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異世界で、平和を願う。  作者: ちょこぼーらー
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72 要注意人物

『何かあったのか』


『手を離せ』


 様子がおかしいのを気にしてナッシュ兵士長がやって来たのと、エドワードによってシアの肩からグレイルの手が外されたのは同時だった。


『いや……』


 壊れたように華の名を呟くグレイルをどう扱っていいものか判断に迷う一同だが、華を知る護衛チームの面々からしてみれば不審過ぎる。


『いった…。ねえ!グレイル、あんたハナと知り合い?そんな訳ないよね?』


『知り合いだ!』


 アレックスがグレイルと行動を共にしていたアランを見るが、アランは知らないと言うように首を横に振った。


『いや、どこで知り合ったって言うんだよ。俺達今日の昼過ぎに帰ってきたばっかじゃねーか。まさか帝都の知り合いとか言わないよな?』


(ハナが帝都にいた!?)


 山に住み始める前は帝都に居たと言うのか。

 謎だった華の出自をグレイルが知っているのかと、護衛チームはグレイルに注目するが、答えはまったくの期待外れのものだった。


『いや、さっき、武具店で』


『武具店で槍を買いに来たハナに会ったのか。それで?』


 討伐前に軽く華に会ったロイは、華が町に来た理由を聞いていた。


『それでって?』


『武具店にハナが買い物に来て、それから?』


『いらっしゃいって…』


『店員か』


『槍を選んであげたとか?』


『使えないって言ってた…』


『ぶっ』『くっ…』


 思わず吹き出したアランやマールだけではなく、他の面々も口元がおかしなことになっている。


『ハナがそう言ったの?使えない男って』


『違っちがう!違うよな!?』


『知るか』


『もうっ。何て言ってたの!?』


 なかなか要領を得ない話にキレかけのシアの肩をエドワードがぽんぽんした。


『落ち着け。グレイル、槍を選んでやったのか?何て言われたんだ』


『いや、店の槍じゃあ大きすぎると思って子供が使う槍を出してあげたら、こんな槍じゃ岩熊や落ち化蛇を倒せないって…』


『『『『『ああ……』』』』』


 護衛チームは華が言いそうだと納得したが、やはりグレイルの態度には納得出来ないものがある。

 これではただの店員と客。そのやり取りだけで、この遠距離で手を振る仲になるだろうか?


『それで?』


『自分で普通の槍を買ってラジネに柄を短く切って貰ってたな』


『それで?』


『新しく武器を注文していた』


『へー!それで?』


『それで?それだけだ。店を出ていった』


『はあ!?』


 本当にただの店員と客だった。


『…あんたハナと知り合いって言わなかった?それだとただラジネの店の客ってだけだよね?』


『いや、ちゃんと宿まで…!』


 華と知り合いではないと言われてグレイルはシアに反論するが、華のあとをつけたことまで言いそうになって自分の口を塞いだ。

 怪しさ満点である。


『…宿まで送って行ったのか?それで?』


『……』


『おい、グレイル?』


 ロイやアランにまで問い詰められるが、自分の態度や行動のマズさには気が付いている。


『宿まで…』


『宿まで?』


『っぃ……た』


『は?何て?』


『グレイル』


『ぅ…。宿まで…付いていった』


『………』


 その場の全員が黙り込んだ。

 宿まで付いていったというのは?送って行ったのとは違うのか?


『な、なあグレイル。それって、そのハナ?って子を宿まで送って行ったって事だよな!?』


 アランが必死で良い方に解釈しようとしているが、ここまで来たら言うしかないと、グレイルは自分の行いを白状する。


『後をつけた。宿まで』


 一瞬しん、となった。


『なんでだ!?』


『か、かわいくて…』


『兵隊サンこいつです‼』


『や、待て。待て待てシア、待って頼むから!』


 ナッシュが動かないのでその辺の兵士を呼ぼうとするシアをアランが必死で止める。


『だって知り合いでもない女の子の泊まってる宿まで後をつけたって…怖い!キモい‼』


 グレイルが崩れ落ち、地面に膝を付いた。

 それを追いかけるようにマールがしゃがみこんでグレイルに尋ねる。


『な、なあ。グレイルって幼女が趣味なのか?』


 少なくとも行商隊にいた人間で華が成人女性だと分かった者はいなかった。

 マールの問いかけにアランとナッシュがぎょっとする。


『幼女…?いや、そういう訳じゃ』


『どういう訳だよ』


『そうだな…。グレイル、ハナをいくつだと思って後をつけたりなんかしたんだ?』


『え、15、6くらい?小さくて可愛いけど、凄く可愛いけど幼女じゃないだろ?』


 グレイルの言葉にアランとナッシュがほっとした。

 大公国というか、帝国圏内では大体15才で成人だった。

 幼女趣味の騎士様なんて知られたらとんでもない醜聞になるところだった。

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