5:読みやすい作品にするために
読みやすい作品と読みにくい作品。
これは「読者のことを考えているかどうか」で決まります。
当然ですが、私(読者)は作者さまの頭の中を覗けるわけではありません。
どんな世界で、どんなキャラがいて、どんな雰囲気のストーリーが待っているのか。
何も分からない、まっさらな状態でページを開いています。
100pt未満の作品は、そのことを意識しているように思えないものが多いです。
なんというか、読者の目線に立ってくれていないのです。
具体的にいうと――。
・『誤字脱字が頻発』
少しくらいの誤字脱字なら大丈夫なんですが、次から次へと出てくると気になって話に集中できなくなります。
さすがに、主要キャラクターの名前を何回も間違えているのを見た時には戦慄しました。「あなたは一体だあれ?」と突っ込みたい。
一晩寝た後に読み返すだけでも間違いに気付きやすくなります。キャラ名は特に気をつけて!
・『一文一文は正しいのに、なぜか意味が分からない』
これは本当に不思議。「狐につままれる」という言葉がぴったり。
文章につながりが感じられず、どういうシーンなのかが全く想像できないのです。
たぶん「いつ」「どこで」「だれが」「なにを」「なぜ」「どのように」――つまり5W1Hを意識していないことが原因だと思います。
5W1Hを意識して書くと、少しは読者に伝わりやすい文章になるかも。
・『設定が細かすぎて、説明ばかりになっている』
とにかく淡々とした説明の文が続く。だから地の文を読むのが辛い。
はじめから国名や地名や貴族の名前などの固有名詞がたくさん出てくるものは、理解しきれずにスルーしてしまいます。読みたいのは物語であって、設定ではないのです。
ストーリーに関係ない設定は省く、もしくは簡略化するほうが無難。
どうしても必要な説明は、キャラの会話や楽しいエピソードなどを絡めて説明すると理解しやすくなります。
・『説明不足』
これはいわゆる「テンプレ設定」の罠だと思います。
一般の書籍を好んで読んでいる人には全く伝わらない、なろう独自の言葉を何の説明もなしに使ってしまっているパターン。
例えば「悪役令嬢」「聖女」「ステータスオープン!」などですね。
こういう言葉をテンプレ初心者にも分かりやすく説明してくれている作品は、すごく読みやすいです。
・『主要キャラが多すぎる』
文庫本1冊から2冊程度の長さのお話では、名前と特徴が難なく一致させられるキャラは頑張っても7人くらい(あくまでも私の場合ですが)。それ以上は1人覚えたら1人忘れます。
特にシリーズものの続編は、前作のキャラを知らない人には不親切になっていることが多かったです。そういう作品には「この作品だけでも読めます」なんて書いてはダメ。
できれば主要キャラは5人くらいまでに絞って、あとは名前を覚えてなくても困らない程度に登場させるようにすると、するする読めるようになります。
・『視点がコロコロ変わる』
何人もの視点が使われているお話は特に要注意。
視点が変わるたびに「これは一体誰の視点なんだろう?」と考えなくてはなりません。
サブタイトルで「side○○」とか書かれていても、「○○って誰だっけ」となることもあります。
特に視点を変えなくてもいいようなエピソードなら、変えない方が圧倒的に読みやすいです。どうしても視点を変えたい時は、誰の視点なのか一発で分かるような文章を書くように気をつけて!
・『目的が分からない』
チート主人公が適当に力を振りかざし、周りにチヤホヤされているだけのお話とか。
主人公の少女が不幸な目に遭うたびに、かっこいいヒーローが現れて助けてくれるだけのお話とか。
キャラがじゃれ合っているだけで、ストーリーがどこへ向かっているのかさっぱり分からないお話とか。
そういうのは、だんだん読むのが辛くなります。お話が長ければ長いほどうんざりしてきます。
序盤で主人公の目的がはっきりしている、もしくは読者の目から見て「結末はこうなってほしいな」と期待させてくれるお話は、最後まで読みやすいです。
・『調査不足』
例えば「離乳食を始めたばかりの赤ちゃんが『まんま』『おいしー』と可愛い声で話している」とか書いてあると、読むのを一時停止してしまいます。
離乳食を始めるのは生後5、6ヶ月。一語文を話せるようになるのは1歳前後です。
その赤ちゃんは一体何歳なのか。そこが気になって、読み進められなくなります。
分からないことはなるべく調べてみた方がいいです。資料で調べたり、実際に体験してみたりすると、物語のレベルが格段にアップします。
とりあえず、これくらいかな?
適度に空行が入ってないと読み辛いとか、1話に5000字以上あると疲れるとか。
そういうのも書こうかなと思ったんですけど、それは書籍になった場合には気にならないので省きました。
こういった読みにくい作品は、実は高ポイント作品にもこっそり潜んでいたりするので油断してはいけません。
ここだけの話、3000pt以上の作品の36.8%は、私にとって「読みにくい作品」でした。
高ポイント作品は確かに読みやすいものが多いけど、全部が全部読みやすいとは限らないのです。
というわけで、読みやすい作品にするために注意してほしいポイントをまとめてみました。
・誤字脱字を減らす
・5W1Hを意識する
・説明は過不足なく適度に
・キャラを増やしすぎない
・視点をコロコロ変えすぎない
・物語のゴールをある程度予想させる
・参考資料をきちんと準備する
この基本をおさえた上で、情景描写・風景描写が丁寧だとさらに素敵な物語になります。
天気や気温、風や匂いなどが伝わってくるような文章があると、物語の世界にぐっと引き込まれます。
さて、高ポイント作品の特徴は『読みやすいか』『キャラは魅力的か』という部分が優れていると言いましたよね。
今度は、魅力的なキャラクターにはどんな要素があるのかを確認してみましょう。
というわけで。
次は、私が考える「魅力的なキャラクター」について書いていきますね。