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彼女の為に!

ダンジョン編。メインの最終話です。


ここまでお付き合い戴き。ありがとう御座います(*^_^*)


続きを。読んでも良いかな?と思って戴けた方は、読み終わりに。ブクマ:評価:コメント等等のご協力お願いします。

 

 夕食が終わるとダルドリーとリャナが、城へと報告に行く。と言い出し。元気達は庭先で見送る事になった。


「今日は生き返った報告も兼ねて、ヴァイドの所に泊まる。元気、明日部屋を一緒に作ろう!」


「お料理も忘れないでね」


「解りました!」


 ダルドリーとリャナが元気の頭を撫でる。ミリャナは不安そうだ。


「お父さん、お母さん行ってらっしゃい……早く帰って来てね……」


「ああ。もちろんだミリャ」


「ええ。ちゃんと戻るわ」


「うん」


 挨拶が終わると、元気がダルドリーとリャナを城まで転送した。


「今日は冷えるね……。家に入ろうミリャナ」


「……うん」


 元気が声をかけるが、ミリャナは家に入ろうとしない。


「ミリャナ、そんなに不安そうにしなくても大丈夫だって」


「うん……。解ってる……」


 星を見上げながら、ミリャナが頷く。


「……ミリャナもお城……行く?」


 元気の発言にミリャナがピクリと反応する。


「……行かない……。元ちゃんと居るわ……」


「そっか……」


 元気もミリャナにつられて、星を見上げる。

 澄んだ空には、星が無数に輝いていた。


「もうすぐ冬が来るんだね……。だいぶ涼しくなって来た……」


 シンとした空気の中で、虫の声だけがこだまする。星を見上げたまま、ミリャナが元気の右手を握った。


「ねぇ……。もう、絶対にあんな事言わないで……」


「あんな事?」


「出て行くとか……家族がどうとか……」


「……ごめん」


「ずっと……。一緒にいてくれるんでしょ?」


「うん……」


「……信じたからね……私も何処にも行かないから……」


「うん……」


 元気は嬉しいやら、安心したやらで泣きそうになってしまった。


「あ!見た?元ちゃん?」


「え?なに?」


 元気は溜まった涙で前が見えず、急いで涙を拭いた。


「……。もう!泣くくらいなら言わなきゃ良いのに……馬鹿……」


 ミリャナが横目で元気をチラリと見やる。そして、また宙を見上げた。


「うん……。ごめん」


「フフフ……。元ちゃんは泣き虫ね……私の虫が元ちゃんに移っちゃったのかしら?」


「ハハハ……。そうかも……でも良いよ。ミリャナが泣かないなら……」


「「あ!」」


 嬉しそうにミリャナが元気を見る。元気もミリャナを見返す。


「今の見た?」


「うん!流れ星!綺麗だったね!」


「うん。綺麗だった。……あのね……。元ちゃん……」


 元気の目を見て、ミリャナがポツリポツリと語り出した。


「星の神様はね……。生まれてすぐ消えちゃうの……だから、綺麗なんだって……」


「そうなんだ……」


「消える瞬間に……誰かを幸せにしてくれるって……」


「うん……」


 ミリャナが元気の手をギュッと握る。元気はミリャナの熱の籠もった言葉に、視線に夢中になり目が離せない。


「私は……まだ幸せじゃ無いの……」


「……」


「だから……。お星様みたいに……消えないで……」


 真剣にそんな事を言うミリャナが、元気は愛しくて溜まらなくなる。


「消えない……。ミリャナと出会えて良かった……ミリャナを好きになって良かった……。ずっと一緒にいる」


「フフフ……。私も……元ちゃんを好きになって、本当に良かったわ……。出会えて本当に……良かった」


 二人は微笑み合うと、また宙を見上げた。


 その後……元気とミリャナはしばらく星を眺めてから家に戻った。

 家に入るとアイリスとポタンがお風呂から上がって、二人を待っていた。


「パパ、アイス!」


「旦那様!私も!」


「まったく、あなた達は!アイリス……。ちょっと来なさい……」


 ミリャナがそう言いながら、ポタンを抱っこした。


「ママ?」


「何よお姉ちゃん……まだ私何もしてない……」


「本当に……あなた達は……お馬鹿……」


 恐る恐る近づいて行ったアイリスを、ミリャナが抱きしめる。


「ちょ、ちょっと……お姉ちゃん……暑い……」


 そう言いながらも、されるがままのアイリス。


「いい?良く覚えておきなさい……。あなた達が居なくなったら私……。地獄の果てまででも追いかけて行くからね!だから……もう、変な事は言わないで……」


「地獄の果てまでって……お姉ちゃん、馬鹿じゃ無いの?」


「そうよ……。あなたのお姉ちゃんだもの……」


 ミリャナがアイリスをギュッとする。アイリスもギュッと仕返す。


「…………馬鹿」


「ポタンもよ。あなたなら解るでしょ?ママは絶対に探しに行くわよ……だからもう、何処かに行くなんて……言わないで……」


 抱っこしたポタンに、ミリャナが優しくキスをする。


「うん……もう言わない……」


 ポタンがギュッとミリャナに抱きついた。


「ねぇ?俺には?」


「パパ……。空気を読む。って言葉知ってる?」


「フフフ……。私がちゅ~しましょうか?旦那様?」


 ポタンが元気を睨み。アイリスが元気にアヒル口を向けた。


「アイリス!子供がそんな事を言うんじゃありません!」


 ミリャナが、アイリスを抱いている腕をギリギリ締める。


「ぐえ!締め過ぎよ!この!馬鹿力女!」


「な、何ですって!」


「ぎゃ~!痛い痛い!お姉ちゃん!離せやこら!」


 そして、アイリスがミリャナに蹴りを入れた。


「いった!アイリス!本当にあなたは!元ちゃんポタンをお願い!」


「うん……」


「はぁ……。パパのお馬鹿……」


「うん……ごめん」


 アイリスとミリャナのケンカが始まってしまったので、元気はアイスの準備を始め。アイスの準備を終えると、きりが良い所でストップをかけた。


「はい!アイスの準備出来たよ!今日はお終い!食べよ!」


「…………はい。旦那様」


「…………うん。ありがとう」


 ボロボロになった二人にヒールをかけ。いつも通り。皆でアイスを食べたのだった。


「今日はお姉ちゃんと寝る……」


「あら……。そう、良いわよ……フフフ」


 ムスッとしながらも甘えるアイリスにミリャナが嬉しそうに答える。


「え?じゃ、俺……いや……何でも無い……。ポタン……一緒に今晩……どう?……へへへ」


「へへへって……。誘い方が気持ち悪いわよパパ……」


「だって~」


「フフフ……。じゃ、こうしましょ!テーブルをのけて、皆でお布団を引いて寝るの!お父さんとお母さんが居た時は、ミールと四人でそうしてたのよ?」


「こんなせまい家で、どうやって寝てたか不思議だったけど、なるほどね……」


「狭くて悪かったわね。何か文句があるのかしら?」


「何よ?また怒るの?受けて立つわよ……」


 再びケンカが始まりそうだったので、元気とポタンが急いで止める。


「そ、それで良いよ!皆で一緒に寝よう!」


「はぁ……。アイリスは一言多いのよ……」


 その後。布団をそれぞれ持ち寄って、両端に元気とミリャナ。真ん中にポタンとアイリスの四人で一緒に眠りについたのだった。


 次の日。皆で一緒に起きてダルドリー達の帰宅を待っていると、メルヒオーネが代わりにやって来た。


「実は、昨晩……大変な事が起こりまして……」


「と、とりあえず。中にどうぞ」


 元気達は何事か?と思い。メルヒオーネを家へ招き入れ、話しを聞く事にした。

 出されたお茶を美味しそうに飲みながら、メルヒオーネが話す。


「ダルドリー様が家に帰るのならば、王を辞めると旦那様がグズられまして……。しばらくの間、お二方は城に留まる事になりました……」


「え!マジですか!?」


「もう!叔父様ったら!昔から、お父さんの事が好き過ぎよ!」


「ミリャナ……どうする?城に迎えに行く?ミリャナが言えば、きっと帰って来ると思うよ?」


 元気はミリャナが落ち込まないか心配になり、ミリャナを見る。そしてミリャナは少し考えた後。元気を見返し、ニコリと微笑み首を横に振った。


「ううん。行かないわ」


「でも……せっかく……」


「……無事なら……。生きてるなら……それで良いの……。フフフ……しばらくは叔父様に貸してあげます」


 ニコリと、ミリャナがメルヒオーネに笑いかけた。


「おやおや……。それは、助かります。お嬢様。旦那様が食卓で号泣されまして……本当に、王をお辞めになるのでは無いかと心配しておったのです」


 和やかにお茶を飲むメルヒオーネ。


「大の大人が号泣って……。本当に嬉しかったんだな。叔父上……。でも、本当にいいの?ミリャナ?」


 元気がミリャナを見ると、ミリャナが元気を見返し、幸せそうに微笑んだ。


「フフフ……だって、私には、私の家族が出来たもの……一緒にいたい家族が」


「ミリャナ……。家族……へへへ……」


「パパ、ニヤけ過ぎ」


「家族、家族ってクサいクサい……。まぁ、でも、仕方ないから。お姉ちゃんの家族ゴッコに付き合ってあげるわよ……」


「アイリス……。あなた、本当に素直じゃ無いわね……」


「ふ~んだ、お姉ちゃんの妹なんだから当たり前でしょ!べ~~っだ!」


「アイリス!」 「何よ!」


 ガタンと椅子から立ち上がるミリャナとアイリス。それに、呆れるポタン。


「はぁ。何でいつもこうなるのかしら……」


「おやおや、大丈夫なのですかな?」


 そう言いながらも、楽しそうなメルヒオーネ。それを見ながら、ポタンを抱っこし怪我をしないように守る元気。


「えぇ。いつもの事です。ハハハ」


「いつもの事。ですか……。フフフ。賑やかですな……」


「えぇ……。賑やかで……。毎日楽しいんです……。なぁ?ポタン?」


「ちょっとは、静にして欲しいけどね……フフフ……」


 ポタンと二人で、ケンカする二人を見やり、元気は微笑みながら、独り言ちた。


「さて。今日もパンツ干さなきゃな!」


 元気は、ポタンとメルヒオーネに微妙な顔で見られながら、ミリャナの笑顔。平和な日々を守る為になら、何だって頑張ろう!と思うのだった。


 初めての家族。姉になって人を愛する事を教えてくれた……彼女の為に!と。

ダンジョン編のメインは終了です。


この後。少し、小話が続き。新章に入りますw


ブクマ:評価:いいね等等ご協力よろしくお願いします。

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