付録 ひらがな
100ねん いじょうむかしのことです。
ヨーロッパのバイエルンというところに、メアリーというおんなのこがいました。
メアリーは9さいです。
メアリーには、おさななじみのおとこのこがいました。
なまえをフランクといいます。
フランクのいえは、ミューヘンというまちと、
オーストリアのこっきょうのちかくにあります。
フランクはメアリーより3つおにいさんで、
いつもメアリーを かわいがってくれました。
フランクは、12さいになった ことしのふゆから、
オーストリアとハンガリーの、 こうていへいか がふゆにおすまいになる、
ウイーンというだいとかいで、べんきょうをすることになりました。
クリスマスにかえってきたフランクは、しんねんのおいわいがおわるとすぐにもどってしまいました。
フランクのしんせきでもあるメアリーは、おとうさんたちとフランクのいえにとまっていました。
あとすこしでいえにもどるとなったあるゆきのひ、
メアリーは、ゆきかきをしている しようにんのジョージのよこで、
ふかいこうかいのためいきをつきました。
「どうしました、メアリーじょーちゃん。」
ジョージは、きのよいおじさんで、
サンタクロースのようなまっかな ほほをしています。
「うん。わたし、とてもこうかいしているの。」
メアリーは、そうだんあいてができたので、ジョージのちかくにとんでいきました。
「なにになやんでいるのでしょう?」
ジョージは、ひにやけたしわしわのかおで、しんぱいそうにメアリーをみてくれます。
おとなが、しんぱいごとをしんけんにきいてくれるのがうれしくて、メアリーはおひさまのようにわらいました。
それから、なやみをおもいだして、くらいかおになってためいきをつきました。
「あのね、わたし、フランクへのプレゼントのことでこうかいしているの。」
メアリーは、あかいケープのむなもとをかざる、
うつくしいビーズのブローチをてにしながらはなしはじめました。
「きれいなブローチですね。」
「うん。フランクがクリスマスにわたしにくれたのよ。」
メアリーは、ウットリとそのうつくしいビーズのブローチをみつめながらいいました。
「それはよかったですね。」
ジョージは、メアリーがしあわせそうなので、
きをとりなおしてゆきかきのつづきをはじめようとし、
はなしをきいてほしいメアリーをあわてさせました。
「まって。わたしのはなしをきいてくれる?
わたし、このブローチのことでなやんでいるの。」
メアリーは、まゆをよせて、こまったかおをしました。
そのしんけんなひょうじょうをみたジョージは、
スコップをゆきにさして、メアリーのかおをみました。
「そのきれいなブローチがどうしました?きにいらないのですか?」
ジョージは、メアリーにききました。
メアリーはくびをよこにふりました。
「ちがうの。わたし、じぶんがフランクにあげたプレゼントをこうかいしているの。」
メアリーは、とてもしんけんなかおでジョージをみつめました。
「な、なにをあげなさったのです?」
ジョージは、メアリーのようすにふあんになりながらききました。
フランクは、とししたのメアリーをとてもかわいがっていました。
メアリーがくれるものなら、キャンディーのつつみがみだってうれしがるくらい、
メアリーがだいすきなのです。
(フランクぼっちゃんは、いったいなにをもらったのだろう?)
ジョージは、メアリーのおくりものがとてもきになりました。