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 綺麗なもんだなとコンラッドは思った。

 街灯に照らされた金髪が風でなびき、青い目が微かに光る。

 白い肌は闇に映え、その姿は同性であっても美しいと思えるものだった。

男のエルフは剣を抜いた。

 それを見てコンラッドはため息をついた。

 エルフは素早く走り出すとコンラッドに向かって剣を薙いだ。

 コンラッドは体を反らし、紙一重で避ける。

 エルフは一瞬目を見開いて驚くも、続けざまに攻撃を続けた。

 普通の人間では目で追えぬほどの一流の剣技。

 しかしそのどれもコンラッドには当たらない。

 エルフは作戦を変更し、空いていた左手に魔力を溜め、放った。

 だが放つ瞬間、コンラッドに手首を掴まれ、魔力の弾丸は逸れた。

「なっ!?」

 驚くエルフ。

 その視界は次の瞬間には一回転し、かと思えば背中から地面に落とされた。

「がっ!」

 痛みを感じ、息ができなくなって初めてエルフは自分がコンラッドに投げられたことを理解した。

 手放した剣が遅れて地面に刺さる。

 コンラッドは呆れながらエルフを見下ろした。

「良い剣だ。魔法の使い方もこなれてる。ただもう少し実戦経験が欲しいな」

 エルフは反撃しようとしたが、体が動かなかった。

 コンラッドはそれを見て踵を返す。

「じゃあ、俺はこれで」

 歩き出すコンラッドにエルフはなんとか上半身を起こして尋ねた。

「……お、お前はなんだ?」

 コンラッドは歩いたまま答えた。

「二児の父だ。あ。もうすぐ三児になる。いや、もう三児か?」

 コンラッドが妊娠中はどうカウントされるのか悩んでいるとあることに気付いて足を止めた。

 振り返ったコンラッドはエルフに尋ねた。

「そう言えばエルフの兄ちゃん。もしかしてあんたエリンの兄さんを知ってたりする?」

「エリン……?」

 エルフの男は息を荒くしながらどうにか膝をついて答えた。

「エリンは俺の妹だ……。お前、エリンを知ってるのか?」

 エルフの男はエリンの兄、ウォルクだった。

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