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秘密会議

少しだけ短いですが、キリも良かったので投稿します。

 賄い飯を若手のホスト連中に食わせてやり、食べ終わった若手達が店の外へと営業活動に出掛けて一人静かな店内で、開店時間を待っていた俺。暫くすると、店内に誰かがやって来た。


 俺は若手のホストの誰かが戻ってきたのかな? そんな風に思いながらも一応は、開店時間まで店に一人残っている店番としての役割をまっとうする為に、念のためキッチンから出て表のフロアへと顔を出した。


 そこには、カウンターの長椅子に座る店長と、この店のNo.2である【早乙女 和哉】の二人が座っていた。

 「おろ? おはよう、早いねどうしたの?」


 俺が二人に声を掛けると、店長と早乙女も俺に挨拶を返してきてくれた。俺は良い暇潰しの相手が来てくれたと言う事に内心喜び、一度キッチンに戻り調理台の隅に置いてあるタバコの箱とライターと吸殻が少し入っている灰皿を取りに戻った。


 グラスの棚からグラスを一つ取り出して、カルピス牛乳を作り、二人が座るカウンターの正面に立つ。


 『氷室君、カルピス牛乳大好きだね』


 店長は俺が何時も飲んでいるカルピス牛乳の事に一言触れた後。


 『あっそうだ! 氷室君ってさケーキ作れたりしない?』


 「ケーキ? パウンドケーキとかロールケーキぐらいなら作った事あるけど?」


 『あ~そう言うのじゃなく、誕生日で使うようなケーキ! 作れない?』


 この店長は俺の事をどう思っているのだろうか?

オツマミ作れて、フルーツカービング出来て、カクテル作れるだけでも自分でもかなり変な奴だと言う自覚はあるが、その上にケーキまで作れるパティシエ能力まである訳が無いだろうに……


 「そんなケーキは作れません、何でケーキ?」


 俺の何故突然ケーキなんか作れるのか聞いてきた事に対して逆に俺の方から聞いてみると、店長に代わり早乙女の口から。


 『俺の一番の太客の誕生日が明後日あって、店で誕生会でもしようかと思ってたんですよ~』


 その言葉を聞いてようやく納得がいった俺は、早乙女に向かって。


 「流石に誕生日に使うようなケーキは作れんわ、すまんな」


 一言、詫びておいた。早乙女もそこまで期待はしてなかったのか、笑顔で氷室さんが気にする事無いですから。と言ってくれた。


 その後は三人で、ケーキは買う事にするかだとか、どんな料理を提供するかだとか、店からのプレゼントは何がいいか。だとか話し合いを続けていた。

 

 そんな話し合いの最中に俺は、一つのアイデアを閃く。そして、それを実行する上で必要になってくる事を、担当でもあり誕生日を迎える客の事を一番良く知る早乙女に確認する為に質問を幾つかぶつけてみた。


 「その客って、俺の作ったフルーツの盛り合わせは頼んだ事あるか?」


 『ありますね、あの小さなスイカで作ったシャンパン入れるの頼んだの、その客なんで』


 最初の質問にそう答えてきた。フルーツは好きだと言う事が確認が取れた俺は次の質問に移った。


 「チョコレートとか甘い物は?」


 『まぁ……女性だから好きだと思いますよ』


 取り合えず俺の考えたアイデアを実行に移す事に障害になる物は無さそうだと判断した俺は、早乙女と店長に頭の中に浮かんだアイデアを話して聞かせてみる事にした。


 「二人ともちょっといい? こう言うのはどうかな?……」


 俺のアイデアを聞き終わった二人は、揃って【それ良いね】と賛同してくれた。まぁ誕生日のケーキ程にはメインを張るには足らない物だろうが、店からのプレゼントとして考えた時には、割りと効果的な物にはなるだろう。シャンパン等は早乙女自身が頼む予定でいると言っていた事だし。


 『それで、もちろん普通のヤツって事は無いんでしょ? どんなの作る予定なの?』


 店長がニヤニヤと笑みを浮かべながら俺に、ネタバラシを迫ってきた。俺は、店長同様にイヤらしい笑みを浮かべて。


 「ここで教える訳ないでしょ、その時までのお楽しみってやつですよ」


 そう言い返してやった。


 そして、サプライズが大好きな三人は店が開店時間を迎えるまで、ずっと揃って客の誕生会をどんな物にするかを話し合っていた。


 

↓↓↓↓こちらの作品もよろしくお願いします。

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