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刑罰

え?そうなるの?

 元気はアイリスの、苺パンツをおもむろに頭から外しポッケにしまうと、ダルドリー達の顔を見回し、コクリと頷く。そして質問を開始した。


「お姉さんは、中央から来たんですよね?」


「……えぇ」


 元気にまだ少し怯えている女性。


 黒髪ショートで利発的な顔立ち。身体を布で隠しているが、色々と見えている。結構立派な物をお持ちだ。と元気は思う。


「中央では……。流行っているんですか?……パンツ……あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃあ!!!」


「ひぃぃぃぃぃぃ!!!」


 ポタンの電撃が元気を襲った。それを見て女性が悲鳴を上げる。


「ポ、ポタン!気持ちは解るが、今は我慢しろ!怯えている!」


 ヴァイドがポタンを止める。


「……。すいません……。つい……」


「……。コイツは本当に馬鹿かもしれんな……」


 グレイが元気に呆れる。


「ひぃ~。仕方ないだろ!急に呼ばれて、他に聞く事無いんだから!大体、おっさんだって興味あるだろ?叔父上も、父さんだって!」


 周りの大人を見回す元気。それに対してグレイとヴァイドが、ス~っと目を逸らし、ダルドリーが元気の肩に手を置き答えた。


「元気。……この前話しただろう?本音と建て前は違うのだ。体験して解っただろう?おめでとう。……一つ大人になったな」


「き、汚ぇ……」


「綺麗な大人などおらん……。それでも生きなければいかんのだ……と、言う訳だ。なのでヴァイド……俺は、もう帰って良いかな?」


「駄目に決まっているだろう!」


 グレイがダルドリーに怒る。それを見てヴァイドが楽しそうだ。


「はぁ。もう良いわ。私がお話します。いい?御爺様?」


「ん?あぁ。頼むポタン。女性同士話しやすいだろうしな」


 ヴァイドがポタンにニコリとする。ポタンはヴァイドのこう言う所が好きだと思う。


「女性同士ってポタンは赤ちゃんじゃん……う、うそうそ!ちょっと!……た、助けてお姉さん!」


「えぇ!?」


 元気が、女性の座るソファーの後ろに隠れてしまった。


「女を盾にするとは……。根性を叩き直さねば……」


 グレイがまたまた元気に呆れる。するとダルドリーがグレイをからかう。


「いやいや。情け無い男が好きな女性もいるのだぞ?グレイ。グレイスもその類いの女性だろう?……まさか、グレイは自分がカッコ良くて、勇ましい、知的な王子様と思っているのか?」


「む。……そんな事は微塵も思ってない。しかし俺は、グレイスを盾に隠れたりはせん」


 少しスネるグレイ。そんなグレイの発言を聞いて女性が反応した。


「グレイス!?って事は……ここは、アルカンハイトなの?……あの娘は……無事なの?」


「……あぁ。グレイスは無事だ。知っているのか?」


 グレイスの名前を出した女性に、グレイが少し警戒体勢に入る。


「えぇ。……そう。あの娘はまた助かったのね……。そして私はまた。あの娘のせいで家族を……。。……え。何で!?……どうして……」


 そう言ってお腹に触れ、ポロポロと涙を流し始める女性。


「……。やっぱり。妊娠してたのね……」


 ポタンの言葉に驚く一同。


「……。もしかして……お主……ヒラリーか?」


 グレイの問いかけに静かに頷くヒラリー。


「何があったか、話して欲しいんだけど……良いかしら?」


 ポタンがヒラリー正面に座ると、ヒラリーがポタンに驚いた様子を見せる。


「元気。お茶~」


「はい!喜んで~」


 ダルドリーの一言で、いつ出ようか迷っていた元気が元気に飛び出し、お茶の準備を始めた。


「……。グレイスの方が話しやすいとかなら、グレイスを呼ぶけれど……どうする?」


「……辞めて……。呼ばないで……会いたく無いわ……。あの娘がいると……私は私を嫌いになるの……汚い自分が……どうしようも無く嫌になる……。もう。名前も聞きたく無いわ……」


 その時。カタン。と扉の前から音が聞こえた。


 ヒラリーは気付いていないが、他の皆は音と何者かの存在に気付く。そして、グレイが人差し指を立てて、気付かない振りをしろ。と合図する。それに皆がコクリと了解した。


 グレイスの最近の楽しみは、お城内のお散歩だ。皆はそれに気付いたのだった。


「どうして……。自分を嫌いになるのだ?」


 グレイが少し大きめな声で、ヒラリーに問いかける。するとヒラリーもつられて声が大きくなる。


「全部が全部!あの娘のせいじゃ無いって解ってる……。でも、あの娘のせいにしないと、やってられなかった!村が無くなったのも、化け物に彼が捕まったのも!私が殺されそうになったのも!全部。王と化け物のせいよ!でも……」


「……感情をぶつける相手がおらんかったのだな……」


「そうよ……。私は自分より可哀想なあの娘を見下す事で……。せめる事で……。イジメる事で鬱憤を晴らしながら生きて来たの……。でも、笑うじゃ無い。あの娘。昔と変わらず……。笑うのよ?……その度、腹が立つの……意味が解ら無いわよね……。私も解らないわ……その度、自分が嫌いになるのよ」


「ヒラリーは、グレイスの事が嫌いか?」


「……。嫌い……になれたら良かったんだろうけどね……無理よ。あの娘変わらないんだもの……。良くも悪くも。ずっと私の好きだった。グレイスのまんま。……だから。会いたく無いの……。あの娘と自分を比べてしまうから……。あの娘は、王室で贅沢な暮らし。私はメイドで質素な暮らし……。そしてあの娘は、変わらない笑顔……。私は……笑えない……。。……つまらない嫉妬よ……」


「そうか……」


 グレイはその話を聞いて、安心する。そして覚悟を決めた。


「こんな話はどうでも良いでしょ?一体何なの?」


「ちょっと待っててくれ……」


 そう言うとグレイは足音を立てずに扉の前に進み。ガチャッと扉を開けた。


「ひえっ!」


 すると、短い悲鳴と一緒にグレイスが地面に倒れた。


「グ、グレイス!?貴方いつから!?」


「ぎゃ!」


 グレイスが現れた驚きでヒラリーがガタンと立ち上がり。丁度クッキーを準備していた元気の頭に、熱々の紅茶をぶちまけた。


「……。あ、あれ?ヒラリー。今日はどうしたの……。あ!ゴメンね!私……用事があるから……ゴメンね!……」


「こら。待て。グレイス。盗み聞きは重罪だぞ?どうするんだ?……お前は今。重罪人だ」


「え!?」


 グレイの言葉に青ざめるグレイス。


「罰だ……。ドレスを脱げ……」


「え……?」


 グレイの言葉に戸惑うグレイス。


「あ、兄貴!何を言ってるんだ!」


「ヴァイド……。ここは、グレイに任せろ」


「で、でも……」


 グレイ達に近付こうとするヴァイドを、ダルドリーが止める。そして、グレイに向かってヒラリーが声を荒らげる。


「な、何を言っているの!?変態!グレイス!早く逃げなさい!この人達絶対におかしいわ!」


 グレイスが、グレイを不安そうに見やる。すると、グレイが真剣な眼差しでコクリと頷く。


「……わかった」


 そう言ってドレスを脱ぎ始めるグレイス。その光景に息を呑み全員が見守る。


「ソファーの前まで歩け」


「うん」


 お腹を隠しながら、下着姿になったグレイスがヒラリーの前まで歩く。その後ろ姿にヴァイドとダルドリー元気とポタンが驚く。


「な、何をさせる気!?」


 ヒラリーが、グレイを警戒する。


「なぁに。罰を与えるだけだ……。グレイス。お前の……宝物を見せてやれ……」


「で、でも……」


「大丈夫だ……」


「うん……」


 ヒラリーに背中を見せるグレイス。グレイスの焼けただれた背中を見て、ヒラリーが絶句する。


「あ、貴方……それ……」


「グレイスの宝物だそうだ……友達の為に頑張った証だから、消したく無い。と言ってな……」


 それを聞いたヒラリーが、グレイスを信じられない物を見る目で見やる。


「あ、あのね……。私が頑張って我慢して死ななければ、ヒラリーは殺されないって言われてね……」


「そ、そんな事……一言も……。それに私は、アンタを……」


「いいの。ヒラリーが怒るのも当然よ……。皆が死んだのは、私のせいなんだから……」


「ち、違う。それは……」


 ボタボタっと、ヒラリーの瞳から大粒の涙が落ちる。


「私ねヒラリーに感謝しているの、ヒラリーがいなかったら、もうとっくにお星様になってた……」


「何で……言わなかったの……」


「心配掛けたく無かったから……。それに、会えるだけで良かったの……でも……ヒラリーが辛いなら……もう……」


 グレイスがそこまで言った時だった。


「グレイス。領主一族の機密会話を聞いた者は、死罪だ」


 グレイはそう言うと、腰の剣を抜き。グレイスの腹を突き刺した。


「グ、グレイ……?」


 驚きで目を見張るグレイス。グレイはそんなグレイスに微笑む。


「最初のお願いは、殺してくれだったな……グレイス。約束は守ったぞ……。星の国だったか……先に行って待っていろ……」


「無いって……。言ったクセに……フフフ……。ずっと待ってる」


 ニコリと微笑みながら、グレイの足元に崩れ落ちるグレイス。


「おまえぇえぇぇぇぇ!?」


 間髪入れずにヒラリーがグレイに飛びかかる。元気達は何が起きているのか、まったく解らず動くのが遅れた。


「だ、駄目だ!」「待って!」「止まれ!」


 元気、ポタン、ヴァイドの叫び虚しく……。


「……お前は、王族に茶を零した不敬により処刑だ。グレイスと星の国で仲良く過ごすが良い……」


 飛びかかって来るヒラリーの胸を、グレイが一刺し。グレイスの上へとヒラリーが転げ落ちた。


「グ、グレイス……。ご、ゴメンね!ゴメン……ゴメン……ゴメンね……」


 泣きながら謝るヒラリーに、グレイスが力無くニコリとする。


 そして二人の意識は仲良く、闇の中へと落ちていったのだった。

フフフ……。どうしてこうなった?w


とうとう。グレイとグレイスが勝手に動き出しましたw


本当は予定に無かった話ですが、まぁ。二人が動いたので流れに任せましょう!


ブクマ:評価:良いね等々よろしくお願いします!

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