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ロスト学園2  作者: 神木界人
1 葵視点 洞窟の修行
3/51

1 二年生と転校生

いよいよ第二巻の幕開けです。

が、完全に一巻の続きと考えてくれていいかと……


ちなみに今回から一話当たりの字数を少しだけ字数を増やしていこうかとも思います。

私たちの春休みは風のように過ぎ去り、気が付けばあっという間に始業式の日がやって来た。


「ほら、席に座れ」


 まぁ二年生になったからと言ってこの学校での大きな変化があるわけでは無い。クラスメイトも同じだし担任の先生も新井あらい先生のまま。何より教室そのものすら変わっておらず、ただ外に下げられている看板(?)のようなものが一年から二年に訂正されているだけだった。


 ただ、二つだけ新学年になって変わったことがある。


「転校生を紹介しますね」


 そう先生に手招きをされ、一人の女の子が入り口を潜り抜けた。

 その一瞬で、あろうことかクラスの男子の視線が釘付けに。長くきれいで整えられたモンブランのようにクリーミーな髪の毛を軽く風になびかせながら。彼女は一歩また一歩と堂々とした振る舞いで先生の傍へ。


「彼女がこれから一緒に生活をしていくM1998ユニセクト・ルリちゃんね」


 新井先生のその紹介に釘付けになっていた生徒たち全員が困惑の表情を浮かべた。

 一瞬で覚えられるような名前ではない。


 だが、彼女も慣れっこなのだろうか、そんな戸惑う2-Aの生徒たちを見て「ルリ、ト呼ンデ下サイ」と片言かつほぼ無表情でそう付け足した。


「と、取りあえず少し経てばみんなも馴染めると思うから仲良くしてあげてね。席は……」


 そう戸惑う先生の目線はある一点で止まる。


 現在空白――というか誰も座っていない席。そこにルリは何の疑いも無く座った。

 そしてその空白になっていた席こそが二年生になって変わった二つ目の事。


 一年の時にはこの教室には内田朱里うちだあかりという子がいた。朱里ちゃんは私たちよりも一つ下の学園だったけど剣術、学力ともに付属中学で群を抜いていたが故私たちと一緒の教室に入れられていた。


 けど彼女はもういない。


 私と圭君の卒業試験の時に理不尽な死に方をした。まぁ私が理不尽なって言うには不敬甚だしいけど……。


 彼女のおかげで私はこうして再び学校生活を続けることが出来ているのだから。





 学校が始まった初日の授業というのはあっけないもので特にこれといった勉強が行われることも無く放課後。

 私たちは圭君の席に集まり去年と変わらないような団らんを。

 そんな中で私はある提案を出してみた。


「ねぇ~今度の土曜日にこの学校主催で行われるイベントがあるみたいなんだけど一緒に出てみない?」


 もはや前校長がいなくなり、殺し合いという概念さえ薄れつつありアイデンティティというか存在意義をなくしかけたこの学園は現校長――神崎陽子かんざきようこの提案により、剣術を磨くべきイベントをいくつか行うという決断を下したのだ。

 というか今まで散々命を懸けながら剣を振るっていたのが急にそういう要素ごっそり抜かれると生徒たちも空虚になってしまうだろうという配慮らしいが。


「葵、わりぃ。その日はちょっと」


 最初に答えてくれたのは雪ちゃん。顔を手の前で合わせながらちょっとだけ申し訳ない表情をして。


 さらに今度は咲が続いて、


「その日はわたくし、圭様とデートに行く約束がございますので。ねー圭様」


「い、いや、それはデートって言うのか。ただ遊びに行く……」


「よいではないですか。デートで」


 と。咲はニコニコと圭君は少し顔を赤くしながらも、出かける事には変わりないらしい。

 もちろん咲が出かけるのならば亜紀も共についていくことだろう。


「そ、そうよね。みんな忙しいもんね」


 流石に言い出しっぺとしてこれ以上会話の空気が重くならないよう、私も精一杯の作り笑いをしながらなんとか繕った。

 正直言ってしまえば朱里ちゃんを失ってすぐに春休みに入ったせいもあり上辺では何も変わらず“いつも通り”の日々を過ごしているように見えても、実はそうじゃないのではない雰囲気がマンマンと漂っていて。

 ギクシャクしてるとは違うけれど、どこかみんなが何かを遠慮している感じ。その空気がすごく嫌で、一緒に戦えばそう言うのも全て払しょくできるのかなとか考えてたんだけど……。



 やっぱ私のせいで朱里ちゃんを失うことになったの、みんなよく思ってないんだろうな……。


 

第一話とは思えないような暗めスタートでしたがしょうがない。

繋ぎ用の一巻最後であんなことになったんだから。葵ちゃんも思うところがあるようで。


が、これから彼らがどうなっていくのか今回は章ごとに視点を変えて展開していきます。


どうか二巻もよろしくお願いします。

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