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ロスト学園2  作者: 神木界人
1 葵視点 洞窟の修行
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4 閃光の剣

眩い光が消えて行くとそこに一人の少女が立っていた。


「ダイジョウブ?」


「る、ルリちゃん⁉」


 それは間違いなく私たちのクラスに転校してきた少女。


「どうしてここに?」


「ソレハ、私ノセリフ」


「へ?」


「ドウシテココニ、二十階層ノボスガイルノ」


「あ、あぁそのこと。私にもよく分からないんだよ~。ってじゃ無くて! こいつ二十階層のボスなの⁉ 十階層じゃ無くて」


「ウン。私ノ情報ガ正シケレバ」


 二十階層のボス。道理で強いわけだ。


「ココニ、コイツガイルノ、良クナイ」


 そう言いながらルリちゃんは再び剣を構える。


「私ガ隙ヲ作ル。ソノ内二攻撃ヲ」


「う、うん」


 突然の共闘の申し込みだったが、私もこんなところに二十階層のボスを置いておくべきではないと思うし、そもそも私は助けに来てもらってる身だ。


閃光フラッシュ


 ルリちゃんが剣を振り下ろすと一瞬で部屋中が光に包まれ、相手を怯ませた。辛うじて私は彼女が攻撃する前に「目ヲ閉ジテ」と言ってくれたおかげで助かった。


「今」


 そして彼女の言葉に導かれるように、私の足はモンスターに向かって走り出し、切りつける。

 もはや有無も言わさぬ滅多打ちだ。特にルリちゃんの剣は光を放つだけでなく、その剣技そのものが光のようで私が一回切る間に三回は切っている。


 そしてさほど時間も経たないうちに二十階層ボスは一切抵抗することすら許されず木っ端みじんとなり果てた。




「う、うおぉー。やった、やったー」


 声をあげて喜ぶ私に対してルリは一言。


「ソンナニ嬉シイ?」


「え?」


「イヤ、ゴメン。私ノ失言。気ニシナクテイイ」


 そう言って彼女は剣を鞘にしまい、そのまま去って行ってしまった。

 お礼を伝える暇さえ与える事無く。





 結局その後、『洞窟の修行』は何事も無く終了した。

 私自身はルリちゃんと別れた後、十階層まで降りていき、そこに居座っていたボスを倒して取りあえず地上へ。時間がそんなに無かったという事もあるが、それ以上に二十階層のボスのせいで十階層から二十階層にあまり敵がいることを期待できなかったというのもある。


 結果的には私が優勝していたわけだし。何より二十階層のボスを倒したポイントがでかかったらしい。

 共同で二十階層のボスを倒したルリちゃんはそれ以外のモンスターを一体も倒していなかったようで結局ランキング外。


「おめでとう。川上さん。景品のノート五十冊だよ」


 …………と私は優勝賞品として五十冊ものノートを受け取った。え、マジでいらないんだけど。

豪華景品って…………。


 それに周りの奴らは奴らで「優勝しなくて良かった~」みたいな顔しやがって。


「まぁこれで勉強をもっと頑張ってくれ」



って! ふざけんじゃねぇー!!!!!




 ただ、もらったものを流石にゴミ箱に捨てるわけにもいかず。私は五十冊のノートを置いて帰るために教室へ。

 そこで圭君の机の上にあるものが置いてあることを目撃する。


「これは…………確か圭君がよく読んでる本だよね。机の上において帰ったってこと? 全くバカじゃん」


 そう言いながらも彼の本を自分のバッグにしまい彼の家へと向かうことにした。

 例え世話が焼けるとしてもそうしてあげたかったから。どうせ「いっつも読んでいる本が無い」と困ってるんだろうし。


 雨まで降り始めてきたけど、そんな嫌な寄り道でもない。私は軽く小走りになりながら彼の家へと向かった。


 そして十五分くらい。ようやく圭君の家へ。玄関から家から明かりがともっていて家にいる事は分かるのだが。


「流石にドアを開けっパって」


 不用心にもほどがあるでしょ。


「でも……」


 せっかくこうやってドアが開いているなら驚かせてやるのもいいかな。とインターフォンも鳴らさないまま私は彼の家の中へと入っていった。


 そして茶の間と思われるふすまの奥では音が聞こえる。中で何をしているのかは分からないけどそこに圭君がいるのは確実だ。


 そう確信した私は茶の間のふすまを思いっきり開けた。


「圭く~ん」


「あ」

「あら」


「え……………」

 

 だが、私の眼前に広がっていたその景色は。とても現実の出来事とは思えなかった。

 そこには横に転がる圭君とその上にまたがる咲。流石に服は脱いでいなかったけどこれは雰囲気をぶち壊しって感じ…………かな。


「ご、ご、ご、ご、ゴメンね~」


 そう言って私は圭君の本をカバンから抜き、近くにおいて一目散にこの家から離れた。

 外の雨は私が学校を出てきたときより強く、傘を左手に閉じたまま持って走る私の体を濡らした。


 そう言えば今日は二人でデートだとか言ってたっけ。まさかあそこまで一日で進んでいるなんて。いや、もしかしたら一日では無いのかもしれない。圭君とは長い事一緒に居るけれど結局「好き」って言ってもらったことは一度も無かったっけ。

 


 ダメだ。少しは圭君のことも分かってると思ってたけど、何一つ分かり合えちゃいないや。





圭君はとんだ浮気野郎(?)


次回からは章が変わって圭君視点になります

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