12 竹槍を作ろう
藤棚さんに戻り、松明を焚き火に合流させて、抱えていたお土産石は焚き火を囲む石に足した。
その際、誘惑に抗いきれずに乾かし中の土器をつついてしまった。
火に面している側は乾いているようではあるが、他はまだまだのようだ。慎重に土器の向きをズラして火が当たる場所を変える。
少し指の痕が付いたかもしれないが、変形してしまったりはしなかった。
焚き火の周りに並べた土器たちを見ているとやっぱりによによしてしまうのだが、果たしてどの程度乾かせばいいものなのか。
(そういえば陶磁器って窯で2日も3日も焼くとかじゃあなかったっけ?やっぱり直火に突っ込んだ方がよかったのかな…)
そうは思っても今のところはこの小さな焚き火を維持させることの方が重要だと考ていた。
マッチを使いきってしまえばこれ以後の配給はない。
土器が倒れるか何かしてうっかり火を消してしまわないように、次回以降何か小さなものを作ってそれを焚き火の中で焼いてみる事にしたのだった。
(何回でも作ってみればいいよね。お試しならちっちゃい人形とか…やっぱり土偶?女神様?作っちゃう?ああでも、土鈴みたいなのを作ってみようかな。たくさん作ってお家の周りに…)
夜が明けたらやりたいことがたくさんあったが、夜でもこの月明かりと焚き火で手元の作業ならば余裕で出来そうだと、華は採ってきた竹を引き寄せた。
野生動物がいると分かったので、武器を作るのだ。
小刀で葉を落とし、水平にしてもしならないあたりで切断したものを3本作ったところで立ちあがり、自分の背と比べてみる。
「うーん…。……短い」
採ってきた中でも長いものを選んだのだが、どれも華の肩くらい。できれば華より頭ひとつ分位長い物があれば嬉しいのだが。しかも…。
「弱っ!」
先端を鋭くした後、実際に振ってみたところ、少し振っただけでびよんびよんと無駄にしなって使えない。
何度か振ってみるが、突きならばしなりのタイミングに合わせて何とかイケるかといったところか。
そもそも太さ2㎝足らずの細い竹なので予想はしていたのだが、思った以上に竹槍には向いていなかった。
(これって矢竹ってやつ?確かに弓矢にするにはいいかもしれないけど…)
華は薙刀をずっと使っていたのだ。
弓は小さな頃、曾祖父に手解きを受けたくらいで、剣を使う兄たちにリーチで対抗すべくずっと薙刀を使っていた。
ここは弓矢を作って練習するべきか…。
しかしやはり使い慣れた武器に近いものを作るべきだろうと、切り落とした竹の先端の更に細い部分と束ねて補強してみた。
採集中いつの間にか紐蔦と呼んでいた細い蔦で何ヵ所か縛って補強したところ、補強なしよりかなりマシなようである。
もう一本思い付いて、こちらは縄蔦と名付けた?太い方の蔦を竹にぐるぐると巻き付けて補強してみた。
しかしこちらはやらないより気持ちマシ、くらいでしなりは大して変わらなかった。多少握り易くなったくらいか。
(4メートルの長槍よりは使いやすいんだろうけど…)
使ったこともない武器と比べてとりあえず今夜のところは妥協することにしたのだった。




