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異世界で、平和を願う。  作者: ちょこぼーらー
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68 昔馴染み

 帝国にいた数年間、グレイルとアランは一度もこのルーシェッツの町どころか大公国に帰らなかった。

 帝国での式典などで現侯爵である叔父に会うことはあったが、家族とは手紙のみ。昔馴染みの近況に至っては帰郷後、父などに聞いた話のみで実物に会うのは何年振りか。


 お互い大人になったはずなのに見間違う事もなく、変わらない距離感。


 相変わらずの様子に懐かしいような気持ちにも、離れていた時間などなかったような気持ちにもなり。


 しかし今は旧交を温めている時ではない。


『久し振りだな。シア、マールも。まさかとは思うがお前たちも魔獣見物か?』


『んなわけないじゃん。人探し中だったの!』


『もう見つけたからね。手伝うよ』


『魔獣なんて見飽きてるっつーの。アランは?』


『知らん。そのうち来るだろう。それより手伝うならーー』


 塀の上との会話が疲れるので降りて来いと言う前に、グレイルの前に大きな人影が立ったのでそちらを見ると、グレイルが小さな頃にお菓子を作ってくれていたお兄さんがいた。


『エディ』


『ほら』


 エドワードは抱えていた弓と矢筒を、ぽいぽいと塀の上にいる姉弟それぞれに投げ渡した。


(熊がいる…)


 久し振りに会ったお菓子のお兄さんは元々大きかったのが、今は更に大きく厚みも増していた。


『元気そうだな、グレイル』


『うん、ああ。エディ兄も…』


『アルベルト様がしっかりやれと言っていたぞ。俺達とあとアレックスとロイが手伝える。好きに采配してくれ』





 町にいるかわからない華を捜索していたメンバーはまず手分けして各門…本命は東門だったが、華の目的が分からないために東西南北すべての門番からの目撃情報を集めることにした。


 結果、どの門でも華の目撃情報はなかったのだが、東門での聞き込みを終えたところに宿屋の主人が『町の外で魔獣が暴れている』と駆け込んで来たのだ。


 東門を担当していたロイとシアは、魔獣の姿を確認するとローレンス商会に戻り、報告してから行商組の護衛チーム全員で魔獣討伐の手助けをするために東門へ向かったが、東門付近はすでに野次馬でごった返していて近付けない。

 だったら塀の上から行けばいい、と言うことでアレックスとエドワード以外の3人、ロイとシア、マールが塀の上から東門へ向かったのだ。

 そして東門に到着する前に、宿の二階の窓から華自身に呼び掛けられたのはロイだった。


 華の元へはロイが屋根づたい壁づたいに行き、その頃にはグレイルの威嚇で野次馬が避けられ、街道の避難が済み門扉が閉められ、グレイルの指示で町兵の召集が掛けられていた。


 探していた華を発見した一堂は、これで心置き無く魔獣討伐に参加できると、東門で仁王立ちするグレイルに接触したのだ。

 彼らにとってもグレイルとアランは数年ぶりの懐かしい顔だが、アルベルトやホーソンの元で二人の事情は聞いている。

 これからこの町の兵たちの指揮官となる彼らに華々しくスタートを切って貰おうと手助けする気満々だった。

 当然、それがなくても魔獣討伐の手助けはするのだが。




 兵たちが集合するより早く、アランが兵士長と馬で東門にやって来た。グレイルの馬も連れている。


『よー、グレイル。予定より二日も早い着任になっちまったな』


『馬助かった。信じてたぞ』


『はいはい。装備も持ってきてやったから着けとけよ』


 魔獣の監視に残した兵士の場所で魔獣を確認した兵士長が二人のところへやって来た。


『グレイル、アランも助かったぞ。我々だけではあれは無理だ』

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