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魔王の行く末

ポタンは天才、元気は子供を操る天才w

 ヴェルゴレを復活させた元気は、ヴェルゴレと一緒に、ユートピアの農業地帯にある、ミノス宅へと来ていた。


 ミノスの家は、農場付き木製家屋の2階建てで、1階が、キッチンとリビングが一体化した広いワンルーム。2階が住居だ。


 リビングにある暖炉の前には、来客様にソファーが対面で置かれており。その間に低めの長テーブルが設置してある。そのリビングにて、元気達はミノスと会話をしていた。


「ミノス……。迷惑を掛けたな……ミリオレもアイリスも。そして難民達もお前が救い出してくれたと聞いた。本当に感謝する。ありがとう」


 ヴェルゴレが、正面に座るミノスに頭を下げた。


「頭をお上げ下さい!ヴェルゴレ様……。我は、何も……。殆どエルフ達と元気のおかげなのですから」


 そう言いながら、ミノスが元気を見る。


「ハハハ……。謙遜するなよミノス。ミノスがいなかったら?皆は助かって無かっただろ?……よし。出来た。召し上がれ」


 元気がミノスにそう答えながら、お茶の準備を終えた。


「おぉ。ありがとう元気、すまぬな、道案内までさせて、お茶の準備まで……」


 ヴェルゴレがお茶を飲み。それにミノスも続く。そして元気は満足そうに、ヴェルゴレの隣に座った。


「はぁ。元気のお茶はやはり。絶品だな」


 ミノスが紅茶を一口すすり元気を褒める。


「ハハハ……。喜んで貰えて良かったよ。ミノスの所のミルクもかなりの人気だぞ!評判が良いんだ!」


「そうか!それは良かった。後で嫁に教えてやらねばな、ガハハハハ」


「是非。魔国でも、流行らせたい物だな……」


 ヴェルゴレも紅茶を気に入った様だ。


「流行らせれば良いじゃ無いか?」


「ガハハハハ。そうだな、元気よ!ヴェルゴレ様が復活されたのだ。オルガンを打ち倒し、魔国もこのユートピアの様に豊かな国へと……。本当に……。夢物語では無く……本当に……」


 そこまで言うとミノスが泣き出してしまった。


「す、すまぬ。元気。ヴェルゴレ様……。嬉しさのあまり……。ヴェルゴレ様はこれから、オルガンを討伐し、魔国を取り戻すおつもりなのでしょう?」


「あ、いや……それがな……ミノスよ……」


 ヴェルゴレが申し訳無さそうに言う。それを見ると、ミノスが勢い良く立ち上がり拳を握った。


「ガハハハハ!ヴェルゴレ様!そんな顔をなされますな!何も心配する事はありませんぞ!このミノスが是非ともお供致す!それに、兵力もしっかりと整えておりますのでな!皆と一緒に、魔国を取り戻しましょうぞ!」


「あのさ……ミノス……」


 元気は一人盛り上がるミノスに、申し訳無さを感じながらも、事の顛末を話して聞かせた。


 話を聞いたミノスが、口を開きポカンとしてしまう。


「……。では、あの襲撃でオルガンは死んでいたのか……信じられん……」


 元気達は、ラストがやったという事を知らない。


「うむ。だが。城には誰もおらず。魔王軍も解散し、野党になっているのだろう?元気よ?」


「うん。城下町も人が殆ど居なかった。……まぁ。争う手間が省けた。と思えば良いんじゃない?残るは復興のみじゃん!」


「元気よ……。そう簡単に言うが……。魔王軍への復讐を糧に生きている者も多いのだ……。復讐の矛先がいきなり消えたとなると……どうなるか……」


「うむ……。我が魔王に戻って、オルガンを演じても良いが、民を傷つけるのには抵抗がある……それに、やはり人材不足だ……」


「そうですな。今は戦争の状況も解らんですし。人間国に負けてしまっては、復興どころでは無く、魔国自体が無くなる。戦争に負けて、中王国の人間達に支配されたとして……このユートピアの様になるとは、到底思えん」


 重い沈黙がリビング内に広がった。


「あ!そうだ……。こんな時はやっぱり……」


 元気がそう言うと、腕を抱っこする形にする。それに、ヴェルゴレとミノスが注目した。


「こんくらいかな?……それ」


 元気がそう言うとポタンが、腕の中に現れた。


「え?……パパ?……最悪……。人間の召喚……先に成功させたのね……」


 急に現れたポタンが、悔しそうに元気をギロリと睨む。


「へへへ……。便利だよなこれ……。ちょっと!ポタン!電撃はだめだ!ここは家の中!」


 パチパチっと放電状態に入っていたポタンが、周りを見渡す。


「エ、エルフの女王よ。お目見え出来。光栄でございます!」


 ミノスがポタンにかしずく。するとヴェルゴレがその光景に驚く。


「その子供は、元気とミリャナ殿の娘だろう?何故ミノスがかしずくのだ?」


「奴隷の受け入れも、このユートピアを作られたのも女王なのです……ヴェルゴレ様」


「な、何だと!?」


 ヴェルゴレも立ち上がりポタンへかしずこうとする。


「あぁ!もう、そう言うのは良いですので、どうか、お座りになって下さい……」


「し、しかし……」


「保護はしましたが、アルカンハイトにも利はあるのです。だから、あまり深くは考えないで下さいませ……」


「……寛大なお心遣い感謝致す。女王よ……」


「ガハハハハ!女王は素晴らしいお方なのです!」


「あぁ。我は感動した……。この様な人物がこの世に存在しておるとは……」


「もう、良いので……。ヴェルゴレ様……早くお席へ……。……はぁ。で?パパ?何の用事なの?」


「実はさ……」


 元気がさっきまでの話を、ポタンに聞かせた。


「何だ。そんな事?復讐心が生き甲斐なのであれば、その人を中央の戦場に送れば良いじゃない」


「戦場に!?で、ですが……」


 ミノスがポタンに反論しようとするが、ポタンがそれをさえぎる。


「命が危い。と言いたいのでしょう?でも。戦いたい人には戦わせればいいのよ。絶望して自殺するよりか良いでしょ?生きる環境は整えているのだし、全員が全員。復讐したいって訳では無いのでしょう?」


「はい……。既に復讐では無く、前を向き生きる目的を持つ者も現れております……」


「復讐でしか、前に進めないのであれば、帰る場所を残してあげて、戦場に送り出し。満足したら、また迎え入れてあげれば良いでしょう」


「帰る場所を残す……ですか?」


「えぇ。ミノスさんも、疲れたら帰るでしょ?家に」


「はい……なる程……。復讐心を満足させ、帰りたくなった者には、帰る選択肢を与える。そうすれば、戦場でのたれ死ぬリスクも下がるのですな……」


「アルカンハイトはアルカンハイトで、戦場に送り迎えする船を出せば、良いでしょう。……パパが」


「え?俺が?」


「出来るでしょ?」


「うん。出来る!」


「さすがね!パパ!」


「えへへ~」


 元気がポタンに褒められ喜ぶ。そして、ポタンが話を続ける。


「それに……。奴隷の中には血気盛んな者もいるのでしょう?」


「……はい。複数名。暴力沙汰になる事も度々……大変申し訳無く思っています」


「ミノスさん達のせいじゃありませんから、謝らないで下さい……。……酷い言い草になりますけども……この提案は、仕分けにもなります」


「仕分けですか……」


「争いを望む者と、平穏を望む者の仕分けです。私は、平穏を望む者を優先致します。私は神ではありませんし、慈悲深くもありません。パパみたいに全員を救おう。何てお馬鹿な考え方は無理なのです」


「ごもっともな意見……痛み入ります。この後、その様に致します」


「そうそう。志願は、個別で行って下さいね。行かないヤツは裏切り者だ!等と言う人間をが出ると思われますので。それに釣られて、罪悪感、責任感だけで死者が増えては、たまりません……。言いそうな人間の目星は付いていますよね?」


「はい……。粗方は……付いております」


「では、その方達を優先的に送って下さい……。この島は、もう戦争国では無いのですから。そうよね?パパ?」


「え?う、うん!もちろん!戦争反対!平和が一番だ!」


 元気がそう言って、ウンウンと頷くとポタンの耳がピコっと動く。イラッとした時の反応だ。


「どうした?ポタン?何で怒ったの?」


「…………。はぁ。何でも無い……私の反応は解るのに、何でイラッとしたのかは、解らないのね……」


「元気……。本来は、こう言うも始めた元気の仕事だ。女王がイラッとするのも仕方ないだろう。返事が軽すぎる……」


「そうか……。ごめんポタン……。今度、ラストに異世界のアレ……聞いとくから……」


 元気がそう言うと、ポタンの耳がピコピコピコっと多めに反応する。嬉しいサインだ。


「まったく……。パパはしょうが無いパパね!忘れないでよ……。絶対だからね!」


「もちろん!フフフ……。ポタンとの約束を破る訳ないだろ?」


「まったく……」


 ムスッとしながらも、ピコピコピコっとまた耳が動くポタンだった。


「ごめんなさいね。話を戻すわ。奴隷の方はそれで良いとして、ヴェルゴレ様?魔王城の修復は魔力があれば、直ぐに出来るでしょ?」


「あ、あぁ。だが、その魔力が足りぬ。私一人では数年かかる……。戦争を行いながらは到底無理だ……」


「パパがいるじゃない?ね?パパ?」


「ん?あぁ。いいよ?城位なら直すよ」


「ほ、本当か!?しかし……。我にはもう支払う財産など……」


「いらないよ。魔力とか余ってるし」


「魔力が余るだと?」


 ヴェルゴレが驚き、ミノスがガハハハハと笑う。


「元気にかかれば、この島毎造りあげる事も可能だろうな!」


「いや、さすがに1日では無理だよ……。2、3日はかかるかな?」


「2、3日だと……」


 ヴェルゴレが元気をあり得ない物を見る目で見る。


「まぁ、魔力だけはあるので、そこは気にしないで良いですよ。人員も、元奴隷の兵士や、ユートピアから志願者を募れば、それなりには、集まるでしょう」


「いいのか?世話を掛けたうえに、住民を戻すなど……そちらに損しかしないでは無いか」


 今度は、ヴェルゴレがポタンを見て驚く。


「フフフ……。その辺りは、損して得取れです。手を出すと大変な事が起こる。そう言う噂が魔国で広がれば、死んだ魔王の様な危険な思想の魔族も、この島には近寄らないでしょ?」


「なる程……。そう言う事か……。そう言う事ならば、我も率先して宣伝しておこう……」


「フフフ……。お願いします。アルカンハイトは、魔国との国交も可能ですので」


「ほ、本当か!?それは、有り難い!」


「今度、正式な場を設けてお話し致しましょう」


「うむ!よろしく頼む!」


 ヴェルゴレがペコリと頭を下げた。


「フフフ……。こちらこそ。……そして戦争の方ですが、中央で王が死んだとかで、無法地帯化しています。なので、しばらくは侵略の恐れは無いと思いますよ?」


「「「は?」」」


 3人の驚く顔を見て、ポタンの耳がピクピクっとする。してやったり!人を驚かせるのが好きなポタンなのであった。

ヴェルゴレが戻る準備が整いました。


さてさて、王が死にました。どう。死んだのでしょうね?新章の始まりで明らかになりますw


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