いか?」
「あ、あの……」
「あ~。どうしようか~やっぱ強そうなのは竜だよな~」
「うむ……。魔獣ケルベロス等を模して黒の鎧とか……」
「おっさん、それじゃ暗黒騎士見たいじゃ無いか?……あ、じゃ。おっさんが暗黒騎士になって、城に魔物を放った悪者になれば?それをニコラウスがズバッと」
「ふむ。なる程……」
「パパ。シナリオは私よ?もっと爽やかなのがいいわ!」
「爽やかなのって……どんなのさ?」
「ママが天使の様にお空から降りて来て……言うの。新たな王はニコラウス。世界を愛しなさいって。私はポタンを愛しますってね!」
「おいおい!ポタン!ズルいぞ!パパも入れろ!ミリャナが天使の様に降りて来るのは賛成だな!大賛成だ!」
「あ、あの……僕はヒラリーと一緒に生活出来れば……」
「……ニコラウス?あなた……自分が良ければそれでいいの?亡くなったお母様に恥ずかしく無いの?」
「え!あ、いや……そんな訳では……でも、僕には……」
「ニコラウス。大丈夫だ。俺とポタン。そして、叔父上におっさんもついてる!俺達……友達だろ?」
元気がニコリとしながらニコラウスに言う。
「と、友達……」
「あぁ。友達だ。だから全力で応援する。駄目かな?」
「えっと……」
「パパ?……ニコラウスが困ってるわ……。大体がパパと友達になるなんて嫌に決まってるでしょ?ねニコラウス」
「い、いや……そんな事は……」
「いやいや!気を使わなくて良いんだ!ニコラウス!……へへへ……俺……人間の友達少なくてさ……一人で盛り上がっちゃったけど……何かゴメン……ニコラウスはそんなつもりじゃ無かったよな?」
「いえ!僕も!友達……と思ってもいいですか?」
「も、勿論だよ!」
そう言って少し照れながら笑顔で握手する元気とニコラウス。
「じゃ、頑張れよ!ニコラウス!」
「え?」
ポカンとするニコラウスを二匹の悪魔がニコニコと笑顔で見つめる。
「……。まるでリャナを見ている様だ」
「ハハハ……兄上がいつもああやって言いくるめられてたね」
ニコラウスに同情するグレイに、楽しそうに見学するヴァイド。
「応援するから!な!」
元気ががっしりとニコラウスの肩を掴むと、ニコリと微笑む。ニコラウスは逃げられない。
「…………が、頑張ります」
こうして、中央王国の新王にニコラウスがなる事に決定した。
さて、結局はこんな感じですw
彼等には自由に遊んで戴きましょう!
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