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店長からのリクエスト買い出し編

 「え~っと……どこに売ってんだ?」


 俺は今、自分の部屋から一番近い距離にある、巨大な店舗を構える100円均一の店に来ている。ある物を購入する為に。


 最初は専門店にしか売ってないと思い込んでいたのだが、調べてみると今は100円均一の店でも売られている事を知ったので、早速買いに来たと言う訳だ。


 店内のアチラコチラを行ったり来たりと探していたのだが、一向に見つからない。俺は自力で見つける事を諦めて、近くで商品の補充作業をしていた店員さんに声を掛けた。


 「すみません、シリコンモールドってどこに売ってます?」


 俺が店員さんに尋ねると店員さんは作業の手を止めて暫し顔を上に向け思いだそうとしていた。そして、思い出せたのか俺に。


 『シリコンモールドですね、ご案内します』


 そう言って、俺の前を歩き俺を目的の物が売っている売り場へと案内をしてくれた。


  案内された売り場の棚の一角にシリコンモールドが数種類並べられていた。俺はそれらを一つ一つ商品棚から手に取り、顔に近付けてどんな型の物なのかを確認していった。


 「これと、これと、これでいいか」 


 俺は飾り付け専用の小さなハートや星の型。可愛らしくデフォルメされたカエルの顔の型。可愛らしいクマさんの全体の型。


 3種類のシリコンモールドを手にして、レジに向かった。


 「う~ん……まぁこれぐらいは、自腹でもいいか……」


 領収書を貰う手間を面倒くさく感じた俺は、100円均一で3つの物を買ったお金ぐらいは、自分の財布から出してもいいや。と思い、自腹購入をした。


 100円均一の店から出た俺は、車を走らせて自分の部屋へと戻って行った。


 自分の部屋に着いた俺は、自室のキッチンへと向かい今日の賄いの為に、朝から作っておいたカレーのルーをタッパに流し入れて、冷蔵庫の中で冷やした。


 昨日の閉店後に店の店長から【何か面白いオツマミ】は無いか? と言う割りと丸投げ気味のリクエストを出された為に、そのリクエストの仕込みに少し時間を取られるかも知れないと思った俺は、若手ホスト達に食わせる賄い飯を、カレーライスに決めルーだけを自分の部屋で仕上げておいた。


 その後、ほぼ満足に寝てない俺は出勤時間前まで休む事を決め、部屋のカーテンを閉めてベッドの中に潜り込んだ。


 夕方前の時間。携帯のアラームの音で目を覚ました俺は、ベッドから抜け出して、温めのシャワーを浴び意識をハッキリと目覚めさせる。髪と体を乾かした後、何時ものようにラフ過ぎる服を着た俺は、朝から作っておいたカレーのルーが入った大きめのタッパ2個と、100円均一の店で購入してきた3種類のシリコンモールドを持って部屋を出た。


 車を走らせて、これから店長からの課題に必要な食材の買い出しへと向かう。今日は、店で普段出すオツマミやフルーツの盛り合わせに足らない食材は無いので、今日この後に店で仕込む新しいオツマミの為に必要な買い出しだけで済む。


 そして車を走らせた俺は、店のNo.2の早乙女の客の誕生日パーティーの時に使ったお菓子を買った、菓子問屋直営のお菓子屋に到着する。店に入り、買い物カゴを手に取った俺は、脇目も振らずにチョコレート類が山のように積まれている一角を目指した。


 何十種類とあるチョコレートの中から、俺は迷いながらも目的に沿ったビターチョコレートとミルクチョコレートの徳用品を手にして、買い物カゴの中へと入れた。


 次に必要な物を買う為に売り場から移動をしようと思い体を反転させた俺は、何気なく視線を向けた先に、ピンク色をしたチップチョコレートと抹茶色をしたチップチョコレートの袋が並んでいるのを見付けた。少し頭の中で考えを巡らせた後、俺はストロベリーチョコレートと抹茶チョコレートのチョコチップの袋も他のチョコレートと同じように、買い物カゴに入れる。


 次に向かった売り場では、豆類が袋に詰めて売られている。俺はその袋に貼られたラベルの文字に注意しながら【ヘーゼルナッツ】と書かれた袋を手にカゴに入れた後、俺が選んだ袋の横にはラベルの色が違う、別のヘーゼルナッツも売っていた。俺は、2つの物を見比べて、量が多く値段の安い方を買おうと思った。


 2つのヘーゼルナッツを見比べた俺は迷わず、量も少し少なく、値段も少しだけ高い方のヘーゼルナッツを買い物カゴに入れた。


 俺が量の少なく値段の高い方を選んだのは、そちらのヘーゼルナッツのラベルには【薄皮剥き済み】の文字が印刷されていたからだ。爪の先を使ったり、爪楊枝を使ったりと薄皮を剥く作業をしやくて済むなら、俺は絶対に高い方を買う。

 

 最後に、小さなタルト等を作る時に使用する、クッキー生地で出来たカップの中でも一際小さなサイズの物をカゴに入れてレジへと向かった。会計を済ませた俺は、店員さんに領収書をしっかりと貰ってから、店を後にして車を走らせた。

 

 何時ものコインパーキングに車を停めて、買い出しで買った食材と荷物を入れたビニール袋を手にぶら下げて、反対の手にカレーのルーが入ったタッパを入れた紙袋をぶら下げて、店へと出勤して行く。

 

 

 

【平子 奈都亜】さんよりFAを戴きました。

主人公の氷室くんです。


挿絵(By みてみん)

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