ヘルドッグフレンズ
「髪?まぁ髪ならさっきみたいな事にはならないか……」
さっきの背中を洗った時みたいな空気にならなければ良いけど
「それは……頑張るです」
頑張るって……
「洗っても良いけどそれだけは勘弁してくれ、頼む」
一応男同士で風呂に入ってるはずなんだけど、やはりベルとケルは一緒の存在だからか?
「分かったです。ケルの為にも髪を洗って欲しいです」
そっか、ケルとベルが交代しても体の特徴が変わるだけで体そのものが入れ替わる訳じゃないのか。いや、入れ替わる事自体凄い事なんだけどさ?
今ベルは胸が膨らんでいる訳でもない男の子の体だ。だから俺がベルの背中を洗えたんだけどな?
「そういう事なら念入りに洗ってあげないとな!女の子の髪でもあるし、何より結構風呂に入って無かったでしょ?」
今まで隠れて過ごしていたんだ。満足に体を洗う事が出来ていたか定かではない
「汚れとかは防げるです。でも久しぶりのお風呂はとっても気持ちいいです!」
体が汚れない、ご飯食べなくても2か月は生きていける。改めて人間とは違うと認識させられるなぁ
「じゃあもう少し体を温めてから頭洗おうか」
体を洗って風呂に入り、直ぐ頭を洗うとなるとまた風呂から上がらなければならないのでバタバタする事になる。少し湯に浸かってゆっくりしよう
「はーいです!あっクロトさん?少しだけ、少しだけで良いんでケルと変わっても良いです?ケルもお風呂の感想を言いたいって思ってるんです」
止めてくれよ……と言いたいけど、感想くらいなら俺が目を閉じていれば良いか?
「じゃあ目隠ししてるから感想言ったらベルに戻ってね?」
そう言って両目を手で覆う
「んー!お風呂きもちーの!」
早速ケルに変わったみたいだ。感想言ったら直ぐベルに交代してくれ、女の子とお風呂に入るとか初めてだし、なにより落ち着かない。
「クロト?なにしてるのー?顔隠してどうしたのー?」
そう言って俺の腕を顔から剥がそうと両手で襲い掛かる
「おいベル!早く変わってくれ!このままだと襲われるー!」
腕に力を入れるが、ダメだケルの方が力が強い。腕を剥がされ、顔が露わになるがまだ俺には瞼という最終防衛ラインがある。これは突破されないだろう
「目、開けてなのー」
ケルが俺の腕を戻されない様に両手で抑え、耳元で囁く。
「止めて!頼むから止めて!」
体当ててくるの止めて!耳元で囁くのも!
「目、開けたらやめるの」
もうここまで襲われたら目を開けるのも開けないのも変わらない。なんでも良いから早くベルに変わってもらわないと……
「分かった!目開けるから!目開けたらベルに変わってくれ!頼む!」
理性を保つのがヤバいから!
「いいのー」
目を開くとケルがとっても良い笑顔でこっちを見ていた。少し膨らんだ胸の辺りは例の謎光線で隠れているので見えてはいない。見えてないぞ!
「やっと目を開けたの!」
「もう……勘弁してくれ」
多分今の俺の顔は恥ずかし過ぎて泣きそうな顔になっているに違いない。
「わわっごめんなの!そんな顔しないでなのぉ!」
ケルはそう言い残し、ベルに変わる
「ご、ごめんなさいです!クロトさん大丈夫です?」
ベルに変わった事で直ぐに手を放してくれた
「ありがとう、助かったよベル」
お風呂ってこんなに心休まらない場所だっけ……
「なんかのぼせちゃいそうだから髪洗って出よう」
これ以上風呂に居るのは危険だ。一旦深呼吸して落ち着こう
「お、お願いしますです」
クールダウンの為にもベルをイスに座らせて髪を洗う
「ほら、わしゃわしゃー」
「ほわぁ、なんですかこれぇ気持ちいいですぅ」
ベルが気持ちよさそうな声を上げ、目を細めている
「痒い所は無い?」
「無いですぅ」
テレビで見たヘッドスパ擬きを行いながらベルの髪を洗う
「よーし、こんなものか。じゃあ流すよー」
ベルの頭からお湯を掛けて泡を洗い流す
「クロトさんに見つけてもらえて幸せです!」
髪を洗い終えて最初の一言がこれだった。嬉しい一言だったけどもう俺ものぼせるギリギリだったので風呂場から脱衣所に出る。
「ありがとう、でものぼせそうだから先に出るね」
「僕も出るです」
そして二人で風呂から上がった。




