両手を広げて、なんか暗い感じの憂愁の海へ
竪琴の煌めく星々が夕暮れの海辺を舞っていた。それはさまざまな色々のヒトデのように、砂浜に舞い降りると、うにうにと動き、黄色い糞尿の道を作り出すのです。
そんな美しい景色の中で少女が泣いている。何が悲しいんだろう?
一人、泣いている。白いドレスの裾が砂に汚れて黄色くなって。
そこへ獣の顔をした紳士が来た。サックン、サックン、と砂を踏んで、優しい声を今、かけました。少女は振り向く。自分を守ってくれるヒーロー来たー!という顔だ。悲しそうに泣いてるけど、たぶんそうである。
「お嬢様、このような所においででしたか」
豹の顔をした紳士は愛を顔に浮かべて、顔を優しくした。
「旦那様方もご心配をしております。一体どうされたと申し上げるのです?」
「みんなが私をいじめるの」
ハダカデバネズミの顔をした少女は顔を上げ、泣き顔を見せた。
「私が醜いって……、みんなが私をいじめるの」
「お嬢様は醜くなどありませぬぞ」
豹の顔の紳士は、温かく笑った顔をそむけながら、温かく笑った。
「お嬢様の美しさをわたしはよくご存知であります」
紳士の言動がそんなに嬉しかったのか、少女がいかにも嬉しそうに、あぱー!と笑った。月も星も、あぱー!と笑っていた。
夕暮れの海は美しく、夕暮れていた。そこに突然、美しい声が響く……………
「あの、すいません。聖666教会はどちらでしょう?」
美しい声に振り向く2人。2人というのは豹の顔をした獣人と、少女のことだ。振り向いて、びっくり仰天した。口から心臓が出るくらいおったまげた。そこにはシスターの格好をした美しい少女が立っていたのじゃから。
「美しい!」
「あの?」
美しいシスターの格好をした少女は見つめられてモジモジした。
「そうだ!」
獣人は思いついたアイデアを口にした。
「この美しい少女とハダカデバネズミのごときお嬢様の中身を入れ替えれば……!」
「ええっ?」
美しいシスターの格好をしたCGのように美しい少女はあくまでも美しく驚いた。
「駄目よ!」
ハダカデバネズミの少女が叫ぶ。
「そのひと、おっぱいがちっちゃいもん!」
「なるほど」
紳士は発言を取り下げた。
「私がいなくなればいいのよ」
ハダカデバネズミの少女はそう言って、両手を広げた。
「海へ……。還るわ」
憂愁の美を飾るつもりだね。
「やめなさい」
私は彼女を止めた。
「よくもおっぱいがちっちゃいとか抜かしたわね。その程度じゃ済まさないんだから」
かくして俺は二人の少女の手を取り、もぎ取ると、暗い色を湛えた海へ、全力で投げたのだった
ねこはそれを見ながら、思った。
「かつおぶし」