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異世界で、平和を願う。  作者: ちょこぼーらー
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107 魔法っていうのは

『まほう?』


 初めて聞く言葉に華は首を傾ける。

 華に抱き付いたままのシアを見るが、シアはマールを阿呆の子を見るような目で見ている。


 はじめこそ、このふたりを恋人同士なのかと思っていた華だったが、教えて貰って今は姉弟だと知っている。

 こういうシアのマールに対する遠慮がない態度を見ると、家族なんだなと改めて思うのだ。


『え~っと…魔法って言うのは……』


 シアは魔法についてどう説明をしていいものかと悩む。

 そもそも魔法も魔法の使い手も一般ではほぼ見かけない。

 見えない、見せられないものをどう説明するべきか。

 ロイ達も首を捻って華への上手い言い方を考えていた。


『魔法は置いておいて、その落ち化蛇を殺った方法を聞いた方がいいんじゃないか?』


 魔法を上手く説明する方法が分からず、華の方に聞いた方がいいとエドワードが言い出した。

 自分で聞かないのは、シアやロイの方が華も話しやすいだろうという気遣いのつもりなのだが、シアから見ると華にそんな気遣いは必要なく、むしろエドワードの方が華に慣れていないだけに見える。

 熊のようにでかい図体をしていても、シアの彼氏は繊細なのだ。


 それもそうかとロイは華に止めを刺した方法を訊いた。


『ハナ、カタナって何だ?どうやったんだ?』


『刀はぶきです。えっと、けん?…すこし、まつ!』


 そう言って華は藤棚さんに入って行った。


 何て事はない、剣で斬ったというだけだった。

 落ち化蛇を斬れるのだからただの剣ではあり得ないが…。


 全員がマールをじとっとした目で見る。


(何が魔法よ。…でも……)


 ロイもマールと同じ考えだったので、シアの様に阿呆の子を見るような目では見ないが、もう少し慎重に様子を見るとかあるだろう!とは思っている。


『な、なんだよ~。訊いてみないとわかんないだろ!』


 マールが狼狽えて言うが、その通りなのだ。

 落ち化蛇に止めを刺したのは刀という武器だったのは分かったが、華が魔法の使い手なのかどうかというのは分からずじまい。可能性は無くはないが……。


『それはそうだけど、結局“魔法”が説明出来ないじゃない。わたしだってよく知らないのに…』


『それにもし魔法が使えたとしても隠しているのかもしれない』


 エドワードがもっと慎重にと言うが、マールは不思議そうな顔をする。


『なんで?魔法が使えたらすげーじゃん。なんで隠すのさ』


 全員が阿呆の子を見るような目でマールを見た。

 華が戻って来てシアの隣に座ったが、微妙な雰囲気に瞬きをしている。


『あんたもし魔法が使えたら隠さないの?』


『え、魔法が使えたら?自慢するに決まってんじゃん』


『領内に数人しかいない魔法の使い手だって分かったらそりゃ凄いよね。そうかー、自慢しちゃうのかー』


 華は先程の“魔法”という言葉は聞き取れているが、にこにこしているシアから何やら圧を感じて大人しくヒアリングに徹している。

 “使える”と頻りに言っているので“魔法”と言うのが道具や手段なのだと分かるが。


『希少な魔法が使えるなら重宝されるだろうね~。大公家で雇って貰えるかもしれないね~?あ、もしかしたらぁ、帝国からスカウトが来ちゃうかもー!でもぉ、スカウトならいいけどぉ~。誘拐とかー?されちゃったり~?』


『『『「………」』』』


『…で?もしハナが魔法を使えたら?やっぱり自慢するって思う?』


『さーせん!』


(“まほう”ってもしかして危ない物なの!?)


 結局魔法が何かは分からない華だった。



 魔法については、説明出来ないから華と一緒にいるときに見かけたら教えてくれるということになった。


『これわたしの守り刀。“華兎”』


 そう言って華が見せた刀に全員が目を見張った。


『宝剣じゃないか…』


 ロイが呟いた。

 華がこちらの言葉で剣と言ったのなら刃物の武器なのだろうが、鍔の無い、僅かに反った形状、その見たことがないほど黒光りする鞘とそこに施された紋様。


『え、ハナ。これ使っちゃったの?落ち化蛇やっつけるのに?』


 これは例えば城や神殿に奉られるような物ではないのか。

 しかし華は、武器なのだから当然だとばかりに頷いた。


(あ、もしかして武器に見えないのかな?こんな綺麗な細工だもの)


 そう思った華は、あっさり、しかし丁寧な仕種で刀身を鞘から現した。


『これぶき。つかう。落ち化蛇、スパッって』


 華はそう言って斬る動作をした。

 後に商会に戻って報告した面々は揃って『目がつぶれるかと思った』と言った。


 華の持つ刀は鞘も刀身もそれほどまでに美しく、全員が魔法を見せるよりこの宝剣を見せる方がよっぽど華の身が危険だと判断したのだった。

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