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するとヒューベル様がこう言います。


「さっさと受けると答えりゃいいのに、全く」


ライオルド王子様が大きな声で宣言しました。


「ではこれより貴族評会を開催する。幸いこの卒業パーティーの出席者のほとんどが爵位を持っているか、貴族家に連なる者達だ。よって評決人の選定作業は省かせてもらう」


「ヒューベルからの要求はミリア・リンデルスの懲役30年と国外追放処分そしてリンデルス家が所有する全財産の譲渡だ。そしてアンティとして差し出されたのはヒューベルとアウラ両人の懲役30年と国外追放処分だ」


ライオルド王子様が大きな声で尋ねました。


「これ以後、取り消しはできなくなる。本当に進めていいか?」


ヒューベル様とアウラがライオルド王子様に言いました。


「ああ進めろ!!」


「ええ、始めてちょうだい」


私は少し返答を迷いましたがライオルド王子様の言葉を思い出してこう言いました。


「はい、進めてください」


そういうと王子様が私の近くにやってきました。


ヒューベル様が嬉しそうに私に言いました。


「ひゃはっはっ!!!ゴミ女これでテメエは懲役30年と国外追放処分で罪人確定だな!!!」


アウラも私に嬉しそうに言います。


「ゴミ女!!あんたが地下牢に引きずられていくのが今から楽しみになってきたわ」


アウラがヒューベル様に言いました。


「ヒューベル様、ライルズ湖畔に別荘を建ててください。あの場所なかなかいい場所なんで」


「ああいいぞ!!もうリンデルス伯爵領はゲットしたようなもんだからな」


「大きい別荘を建ててくださいね」


「とびっきりゴージャスな別荘を建ててやるよ」


「キャー!!うれしい!!!」


ライオルド王子様が大きな声で言いました。


「では早速、ヒューベルとミリアのどちらに賛同するか採決をとっていく。」


ライオルド王子様が会場にいる人達に尋ねました。


「ミリアに懲役30年を課してその後国外追放処分とする。それと同時にリンデルス伯爵家の全財産をヒューベルに譲渡させる案に賛同の者はいるか??賛同の者は手を上げてくれ」


卒業パティーの会場には100人以上の卒業生がいましたがシーンと静まり返り誰も手を上げませんでした。


ライオルド王子様は会場を見渡してそれを確認していました。


ライオルド王子様が再び会場にいる人達に尋ねました。


「ではヒューベルとアウラの両人に懲役30年を課しその後国外追放処分とする事に賛同の者はいるか??賛同の者は手を上げてくれ」


すると会場にいる100人以上の卒業生の全員が手を挙げました。


ライオルド王子様がそれを確認して言いました。


「全員賛同と見る。では貴族評会の結論は出た。ヒューベルとアウラの両名に懲役30年を課しその後国外追放処分とする。賛同の者は改めて拍手をお願いする」


会場からは割れんばかりの拍手が巻き起こりました。


えっ??ヒューベルとアウラの懲役30年と国外追放処分が決定しました。


なんでこんな事になったんでしょうか??


それは当人達が一番思っていたらしくヒューベルとアウラが声を張り上げたのだった。


「ちょっと待って!!!なんで俺達が懲役30年なんだ???おかしいだろう!!」


「そうよ!!!あり得ないでしょう!!!」


ライオルド王子様が二人に言います。


「アンティの設定をしたのはお前達自身のはずだが???」


「そうじゃなくてなんでみんなこのゴミ女の懲役30年に賛同しなかったんだ!!!」


「そうよこの女が国外追放になるのが当然の流れでしょう!!!」


ヒューベルが会場の卒業生の一人に詰め寄りました。


「おい!!ダグド??お前どういうつもりだ??なんで俺様の懲役30年の方に手を上げやがった??」


ヒューベルに詰め寄られたダグドさんは逆にヒューベルに聞き返しました。


「聞きたいか??ヒューベル??」


ヒューベルがダグドさんに言いました。


「当たり前だろうが!!」


ダグドさんがヒューベルに言いました。


「なら教えてやろう!!!ヒューベル貴様は去年母上の事を平民の血が混ざった薄汚い女だと国中を触れ回っていただろう!!あれで俺や妹のハミルがどれほど苦しんだか知っているのか?」


ヒューベルはダグドさんに言いました。


「はん!!伯爵家当主でありながら下民なんぞを嫁にするテメエの親父が悪いんだろうが!!!いいか下民なんて無価値で薄汚いだけの存在だ!!ラウス家は貴族社会を汚した汚物なんだからな!!!テメエもテメエの妹も罵倒されて当然だろうが!!」


ヒューベルはすぐに別の卒業生にも尋ねました。


「おい!!ハーノルド!!テメエはなんで俺の方に手を上げやがった!!」


ハーノルドさんはヒューベルに言いました。


「ヒューベル!!貴様が我が祖父であるレイ爺様に暴力を振るったからだ!!」


ヒューベルがハーノルドさんに言いました。


「レイ爺???ああ??前公爵のくせに下民の恰好で王都をうろついてるあのイカれたじじいの事か。仕方ないだろうが!!あのイカれたジジイが下民の恰好で俺の前をうろついてたんだから!!暴力を振るわれて当然だろうが!!!このヒューベル様は全然悪くないぞ!!」


ハーノルドさんががヒューベルに言いました。


「あれからレイ爺様はショックで屋敷に閉じ込もってしまわれてるんだぞ!!」


ヒューベルがハーノルドさんに言いました。


「ちょうどいいじゃねえか!!下民を大事にしようとかぬかしてるイカれたジジイだ。二度と出てこなくていいさ」


一方のアウラも卒業生の女子を掴まえて問い詰めていました。


「ちょっとリーシャ??なんであんた私の懲役30年の方に手を上げてるのよ」


リーシャは答えにくそうに口をつぐみました。


だがアウラが大声で問いただします。


「黙ってんじゃないわよ!!!ちゃんと理由を教えなさい!!!」


するとリーシャが小さな声で答えました。


「壊されたから」


アウラが大声で聞き返します。


「なんですって??」


今度はリーシャが大きな声でアウラに言いました。


「去年お母様から頂いた首飾りをあなたに壊されたからよ」


アウラがリーシャに言いました。


「首飾り??あああ??あの宝石が一個もついてないあのしけた首飾りの事か??そういえばあんたの目の前で足で踏み潰してやったわね。それが何??」


リーシャが悲しそうな目でアウラに言いました。


「私がどれだけ辛かったか分からないの??」


アウラがリーシャに言いました。


「だってあんた男爵家の令嬢でしょ??男爵家なんてギリギリ貴族ってだけで下民とほとんど変わりはしないじゃない。だったら別に下民と同じ扱いでいいでしょ。あんなしけた首飾りなんて壊されて当然でしょうが!!何意味不明な事を言ってるの??」


するとライオルド王子がヒューベルとアウラに言いました。


「さあもう納得できただろう」


ヒューベルがライオルド王子様に言いました。


「納得できるわけないだろうが!!!」


アウラもライオルド王子様に言います。


「私だってこんなの納得できないわ!!!やり直してちょうだい!!」


ライオルド王子様がアウラに言いました。


「貴族評会の決定は父上のお触れ以上の効力がある。やり直すなんて無理だ」


ですがヒューベルとアウラは食い下がりました。


「おいライオルド、王子なら一回や二回ぐらい無茶を通せるだろう??なんとかやり直してくれよ」


「そうよ王子の権限でなんとかやり直ししてちょうだい」


するとライオルド王子様はため息をついて二人にこう言いました。


「ヒューベルとアウラお前達は勘違いをしているようだから、言っておくが、私自身もヒューベルとアウラの懲役30年を課し国外追放される方に大賛成なんだ」


ヒューベルが驚いた様子で言いました。


「なんだと??」


ライオルド王子様が二人に言いました。


「お前達は貴族学院でやりたい放題やっていたからな。お前達をどうにかせねばと常々思っていた。そして今回お前達は事もあろうに私が愛した人を泣かせた上に心を傷つけたんだ。お前達の肩を持つなんてあり得ない!!!」



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