父と母
ダルドリーとリャナの家での顔
ダルドリーとリャナが城に行き、数日が過ぎた爽やかな朝。ミリャナはダンジョン探索を終了し、ミールと孤児院へ。ポタンとアイリスは学校へと向かった。
「はぁ~……。これだ……。美しい程に真っ白……。今度こそ……絶対にこの生活を守らなくては……」
元気はミリャナのパンツを太陽にかざして、透き通る白さを堪能していた。
「お前は……いつもそんな事をしているのか?」
「……あまり、褒められた趣味では無いわね……」
「うひゃ!?」
元気は、背後からいきなり聞こえて来た声に驚き。掲げたパンツを落としそうになった。
声の主は、ダルドリーとリャナだった。
ダルドリーは、半袖に長ズボン。リャナもミリャナの着る様なワンピースだ。
「ダ、ダルドリーさんに、リャナさん……ビックリした~。お帰りなさい」
元気は急いで、パンツを干す。
「あぁ。たただいま」
ダルドリーが元気の頭を撫でる。
「ただいま。ミリャ達は起きてるかしら?」
リャナが家の中を気にする。
「もう、出かけましたよ?皆、仕事です。あ、お茶準備しますね。家に入りましょう」
元気が洗濯かごを持って、家のドアを開けた。
「げ、元気が、客人にお茶を入れるのか?」
「あら、お料理があんなに美味いんだから、お茶くらいお手の物でしょ?」
「うむ。そうか……」
三人は、そう言いながら家の中に入った。
玄関前の席に、二人が座り。元気がお茶を準備すると、驚いた様にダルドリーがそれを見つめる。
「ずいぶん、慣れている様に見えるが……元気は、毎日何をしているのだ?」
「毎日ですか?主に炊事洗濯に掃除ですかね?最近はあんまり出来てなかったですけど……。はい、どうぞ!」
「あら、凄く良い香りね。戴くわ……。えっと……。いただきます。だったわね」
「あぁ。そうだった。いただきます……」
そう言うと二人が紅茶をすする。反応は予想通り喜んで貰えた。
「そうそう、元気。その敬語は辞めて貰って良いかしら?」
「そうだな。それと、お前の事はヴァイドとヴェルニカから色々と聞いた。俺達の事は父さん母さんと呼べ」
「えっと……。その、解りました……」
元気が少し戸惑う。
「フフフ……。徐々にでいいわ。いきなり現れた人にそんな事を言われたとしても、難しいのだから」
「ハハハ……。そうだな。徐々に慣れろ、信用も徐々にすれば良い」
「……うん。ありがとう。父さん……母さん……」
元気は恥ずかしさもあったが、早く慣れようと思った。
「それよりも、元気。何でお前が掃除炊事洗濯をしているのだ?そんなの、女の仕事だろ?ミリャにやらせれば……」
そこまで言って、ダルドリーがしまった!と言う顔をする。
「……ダルドリー?そんなの誰が決めたのかしら?」
リャナがおでこに筋を立てながら、ダルドリーをギロリと睨んだ。
「いや、違う違う……落ち着けリャナ……。その、そうだ!元気は、凄い魔力を持ってるってヴァイドが言ってたろ?だから、お金は元気の方が稼げるじゃ無いか?なぁ?元気?」
ダルドリーが汗だくで、元気へ助けを求める。それに気付いた元気が、助け船を出す。
「ミリャナの希望なんです。その……誰かが家にいると安心するみたいで……」
「……そうか……。すまん。考えも無しに……俺達のせいだな……」
「そうね……。あの子を急に独りしちゃったものね……」
「元気。本当にありがとう……。お前が来てからミリャナが元気になったとヴァイドから聞いた」
「えぇ。本当にありがとう」
ダルドリーとリャナが元気に頭を下げる。
「ちょっと、そういうのは辞めて下さい。俺も助けて貰ったんで、お互い様って言うか……。幸せって言うか、俺の方こそありがとうございます。って言うか……」
焦る元気を見て、二人が笑う。
「ハハハ……。ヴァイドが、からかうと面白いと言ったのは、本当だったなリャナ」
「フフフ……そうね」
「からかうって……。ハハハ……」
ミリャナと居る時とは違った空気だが、元気は安心する。二人の醸し出す空気が、春風の様に暖かく感じるのだ。
「そう言えば、今日はどうしたんですか?」
「あぁ、そうそう、今度。メルディのお遊戯会があるんだが、皆で見に行こうと言う話があってな……。それと……ちょっと後で個人的な話があるのだ」
「そうね。それと……私も後で個人的な話があるの……」
「そうですか……。ここでは……駄目なのですか?」
「駄目だ……」 「駄目ね……」
「そうですか……。じゃ、どうしましょうか?」
「先にリャナからいいぞ……」
「そう?じゃ、元気。付いて来て頂戴」
「?……はい」
リャナはそう言うとミリャナの部屋へと向かう。そしてそれに続く元気。
「それじゃ、お願いね」
「お願いって……何を……!?!」
いきなり、リャナがワンピースを脱ぎ捨てスッポンポンになった。
その姿は正に、ダイナミックボディー。色んな所がピシッと引き締まり。フェルミナに劣らない造形をしている……。しかし、フェルミナとは違って、セクシーな大人の色気が凄く、鋭く美しい顔つきにマッチしいて破壊力が抜群だ。
「か、母さん!何してんの!?」
元気が顔を覆う。
「何って、服を作って貰おうかと思って。メルディにも作ってあげているんでしょ?城で着る服が無いのよ……。ヴェルニカのは、胸のサイズと身長が合わないし……駄目かしら?」
たわわな胸をぽよんぽよんするリャナ。
「わ、解りましたから!ちょっと、これをつけて下さい!」
リャナに元気が水着を渡す。
「何かしらこれ?乳当て?ちょっと、つけて貰える?」
「え!?」
「え!?って、おばさんの裸なんか見たく無いのは解るけれど、流石にそこまで拒否されると私も傷つくわよ?」
「逆です逆!刺激が強すぎです!」
「あら?そう?……。え?あなた、まだミリャナとやってーー」
「ーー良いから!早う水着を着ろ!?解ってやってるでしょ!」
「あら?気づいたのね?フフフ……。本当に面白い子ね……」
「まったく……」
ミリャナの母親だが、ミールの母親でもある事を元気は失念していた。
その後、リャナが胸を当てて来たり。ワザと水着を外したりと、幸せなからかいを受けながら元気は、下着の上下、それからドレスとパンプス。それぞれを5着。それに、寝間着まで作らされた。
「ありがとう。元気。今回はこれで良いわ」
「今回はって……。……てっきり。母さんは厳格で厳しい人かと思ってましたよ……」
「そう?あの時は初対面なのだから、普通はそうでしょ?あなたも、初対面の人の前で、パンツをくんくんしたりしないでしょう?」
「な、なぜそれを!?」
「ポタンが図書室に来る途中に挨拶に来て、教えてくれたわ。見かけたら怒って欲しいって」
「ぽ、ポタンめ!あ、あれはですね!」
「良いのよ、人の性癖なんて、そんなの人それぞれなんだから……。でもミリャナに言われたく無かったら、またお願いね……」
「ぐっ……」
「お礼は……。ミリャナの秘密でどうかしら?お尻の右側にホクロがあるとか……」
「母さん。寒くなるし手袋とかいらない?」
「あぁ、そうね。気が利くわね元気。お願いするわ」
「喜んで!」
お母さんとは仲良くなれそうだ!と思う元気だった。
リャナが終わったら、ダルドリーだ。
「実はな元気……。新しい釣り竿が欲しくてな……。死んだ挙げ句に、家を追い出されて俺は、暇になっただろ?だから、父さん。毎日死んじゃいそうな位に暇なんだ……」
やはり、ミールの父親だった。
そして元気は思った。駄目な両親の元には、しっかり者の子供が出来ると……。
「父さん。これで良い?」
元気は気を使うのが、馬鹿らしくなり敬語を辞めた。
「うわ!凄いなこれ!何だこれ!クルクル回るぞ!竿が伸縮するし!」
リールをクルクル回しながら、喜ぶダルドリーの反応がミールそっくりで元気は、笑ってしまった。
「あ、後な……。外の林にあった、乗り物なんだが……あれは何だ?凄く格好良かったな?あれも元気の物か?」
ソワソワしながら聞いて来るダルドリー。
「バイクですね。使ってないので……いりますか?」
「え!いいのか!?しかし……。タダと言うワケにも……」
「……。じゃ、ミリャナの幼い頃の話とか聞かせて下さい……。ミリャナは恥ずかしがって、あんまり話してくれないんですよね……」
「何だ?そんな事でいいのか?ミリャの昔話か……」
ダルドリーが少し悩んでから、口を開く。
「ある日の夜中にだ。庭からバタバタと何者かが走り回る音がしてな。リャナと二人でこっそり覗きに行ったんだ。そしたら、おしっこを漏らしたミリャが、俺達にバレない様に、シーツを乾かそうと思ったんだろうな。シーツをはためかせながら庭を駆け回ってた事があった。あれは、リャナと二人で爆笑した」
「100点満点です。景品にバイクをどうぞ!」
ダルドリーとも仲良く出来そうだ。と思う元気だった。
元気的には遠慮されるよりも、遠慮無く言って貰えた方が助かるし、嬉しいのだ。
「いや、色々とありがとうな元気!」
バイクにまたがりお礼を言うダルドリー。後ろにはリャナが乗っている。リャナの乗る所には、シートをつけた。
見た目、暴走族のバイク見たいになったが、全体的に黒で少し格好いいと元気は思う。荷物は先に元気が転送した。
「また。遊びに来るわね。その内あなた達もお城に遊びに来なさい」
「解りました。運転気をつけて下さいね」
「うむ。じゃあな!元気!」
そう言うと、ダルドリー達はバイクを飛ばして、城へと戻っていた。
その日の夜。ダルドリー達が来た事。メルディのお遊戯会の事をミリャナに話し、ダルドリーの話が本当かどうか、ミリャナに聞いてみた。
「もう!絶対に私抜きで会っちゃ駄目だからね!」
顔を真っ赤にして怒るミリャナを見て、今度、お茶菓子を持って父さん母さんに会いに行こう。と思う。元気なのだった。
ダルドリーとリャナがどう言う人達なのかをちょっとだけ。
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