表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で、平和を願う。  作者: ちょこぼーらー
94/154

93 お泊まり

 華が案内されたのは2階に上ってすぐの客室だった。


(客室…だよね??)


『…かわいい?』


 宿の部屋の数倍の広さの室内には大きなベッドとソファーセット、それとは別に書き物をする用だろうか、執務机を小さくしたような机も窓の側に置かれている。

 その窓辺にはパステルカラーの花が生けてある。

 花瓶もカーテンも優美と言うより可愛らしい雰囲気に纏まっている。


『ふふっ。可愛らしいでしょう?ハナさんのお部屋!』


『ハナ。お湯を用意しているから使ってね。浴室がそこに有るのよ。その服も今から急いで洗えば朝には乾くと思うから着替えましょうね』


 にこにこして浮かれているようなルナリアとファーナが華を客室内のドアを開けて小部屋に案内する。タイル張りの床に大きな盥が置いてある。


(お湯って言ったよね。これがお風呂かな?…こちらでは浴槽は一般的ではないのかな…)


『着替えはこれね。あと、石鹸は分かるかしら?石鹸』


『きがえ。せっけん』


(石鹸があるんだ!後でローレンス商会で買えるか聞いてみよう)


 ワンピースっぽい着替えや手拭いの入った籠と共に、ぬか袋のような小袋を渡された。

 華の家では華が小さい頃に何処からかの頂き物のフランス製の石鹸を使っていたことはあったが、普段はぬか袋で洗っていた。石鹸が普通に売っているなら是非買って帰りたかった。


 着替えを渡されたり浴室の使い方を聞いたりしている内に、家族ではなく使用人だとすぐに分かるお仕着せの中年女性と男性がワゴンでお湯を運び入れ、盥にどんどんお湯を張っていく。


『ありがとう』


 あっという間に仕事を終えて、一礼して部屋を出ていこうとする二人に華がお礼を言うと、一瞬驚いたような顔をされたが、すぐににこりと笑顔になってもう一礼して出ていった。


『ファーナさん、ルナリアさん、ありがとう。おゆうれしい』


『まあ!良かったわ!ゆっくり使ってね』


『夕食に呼びに来るから、それまでゆっくりしていてね』


 ファーナとルナリアがそれぞれ言うのに、多分休んでとかごゆっくりとか言われているんだろうなと判断してシアを見ると、頷いて浴室に送り出される。


『ここにいるから何かあったら声かけてね。夕食まで一緒にいるから大丈夫だよ』


 華が心細くなっていると思ったのか、シアが大丈夫だからと声をかける。

 確かに今日華とずっと一緒にいたシアがいてくれたらうれしいが、シアは自分の家に帰らなくてもいいのだろうか。


『あら、シアも今日は泊まっていって?』


『そうね。その方が華も安心だものね』


(泊まるって言ったね。やっぱりシアさんはお家に帰る人で、でも今日はここに一緒に泊まってくれるって事かな?)


 華の思った通り、シアは今日は華と一緒にお泊まりすることが決定した。


 お湯が冷めてしまわないようにと華を浴室に送り出した女性3人は、ソファーでお茶を飲みながらこの後の事を話していた。


『助かったわ。シアが今日泊まってくれるなら安心ね。お家に言っておくから』


『あ、それならエディが一度は顔を出しに来るかと』


『まああ!お迎え予定だったのね~!』


 ラブラブだわ~!とはしゃぐルナリアに、実は影で護衛されていたのでその報告に来るのだとは言わずに曖昧に微笑んだ。


『グレイルは?夕食には帰って来るんですか?』


『ええ、お父さんも一緒に帰って来てくれればいいんだけど』


『アルももうすぐ帰って来るわね。シア、大丈夫だと思うけどよろしくね…!』


『はい!華におかしなことはさせませんから!』


 シアがこの日お泊まりするのは実のところ、初めての知らないお家でお泊まりするのは華が心細いだろうという理由より、この家に住むグレイルを警戒しての事だったのだ。

 信用するしないはともかく、何か起こってからでは遅いとの判断で対策だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ