17 お魚捕れるかな
華が目を覚ましたのは夜中だった。
今夜も月が辺りを明るく照らしている。
体のあちこちを伸ばしてストレッチをした華は、採集してきた石竹よりもまず、縄蔦でお魚を捕るための仕掛けを作ることにした。
この日、何度も川を往復していて、先に作っておけば良かったと思っていたのだ。
とはいえ、魚を捕った事もない華にはどんな仕掛けを作ったら解らないので、せいぜい篭のようなものを作って口に返しを作るくらいしか思い付かなかったが。
鉛筆くらいの枝の先を削ってかぎ針にする。
かぎ針編みで篭を作るつもりだった。
縄蔦の葉を払って編んでいく。
縄蔦で篭を作ろうと思った当初は指で編むつもりだったが、昨日今日とで手が傷だらけになってしまっていた。
そこでかぎ針を作ればいいじゃないかと思い付いたのだが。
編みながら、道具があることの素晴らしさを実感するのだった。
(紐蔦で手袋とか編めないかな…。それか、何か動物を狩れば皮が取れる?)
編みながら思い出すのは川で見た動物。馬程は大きくなかったようにも思うがそれでも犬よりは確実に大きかった。鹿とかだろうか。
それと、この昼間に一度だけ木の上にリスのような生き物を見かけていた。
狩れるだろうか。
それはきのうから何度も考えていた事だった。
自分から積極的に狩りに行ったりはしないし出来ないが、もし熊や猪に襲われたら戦うしかないのだ。逃げてもまた襲われるだけだろう。
華の武器は、竹槍と木槍、それと“華兎”。
“華兎”は止めを刺すのに使うとして、もうひとつ、ハンマーのような打撃力のある武器も必要だと考えていた。
(やっぱり石斧になりそうな石を探してみよう。なかったら土器かな…。でも土器は耐久力がなさそう。びっくりさせることくらいはできるかもしれないけど)
土器を木の棒にくくりつけて、向かってくる獣に降り下ろす想像をしてみるが、一撃で土器が割れる想像しかできない。その後の怒ったであろう獣に立ち向かう自分の姿は想像したくない。
「できた~」
ひとまず篭というより大きな巾着袋のようなものが出来た。
口のところに通した縄蔦を岩にでも引っ掻けて川に沈めておけば、運が良ければお魚が入ってくれるだろう。
入ってくれたお魚を出ていかなくするための返しには、茅の葉を使った。
邪気を防ぐ魔除けに使われるような尖った葉ならお魚も出ていかないだろうと思ったのだ。
枯れてなければ尚良かったが、季節的に仕方がないので今後に期待したい。
罠を編んで作る事が出来たので、もうひとつ小さなかぎ針を作って紐蔦で手のひらサイズの四角に二枚編んだ。
これを手のひらに当てて、中指と手首で括ってグローブの代わりにする。
指は守れないし簡易すぎるが、ないよりいいだろう。
つけ心地を確かめてみてから中指の紐を縫い込んで指輪にするなどの手直しをして満足した華は、またカバンを枕にして朝まで眠るのだった。




