37話 真名は大事なもの覚えた
ネビィアが実験の弱めになった電撃を受けた後屋敷の客室で待っていた。
「あれが雷魔法の弱い威力かい、あれは便利だよ…あたしの治療中に暴れる馬鹿を黙らせるにはいいね」
「そうですね~、アルトさんが倒れた時は驚いて思考が止まりましたけど、盗賊や海賊などの捕縛にはいい魔法だと思います」
「あい、もちょもちょ、かくほしゅるための、まほー」
「それは理解したよ、でも何でライ坊が知ってるのかが気になるね」
「私もそう思います、磁石の作り方にしても何で知ってるのか私も知りたいです」
「ん? 磁石を作ったのかい?」
「はいそうなんですよ、凄いのが出来たんです! ここでは出せませんがかなり離れた場所の金属をもの凄い勢いで引っ付くんですよ! バーダさんが言うには鎧を着たまま近づいたら潰れて死んだかもって言ったんですよ!」
「また凄い物を…ん?…それって聖獣様が来る前の日に作ったのかい?」
「はい!」
「あ…」
「そうかいそうかい、それじゃ~あの日のもの凄い轟音が鳴ったのはバーダの魔法だね?」
「あ、…い、いえ、…それは…その…、ライくん助けて!」
「ち、ちらにゃい! らいは、にゃにも、ちらにゃい!」
「見捨てないで~! ち、違うんですあの時の轟音は私達関係ないんです~!」
「リサや、あんた自分で白状してるもんだよ、それは…」
「うわ~ん! 助けて~バーダさ~ん!」
客室のドアがノックされた後にドアが開く、入って来たのはバーダだった。
「失礼します、リサさん外まで聴こえてますよ? それで何から助ければ良いんですか?」
「バーダさん! 助けてください! あの日の事を聞かれたんです!」
「あの日………、その節はお騒がせしました申し訳ありません、思いのほか興奮していたみたいでちょっと威力が出てしまいました、関係者には謝りましたがネビィアさんにはまだでしたね」
「ほぅ、まぁ~良いさ、それで今から教えてくれるんだろ? このライ坊の事を」
「はいお教えいたします、ですが色々と問題が有るので、ネビィアさんとライ君達は付いて来てください、リサさんとディン殿はアルト殿を介抱してあげてください」
「「はい」」
「何処に行くんだい?」
「談話室です、ライ君フツマさん行きましょう」
「あい」[キュー]
ネビィア達は談話室に移動した、談話室に待って居たのはカーリだった。
「おやカーリじゃないか、カーリは良いのかい?」
「はい、もう既に話してるので問題無いです」
「そうかい、それじゃ―…制約魔法だね?」
「やはりご存知でしたか、…その通りです、なら何故かも大体予想されてますね?」
「そうさね~転移者かい?」
「それは制約魔法を施してからお話しします」
「そうさね、エルフの掟は絶対だ…仕方ないね~」
準備が整いて制約魔法を発動する、ついでに遮断結界魔法も使うバーダ。
「流石ですね、前よりも早く魔力が溜まりました」
「前回は誰としたんだい?」
「旦那様と奥様と私です」
「そりゃ~溜まんないだろうね、カーリは後方魔法使いだからまだ良いだろうけどナサスの魔力はほぼ無いだろ?」
「そうですね、今更ですが本人も魔力を増やす努力をしてますよ」
「そりゃ~殊勝な事だね~、まぁ続くとは思えないけどね」
「大丈夫ですわ、私が見てますから」
「あはっはっは! それだとサボれないね! でもそれで長生き出来るなら安いもんさ」
「はい、少なくとも私が死ぬまでは頑張ってもらいます」
「そりゃ~厳しいね~、あんたは間違いなく長生きするからね」
「はい、そのつもりです」
「話がそれたね、で? ライ坊は転移者かい?」
「いいえ、転生者です」
「転生? なら異世界人じゃないのかい?」
「いいえ、異世界からの転生者ですよ、本名は確か…」
バーダは鑑定で見た文字を書く“出雲 弥伊”と、その紙をネビィアに見せる。
「なんだい? この図は」
「それはライ君が居た世界の文字です」
「にゃい! らいにょいちゃ、くに!」
「すみませんライ君、ライ君の居た世界の国で使われてる文字ですね」
「別に言い直さなくて良いさね、これが文字ね…バーダあんたは読めるのかい?」
「いえ読めません、ライ君が教えてくれましたが正確な発音は違う筈です、ですよね?」
「あ…あい、ごめなぁしゃい」
「ライ坊が謝る事じゃないよ、…ライ坊は文字は書けるかい?」
「かけりゅ、でも、まえにょ、せかいにょ」
「あーこっちの世界のは書けないかい? と言うかこっちの世界の文字は読めるかい?」
「にゃぜか、よめりゅ、でも、かけにゃい」
「ん~、ちょっと待っておくれ…………よし、ライ坊これは全部読めるかい?」
ネビィアは日本で言う所のひらがな表を書いて見せてきた。
(おおぉ、こっちにも有るんだ文字表、どれどれ……うん読める、これを見ながらなら書けそうだ。)
「よめりゅ! しょれ、あっちゃら、かけりゅ!」
「そうかいそうかい良かったよ、なら教えてくれるかい?」
書き始めたが、名字を書いてライは有る事を思い出す。
(ん? 待てよ? 日本だったか憶えてないけど、確か真名は誰かに知られると駄目とかなんとか、ん~教えて良いものかどうか…。)
「あにょ~、おちえりゅまえに、ききちゃい」
「なんだい?」
「まにゃ、わかりゅ?」
「マニャ?……あ~真名かい?」
「あい」
「真名ね~、そうか…その可能性も有るね~、でもあたしも自分の真名は知ってるけど鑑定で出るもんじゃないよ? あたしって言うより………ここで聞いた話は誰にも言うんじゃないよ? カーリもバーダも当然ライ坊も良いかい?」
「あい」「「はい」」
「真名ってのは…ライ坊は分かってるポイね、魂の名前で生まれる前に神様に決めてもらうんだよ、何故あたしは知ってるかは簡単だねエルフの血が入ってるからさ、他の種族は分からないけどヒューマンは真名を知らないだろうね、エルフが知ってるのは代々教えられるんだよ親から子へね、あたしも母親から教えてもらったよ」
「それならば親は知っているのかしら??」
「言い方が悪かったね、真名を知ってるのは本人だけさ」
「では代々伝えられてるのは真名を知る方法ですか?」
「そうさね、方法は教えないよ? 知ったところで出来ないかもしれないけどね」
「何故ですか?」
「それはあんた等は何て言ってるか知らないけど、あたしらエルフの血が入ってる者は世界樹に聞くんだよ」
「世界樹ですか……、それならエルフの方達だけしか出来ない方法でしょう」
「だから言っただろ? でだ誰かの真名を知ったらその知った相手を縛れるんだよ」
「縛るとは、どんな風にですか?」
「全部さ、そいつの全てを知った奴が自由に出来る、奴隷より質が悪いね、知られたら人生が終わるぐらい大事なものだ、真名はね」
「では聞かない方が良いのでは?」
「ん~、正直分からないんだよ、さっきも言ったけど鑑定では出ないのに出たんなら真名じゃない可能性も有るんだよ」
「…こればかりは我々では判断出来ませんね、ライ君が教えたくないなら教えなくても良いですよ」
(ん~この人達なら変な事しないだろうけど…、今のを聞くと躊躇するよな~よし! 本名は伏せておこう、でだこの文字表は欲しいけど…貰えるかな? 前の世界で中世時代は紙が高価だった筈、もしそうなら貰えないだろう…聞いて駄目なら諦めるか。)
「まにゃは、おちえにゃい、ほーがいい、で、しょにょかみ、ほちぃ、だめ?」
「これかい?」
ネビィアは文字表を持ち上げながら言う。
「あい」
「別に良いさね、でも何に使うんだい?」
「りょーりちょーに、れしぴ、おちえる!」
「ほう……、異世界の料理かい、興味あるね…今日は作らないのかい?」
「あ!ライ君「いちゅも、でてりゅ」……遅かった」
「ほ~う、美味いもんをあたしに黙って食べてたのかいあんた達」
「ネビィアさん、今日は是非食べて行ってください、バーダ、料理長に一人増えた事を伝えてくださる?」
「はい、奥様、ですが更に一人増えると思います」
「お父様かしら?」
「はい」「あい」
「あ~そう言えば言ってたね、なんだっけ? カリャアゲ?だったかい?」
「にゃい、かりゃ…」
ライは早速文字表を使う。
「これ!」
「カラアゲですか、どんなのかは後の楽しみですね」
「だね」
「それじゃ~今日はここまでだね」
「今日は? もしや明日もですか?」
「当然だろ? このライ坊が知ってる魔法は1つじゃないんだろ?」
「「……」」
[キュー♪キュー♪]
こうしてバーダは料理長に夕食の人数が二人増える事と、ライが新しく唐揚げの調理方法を教えた。




