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異世界で、平和を願う。  作者: ちょこぼーらー
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105 種まき

 数日後。

 シアだけではなくロイやマール、エドワードの連日の手伝いのお陰で、華の綿畑が完成した。


 ファーナやアルベルト、護衛チームのリーダーであるアレックスはいない。

 それなのに毎日護衛の人達に畑仕事を手伝ってもらってもいいものかと華は恐縮してしまう。

 収穫とかならまだしも、やっていることは開墾で、ぼうぼうの茅を刈ることから始めているのだ。


 しかも刈り取った茅を屋根に積んでいった結果、華が必死で積み上げた薄い屋根が一日で分厚い立派な茅葺きの屋根に変身を遂げた。


 前日に刈り取って紐蔦で束ねた茅をエドワードが屋根の上で待機するロイとマールにぽいぽい投げ渡して乗せていく。

 男3人でかかれば小さな藤棚さんの屋根などあっという間だった。


 華が藤棚さんに載せた三角屋根にするための竹の枠組みも、始める前にしっかりしたものに作り替えている。壁もそうだが、何と言っても華の作った屋根は蔦で括った物なのだ。いつ切れるかわからない。

 その点も新しい屋根は購入したロープを使い、元々あった藤棚さんの棚や柱ともしっかり括っている。

 冬になる前に隙間だらけの竹の壁を何とかする予定だが、そちらにもロープを使えばより丈夫な壁が出来上がるだろう。


 茅を刈り取り、華が畑にと区切った範囲内に入ってしまった木も切り倒して根を掘り起こし、華が当初想定していたより遥かに立派な畑が出来上がった。


 そして種まきの日。

 種まき位は自分でと言った華だったが、どうせなら種まきまでやりたいとのシアの希望を受けてのお手伝い最後の日。


 畝幅と長さの計算をして、それぞれのポイントに支柱を立てて、高さを揃えて紐を張る。


 初めは庭の畑のように山の斜面を畑部分だけ平らにしようと思っていた華だったが、あまりに大変な作業になることが予想されたので、計画を変更して段々畑風に畝を立てることにした。


 そうしてみると、南向きの斜面なので、東西に伸びる畝は日当たりが抜群に良いということに気が付いた。


(畑と藤棚さんの間に用水路を持ってきたら便利かも)


 極近にある水場だが、これから畑に水を撒くとなると一苦労だった。

 以前から水道を作ろうとは思っていたが、その際の流す先には大きな樽などを想定していた。

 竹樋で木の枝の上に水道を作り、水を流したい時だけ水源の滝に繋げたらどうだろうと計画していたのだ。もちろん使うとき以外は一々滝から呼び樋を外す。


(でもよく考えたら、斜面の下に流しちゃえばいいんだよね。下に川があるんだし)


 そんなことを考えながら畝立てをしていると、1列終わったあたりでシアたちがやって来た。

 ここのところ毎日朝にやって来て昼過ぎに帰っていたが、大変だったろうなと華は思う。


(お陰ですごく助かっちゃった。何かいいお礼ないかな)


『ハナ、おはよう!』


『おはよう、みんな。きょうも、ありがとう!』


『おはよー』


 馬を繋いでそれぞれあいさつを口にしながら袖を捲っている。


『今日はチーズとソーセージもあるぞ。昼に食べよう』


『チーズ!ありがとうございます!』


 そうして置き鍬を取って畑にやって来た面々は、開墾した畑に規則正しく立てられた支柱に興味深々になっている。

 支柱だけではなく、糸が弛み無く張られているのだ。

 全員こんな状態の畑を見るのは初めてだった。


『こうです。この糸のはばと、高さで“畝立て”します』


 華が1列作った段々畑の一番上段の畝を見せて説明する。


『このウネタテ?するとどうなるんだ?』


 華が立てた畝でやることは一目瞭然だが、マールの見たことがある種まきは、耕した畑に投げて撒き散らしているものだった。

 この畝立てをした畑でその種の撒き方はしないだろうということは流石にマールにも分かる。


『この畝立てをすると“水捌け”がよくなります。ねがたくさんのびます。それから“管理”もできる、かんたん、え~と』


 畝立てをする利点を述べていくと、全員感心したように糸のガイドに合わせて畝立てをしてくれた。


 皆が畝立てをしてくれている間に、華は出来た畝の中心に糸を張り直し、土器で等間隔に種まき用のへこみを作っていく。


 そしていよいよ種まきだが、華は種の入った麻袋を直前まで水に浸けていた。

 種に残った綿を取り除いて、芽出しの為に浸けておいたのだ。


「これで芽が揃うといいんだけど…」


 華は間引きをする気はさらさら無く、穴ひとつに種1つ蒔きでやってみるつもりでいる。

 うまくいかなければまた次に考えればいい。


 濡れた種は男性陣の手では扱い辛そうではあったが、何とか種まきも終わり、水撒きも支柱の片付けと糸の回収も午前中で終わらせた。


 賑やかだったのも今日で終わりかと思うと少し寂しくはあるが、また町へ行けばいつでも会えるだろう。


 そう思いながら、パンにソーセージとチーズを載せたものを外の焚き火で炙って皆でお昼を食べる。

 開墾時に切り倒した木を運んで貰って椅子がわりにしてのご飯タイムだ。


『そういえばハナ。白い鳥は見たか?』


ロイが聞いた。

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