表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/242

異国のお姫様

お城の広間には、

オジサンしか居ませんでしたね。


中央王国の闇が見えて来ます。

 戦艦内部では、騎士達が荷下ろしを進めている姿がチラホラと見える。そんな中、元気は姫君が居る客室へと向かっていた。


「聖人様!お久しぶりで御座います!」


「おぉ、アルビナ!」


 笑顔で元気に駆け寄るアルビナ。狼族の少年とトカゲ族の兵士も一緒に付いて来る。


「こ、こんにちは!聖人様!ガリオです!」


 トカゲ族の兵士が、胸に手を当てて敬礼をする。身体の割に声が幼い。少年兵なのだろうか?と元気は思う。


「ヘイトです」


 狼族の少年が敬礼をしながらも、ぶっきら棒に挨拶をする。元気と同じ位の背丈で、大きな耳と尻尾が愛くるしい。


「ヘイト!しっかりと挨拶をせんか!まったく……。今日はどうされましたか?我々の様な虫けらに、何か御用でしょうか?」


 ニコリとそんな事を言うアルビナに、そうだった、こんな人だったと元気は思い出す。


「い、いや。あの……グレイのおっさんが、姫君を保護?したって聞いて……」


「あぁ!アレですか!敵国の姫君の処分に参ったのですね!あそこの部屋におります!」


「しょ……処分?」


 ガリオが元気を見ながら、ゴクリと息を呑む。ヘイトも「ひでぇ……」と言いながら一歩引く。


「いやいや!話を聞くだけだって!何か、困ってるかもだろ?……怖い事を言うなよな!」


 元気の言葉を聞いたアルビナの表情が、一変。笑顔から怒りの表情へと変わる。


「話を聞く!?何を言っているのだ!?アレはアルカンハイトを切り捨てた国の人間ぞ!!!話など聞く必要も、助ける必要も無い!!!問題事しか起こさない!虫よりも厄介な物だ!!!」


 元気に怒鳴りながら、アルビナが通路奥の部屋を指さす。いきなり怒鳴り出すアルビナに、元気が驚き慌てる。アルビナは怒り冷めやらぬ様子で、扉を睨みつける。


「……聖人様。アルビナの弟が……。中央で戦死してたんだ……それに、何人か戦争からの帰還者も乗ってる……皆……ボロボロ。その、アルビナも悪気があって怒鳴ったんじゃ無いんだ。……許してやってよ……」


「ぼ、僕からもお願いします……」


 ヘイトとガリオが元気に頭を下げる。


「お、怒ってないよ。驚いただけ……頭を上げて……。そっか……弟さんが……辛いよな……」


 ミールを失っていた時期のミリャナを見ている元気は、アルビナの事が心配なる。しかしどう声を掛けていいか解らない。


「す、すいません!聖人様!個人的な事で声を荒らげてしまい!どんな処罰でもお受けします!望むのであれば、喜んで腹でも切ります!」


 そう言って頭を下げるアルビナ。本当にしそうで怖い。と思う元気。


「処罰って……。あ、じゃ、そこの二人が立派な戦士になるまで、面倒をちゃんと見る事がアルビナの罰だ……悲しいからって、変な事は考えないでね……」


 アルビナの身体がピクリと反応する。どうやら、何か考えていたらしい。


「聖人様は……。希望を失った私に……一人で生きろ。と言うのですか?……罰が重過ぎます……いっそ……」


 元気がアルビナの言葉を遮る。


「……一人でって……。ヘイトもガリオも居るじゃ無いか?アルビナにとって、そこの二人はどうでもいい人間なの?そりゃ……弟の代わりには、ならないだろうけどさ……」


 アルビナが、頭を下げたままのヘイトとガリオを見やる。


「…………。聖人様……寛大な処置……お礼を申し上げます。虫けらな私ですが、コイツらを命に代えてでも立派に育て上げ。聖人様のお役立てる様。精進したいと思います」


「いや、虫けらって……それに命も掛け無くてーー」


「ーー聖人様……。もういいよ……急いでるんだろ?これから、コイツの事は俺が見張っとくから……。大体、聞いてた話と違うじゃねぇか」


「話が違う?」


 ヘイトが頭を上げて、元気に向かって腕を組む。


「虫けらだの、羽虫だの人をコケにするムカつく野郎かと思ったら、普通の奴じゃねぇか、そりゃ、力は凄いんだろうけど」


「へ、ヘイト!言葉が過ぎるぞ!す、すいません!聖人様!どうか、お許しを!コイツはまだ、子供で!なのでどうか、お命だけは!」


 アルビナが頭を下げ過ぎて、土下座してしまった。


「はぁ……。ヤバい奴の匂いがしないんだよ。聖人様からは……。コイツが勝手に誤解してるだけだろ?」


「ま、まぁね……。正直……。普通に話してくれる方が有り難いかな……」


「も、申し訳ありません!聖人様!」


 土下座を辞めないアルビナに、ヘイトが呆れた表情を見せる。その後、アルビナの代わりに色々と説明してくれた。


「ったく。姫君は、あそこの部屋にいるから、それと、戦場から帰還した兵士は一度、兵舎で休ませておくよ。そんな感じでいい?」


「あぁ。ありがとう。そんな感じで頼むよ」


 元気がヘイトにニコリとすると、ヘイトもニッと返してくれた。


「ガリオ。アルビナを抱えろ。聖人様の仕事の邪魔だ……ったく……。じゃあな、聖人様。……その、助けて貰った事……すげぇ感謝してる……」


 去り際にそんな事を言うヘイト。


「解った。行こうアルビナさん!あ、聖人様!僕も、毎日楽しいです!ありがとう御座います!」


 そう言いながら、アルビナを抱えるガリオ。


「こ、こら!お前達勝手に!聖人様!お、お許しを!……こ、こら!は、はなさんか!な、なにとぞお許しを!」


 そう言いながら、ガリオに抱えられたアルビナ達三人が去って行く。その騒がしい後ろ姿を見て、何だか嬉しくなる元気だった。


 三人を見送ると、姫君が滞在中の部屋をノックする元気。しかし返事が無い。元気は帰ろうかな?と思うが、そうも行かない。


「失礼しま~す」


 元気が部屋をのぞき込むと、ソファーに女の人が一人。ポツンと座っていた。


 豪華なボロボロのドレス。整った顔や、長い手足には泥が付着したまんま。長い金色の髪はボサボサ。年の頃は、20~25。成人の女性だ。


 眠れていないのだろうか?怯えた様な青い瞳の眼下には、深いくまが出来ている。小刻みに震える瞳がジッと元気を見据える。何があったんだ?そう思うと同時に元気の目にある物が飛び込んで来た。


「首輪……?姫君って……これは……」


「そう。まるで、奴隷よね」


「うお!イグアナ!いつの間に!?」


「ちょっと、驚きすぎよ……」


「ご、ごめん……」


 背後にいつの間にか立っていたイグアナに、元気が驚く。性別は男なのだが、化粧をバッチリ決めて、今日はキラキラのスーツを着ている。


「お風呂に入れようとしたけど、嫌がっちゃって……。グレイのオジサン以外とは、話をしないのよ……」


「そうなの?」


「ええ。名前はグレイス。……王室で王妃として飼われていた性処理用の奴隷らしいわ……」


 イグアナが何を言っているのか解らずに、元気の思考が停止する。


「い、意味が解らないんだけど……」


「私もよ……。それ以降、グレイのオジサンも話して無いみたいだし……。ああ見えて、ウブなのよね、あのオジサン。お風呂も無理だ!って言って入れないし……。ちょっと救世主様。話して見てくれる?」


 イグアナが頰に手を当て、溜息を吐く。


「良いけど……」


 元気がグレイスにゆっくりと近づく。するとグレイスが膝を抱えて身構えた。


 膝を抱える腕には、紫色の指の後が無数に付いている。どれ程握り締めて来たのかと元気は思う。


「こ、こんにちは、俺は元気って言います。よろしくね」


「……………………」


 元気がニコリとするが無反応。


「そ、そうだ!お腹空いてません?」


 元気がクッキーを出すが無反応だ。


「……………………」


「ここに、来た理由は何かな?」


 やはり、無反応なグレイス。


「どうすりゃ、良いんだこれ……。何でグレイのおっさんにだけ……」


「…………!」


 グレイと言う言葉に反応するグレイス。


「……もしかして……。グレイのおっさんの知り合いとか?」


「……………………」


 無言だが、少し目が泳ぐグレイス。知り合いって訳でも無いようだが、反応はアリだ。


「グレイのおっさんに……。会いたい?」


「………………」


 コクリと頷くグレイス。


「解った!連れて来るよ。でも……その姿のままじゃ、嫌われちゃうかもな~。ハハハ……。まぁ、おっさんに嫌われた所で……え!?」


 軽口を叩いて、コミュニケーションを取ろうとした元気だったが、大失敗。目を見開きボロボロとグレイスが泣き出してしまった。


「な、何やってのよアンタ!?」


 イグアナに怒られる元気。


「い、いや!俺は何も!ちょ、ちょっとおっさん捕まえて来るから、イグアナ!頼んだ!」


「ちょ、ちょっと!もう……」


 呆れるイグアナを残し、元気は戦艦を飛び出しグレイを探しに向かった。

前書きでそれっぽく言いましたが、それっぽく繋げただけですw


さて、次回は城の様子か、聞き取りの様子か、どっちから書こうか迷い中w


ブクマ:評価:コメント等々、ご協力よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ