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11話 貴族は重役さんと同じ

 門前の見張り衛兵が見えてきた頃、ライは思いに耽ていた。


(いろいろ考えたけど、自分の食い扶持は何とかしたいな…、地球での知識を遣えばいろいろな方法で稼げるけど、絶対に使っちゃいけない知識は…間違いなく兵器類だな特に核は絶対にダメだ、逆に遣っても良い知識は食や娯楽関連かな~ふふふ♪ まさか実際に異世界に来るとは思っていなかったけど、これが無かったら生きてゆけない物は作れるように実際に作った事があるのだよふふふ♪ いや~本当に過去の自分を褒めたい、自分で作った事があるのは味噌と醤油とマヨネーズ、後不味かったけど納豆!これが無いとマジで絶望だからな、あれもこれもと考えてるけど、そもそも今考えたのがこの世界に無ければ稼げるかも…だからなー。)


「もうすぐだから我慢しろよ?」

「?」


 ライは首を傾げる、何を我慢するのか分からないからだ。


―――――

アルト視点


「ん~、ん~」


(ん? 坊主が唸ってる? まさか! 大きい方か!? 門が見えてきたからもうすぐ着くんだが…、我慢させるのもお貴族様を急がせるのも難しいし…、門番が使う便所借りるか。)


「もうすぐだから我慢しろよ?」


―――――

ヘレナ視点


「ん~、ん~」

「ふふ」

「どうしたんです? ヘレナさん、突然笑って」

「いえね、ライちゃんがう~んう~んと悩んでる姿が可愛らしくって」

「ヘレナさんは本当に可愛い物が好きですよね、確かに可愛いですよね、あの子」

「でしょ? この国では珍しい黒髪黒目そして白い肌、何より賢いのですよ? まだ歩き出して1年ぐらいしか経ってなさそうなのにわたくし達との会話が成立しています、すごい事なんですよ?」

「お貴族様ならあれぐらいの歳で会話できませんか?」

「いいえ、言葉を喋る事は出来るかもしれませんが、大人との会話に入れません、意味が理解してないと会話が成り立ちませんからね」

「あーそうですね、話が噛み合わない事、大人同士でもありますね」

「そうです、ですからあの子は相当賢いと思います」

「ヘレナさん…、意外と色々見て考えてるんですね」

「意外とは何ですか!?意外とは!」

「すみません、失言でした」

「まー良いでしょ、もう街に着きましたし、ライちゃんの鑑定が気になりますしね」

「ですね、何が出るのか気になりますね」


―――――

ラウル視点


「お兄様、どう思いますか? ライの事」

「うむ、正直分からん、タイミングもよすぎるしな」

「? タイミングが良いと言うのは何の事です?」

「ん? ああぁこっちの事情だ、メアは気にしなくても良い」

「むぅ、少しだけ情報を出して気にしなくても良いなんて言われても気になります」


 頬を膨らまして拗ねるメア、少し可愛いと思うラウル。


「すまんな、訳あって言えんのだ、母上には報告せねばいかんがな」

「それが王都から帰ってきた理由ですか?」

「ああ、だがそれだけではないんだが…(言えんな、言ったら母上に殺される!)」

「? 私には言えませんか? それとも言いたくない?」


 般若を背に笑顔で聞いてくるメア。


「いやまてまて、屋敷に戻ったらたぶん…母上が玄関で待っているかもしれん、待って居なければ助かるんだが…まー無いだろう、母上の情報網は王都まで届いてるからな」


 項垂れるラウル、間違いなく死地へ一歩一歩近づいているのだから。


「では、私からは何も言わないでおきますね」

「はぁ~」


―――――


「先に行ってくる」


 門に近づく一行、長身寡黙の護衛が先触れを志願する。


「ああ頼む、坊や便所に行くか?」


 それに許可を出しライにトイレに行くかを聞くアルト、内心は先触れは俺が行きたかった! と思っているが顔に出さない、流石よくできた苦労人。


(ん? なんでトイレ? 小さい方は今は出ませんが? それに皆で門に行った方が効率良いのに何で先に一人で行かせたんだ?。)


「しっこ、まだ、だいじょぶ」

「そっか、便所は大丈夫か…、ん? まだ何か気になるか?」

「あい、なんで、ごぉえしゃん、ひちょりで、いかしぇちゃの?」

「…ぁあ、なんで護衛を一人で行かせたかって事か?」

「あい」

「あーそうだな、先触れって分かるか?」

「あい!」

「おおぉ、分かるのか…、まーそれだな、今から貴族が来るので粗相するなよ?って事だ、何かしでかしたら処罰されるからな」

「あ、あい」


(おうふ、流石貴族社会、契約してもらってる会社の重役さんを接待、みたいな感じか…それは恐ろしいなミス=人生オワタってなるもんな。)

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