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おかえし  作者: ふりまじん
付録 ひらがな
6/7

付録 3

しょくじがおわってよるになると、

メアリーはしようにんのしょくどうをかりてジョージとセーターをほどきました。


それは、フランクがこどものころにきていたもので、

なくなったフランクのおかあさんが、かれのためにつくったものでした。


セーターがきれなくなっても、フランクはおもいでのセーターをたいせつにもっていました。


それなのに12さいになって、オーストリアにぎょうぎみならいにいくのがきまってから、

ジョージにしょぶんすることをたのんできたのでした。

「もう、おおきくなったのだから。」


フランクのそのことばが、ジョージをさみしいきもちにさせたのでした。


フランクが、いそいでおとなになろうとむりをしているような、

そんなたいどが、ジョージには、せつなくかんじたのでした。


いくら、せいちょうするからといっても、おかあさんをおもうきもちをおいていかなくてもいいと 、 ジョージはおもいました。


だから、フランクにたのまれましたが、セーターをすてることができずにいたのです。

でも、メアリーのあんだぼうしにかわるのなら、

きっと、おくさまもよろこんでくださるにちがいない。

ジョージは、そうおもいました。



ジョージは、メアリーとセーターをほどいていとにすると、

  つぎによんほんのきでできた、あみものようのはりをとりだしました。


「ジョージあなたは、おとこのひとなのに、あみものをするの?」

メアリーはふしぎになってききました。

「アタシは、アイルランドのりょうしのうまれなんでね。

  おとこでもセーターをあむんですよ。

ついでに、あみのしゅうりなんかもうまいんですがね。」


ジョージは、そういってメアリーにぼうしのあみかたをおしえてくれました。


メアリーは、メリアスあみという、きほんのあみかたでせいいっぱいでしたが、


アイルランドのりょうしのセーターは、

とてもふくざつでうつくしいもようをあみこむのだそうです。


  それは、かもんのようにいえによってちがっていて、

あらしのためにうみでおぼれないように、ねがいがこめられるのだそうです。




「メアリーじょうちゃん。

じょうちゃんも、どうか、フランクぼっちゃんのしあわせをいのってくださいね。」


すうじつがたち、ぼうしがあるていどできたとき、ジョージがしあげをてつだいながら

メアリーにいいました。

「うん。いまは、これがせいいっぱいだけれど、

いつか、ちゃんとしたセーターをフランクにあんであげるわ。」


メアリーは、すなおにほほえみました。


「そのときは、また、あたしがおしえますからね。」


ジョージは、メアリーのすなおなえがおに、

フランクのあかるいみらいをみたきもちになりました。



  すうじつご、ぼうしはできあがり、メアリーのおうちでつくられたワインとともに、

オーストリアのフランクのもとへとおくられました。


そして、ジョージのうまれこきょうのアイルランドのいえにも、

メアリーのだいひつした手紙とともにワインがおくられたのでした。


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