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お遊戯会

メルディは一生懸命頑張ったのです!

『魔法学園初等部の演劇。モー・モタロウです頑張って練習しました!よろしくお願いします!』


 元気達は、魔法学校のお遊戯会へメルディを見に来ていた。


「楽しみだな~、叔父上と、母上はメルディが何をやるのか知ってるんですか?」


「……。知っているが、内緒だ」


「そ、そうね。探すのも楽しみの一つよ?」


「フフフ……。そうよ。元ちゃん、どんな役でも可愛いわよ」


 ヴァイド。ヴェルニカ。ミリャナが元気にそう答える。


「ハハハ……。懐かしいな……。小さい頃のミリャナを思い出す。ミリャナは、草の役だったな!」


「フフフ……。一生懸命に草を刈って全身に貼り付けて、被れていたわね……」


「え?何それ可愛い。父さん、母さん。後で詳しく教えて下さい」


「お爺ちゃん、お婆ちゃん。私も聞きたいです」


「もう!元ちゃん!ポタン!ダメよ!お父さん、お母さんも、言ったら許さないからね!」


『客席の方々……。お静かにお願いします』


「す、すいません……」


 アナウンスに怒られたミリャナが耳まで真っ赤にすると顔を覆った。すると会場内にクスクスと笑いが起きる。


 元気達は、客席の端っこ前列に陣取り。本日は大所帯での見学である。ミールはアルトと一緒に廊下の近くで見学だ。

 メルヒオーネは前列で元気のスマホを持って撮影している。


『では、開演です!』


『昔、昔。ある所に、ガン・ダームと、ニールバッシュが住んでいました』


 ロボットを模した服を着た二人の子供が登場。だが顔が隠れているので、誰か解らない。


「ガシーン!」 「ウィーン!」


『ガン・ダームは、山にダム狩りに、ニールバッシュは川へ、波に乗りに行きました。すると、川上からどんぶらこ~。どんぶらこ~と、マキシマムトマートが流れて来ました』


 木で作った大きな赤い野菜を上下に揺らしながら、子供達が舞台を歩き回る。


『ニールバッシュは、マキシマムトマートを食べようと思い。お家に持って帰りました』


 子供が野菜を持って舞台袖に消える。すると舞台が暗転して、背景が手描きの家の中に変わった。


『ガン・ダームとニールバッシュが、マキシマムトマートを割ると、中から小さな髭のオジさんがビョーンと飛び出しました』


「ガシーン!」 「ガシャーン!」


 子供達が、青いつなぎを着た犬子に驚く。


『ガン・ダームとニールバッシュは、その髭のオジさんに、マリ男と名前をつけると大切に育てました。そして、マリ男が大きくなると、鬼を退治して恩返しをします。と言って鬼退治の旅へと向かいました』


「ひびご~!」


 獣子がビョンと跳ねる。と舞台が暗転。景色が草原に変わった。

 舞台の真ん中には、妙にリアルな1本の木が、不自然に立っている。


 それを見たヴァイドとヴェルニカが、同時におでこを片手で抑え、目を閉じ首を振った。


『マリ男は旅の途中で、仲間が出来ました。ゴックウとケーン・シロとラミーアです』


「オッス!」

 と、胴着っぽい服を着た男の子。

「ほわった!」

 と、眉毛を濃い男の子。

「ひょろろろ!」

 と、木の羽をつけた猫子の女の子。


 それぞれがアクションをとる。


『マリ男達は、鳥のラミーアに乗ると鬼の住む島まで飛んで行きました』


「ひびごー」


 それに合わせて子供達がジャンプすると、舞台が暗転し、鬼ヶ島の風景に変わる。中央にあった木が、少し舞台袖に移動していた。


 だが、暗転中に舞台袖まで移動出来なかった様で、背中が半分見えている。

 それを見て、ヴァイドとヴェルニカが、「ぁぁああぁ……」っと顔を覆った。


『鬼ヶ島につくと、メイド服を着た美人で可愛い鬼が、鎖鉄球を振り回しながら、襲って来ました』


「旦那様~。見てて下さいね~!」


 アイリスが舞台上から元気に手を振る。それに元気も手を振り返す。


「ハハハ!アイリス~頑張れ~」


 元気がそう言うと、どっと会場に笑いが起きる。ミリャナは恥ずかしそうに顔を覆い、ダルドリーとリャナは観客と一緒に笑う。ヴァイドとヴェルニカはそれ所では無い。


「ひゃははははははははは!」


 アイリスが鎖鉄球を振り回しながら、次々に子供達をなぎ倒して行く。


「おめぇ!強ぇなぁ!」


「あべし!」


「ひょろろろろ!」


 マリ男以外が舞台袖に消え、アイリスとマリ男。一対一となった。


『強すぎる鬼にマリ男がピンチです!皆さん応援をお願いします!』


「頑張れ~!」と会場が盛り上がる。


『皆の応援が、マリ男に届いた様です!ありがとう御座いました!』


「フフフ……。やるでは無いか……小娘……」


 そう言うと、黒い仮面をかぶるマリ男。


「旦那様は私が守ります」


 アイリスがブンブンと鎖鉄球を振り回す。


「行くぞ!」


 マリ男がそう言うと、ブゥンとビームサーベルを出しブゥン。ブゥン。と振り回す。それを見て観客から、おぉ~。っと声が上がった。


「かかって来なさい!マリ男」


 マリ男が、アイリスにブゥン。と縦切りをする。それをアイリスが鎖で受ける。するとギィインと音と共に、火花がバチバチバチっと散る。


「おりゃ!」


 アイリスがビームサーベルを弾き返すと、マリ男めがけて鎖鉄球をドゴーンと打ち込む。それをマリ男がピョンとジャンプで避け、アイリスの足元へビームサーベルを打ち込む。それをアイリスもジャンプでかわす。


 一進一退の攻防続く。


 エフェクトのクオリティーが高く、観客達は息を呑みながら見守る。


「はぁ……。はぁ……。やるわね……マリ男……」


「フフフ……。お前な鬼よ」


 そう言うと、アイリスとマリ男はお互いに武器を構え、力を溜める。そして、バチバチっと虹色に魔力が爆ぜた瞬間。


「おろち一閃・千空撃!」


「ラブリー・インパクト!」


 白く輝く龍と、ハートのエフェクトをまき散らす鎖鉄球が衝突し、ズゴーンと爆音と共に白い煙が上がった。


 白煙が薄くなると、膝をつくマリ男の前にアイリスが倒れていた。


「マリ男……。私の負けよ……。財宝は持って行きなさい……」


「鬼よ……。宝などいらぬ……。俺は、君が欲しい……」


「馬鹿な男……」


「ハハハ……。そうだな……愛してる……」


「フフフ……。私も……どうやら……。心までやられちゃった見たい……」


 アイリスとマリ男が手を握り合うと、舞台が暗転し幕が閉じた。


『こうして、マリ男と鬼は幸せに暮らしましたとさ。お終い!ありがとう御座いました!』


「わぁああああああああ!!!」


 客席の保護者達が立ち上がり、拍手をする。拍手の嵐の中で、子供達が舞台に上がり。皆でお辞儀をしてお遊戯会は終了したのだった。


「メルディは最後しか、解んなかったけど……。何処で出たんですか?何か、ションボリしてたし……」


 元気がヴァイドに質問する。


「……。いいか?元気……。気付かなかったお前が悪い。何処に居たんだ?とか、メルディに聞くんじゃ無いぞ?とりあえず褒めるんだ!」


「そ、そうよね。頑張ってたわ!げ、元気も、皆様もお願いします。メルディを褒めてあげて下さいまし!」


 必死な、ヴァイドと、ヴェルニカ。


「うむ。そうだな……。からかうのは、もっと、大人になってからで良かろう」


「ダルドリー。メルディに嫌われて知らないわよ?」


「うむ。からかうのはやめておくか……」


 と、ダルドリーとリャナ。


「ねぇ?ミリャナ。何処にいたか、解った?」


「フフフ……。後ろ姿で解ったわよ。元ちゃん、絶対褒めてあげてね……。本当に、何処に居たのとか聞いちゃダメだからね!」


「わ、解ったよ……」


 ミリャナの気迫に押されて、そう返事する元気だった。


 その後、大泣きするメルディを皆で慰めたのは言うまでも無い。


「それじゃ、おやすみ元ちゃん」


「うん。おやすみ。ミリャナ」


 元気はそう挨拶をすると、自分の部屋に戻りベッドに潜り込んだ。


「メルディは、何処にいたんだろ?しかし、話は滅茶苦茶だったけど、舞踏は結構凄かったな……でも……」


 元気はメルディがいなかった事よりも、気になる事があった。


 学校には、神の気配も、エルフの気配もポタン以外は無く。劇の内容にはポタンもアイリスも関わっていない。しかし……。子供達が行った劇は……桃太郎ベースのアニメや映画のパロディー物。


「あのシナリオ……。一体。誰が書いたんだ?」

多人数書きは難しい!


処理の為に書いたネタなハズだったのに、結構大事な1話になってしまいましたw


ブクマ:評価:いいね等々、ご協力お願いします!

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