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魔装少女 起動

(ん?どうしたのだクロトよ?)


 まずいまずいまずい!

(ヴァイス忘れたのか!?こんな所で電波が無いって事は魔物が出てきて、電波妨害範囲に入っちゃってるって事だぞ!?) 警報が鳴るというのはまだ被害の及ぶ範囲ではない所。だが、警報が()()()()という事は既に魔物に襲われる範囲に入ってしまっている事。


「キャーーーー!!!」「うわーーー!!!」「魔物だ!逃げろー!!」

 響き渡る悲鳴や怒号、ガラスの割れるような音も聞こえる。 この世界の災害、魔物が出現した。


「くっそ……モールの中に出たのか……急いで逃げないと!」

 魔物が現れたら普通の人間は逃げるしかない。魔物を倒すことが出来るのは魔法少女しか居ないのだから。

 だが、魔法少女がここにたどり着くまでいったい何分掛かる……


「とにかく、出口に……」

 だが、パニックになった人達が何処で魔物が現れたのか分からず様々な方向へ走っている。下手に逃げると逆に魔物の方へ行ってしまう可能性がある為、俺も何処へ逃げていいか分からない。


「ええい、考えても仕方がない!とりあえず進む!」

 迷っていても逃げ遅れる。進むしかないと考えたが、この考え方は良くなかったとすぐに実感する。


「グギャァァaaa!!」


 進んだ先の壁がいきなり壊れ、魔物が目の前に現れる。

 3mを超える鰐の顔に四本の脚が生えた様な化け物。

(なんだ!コイツは!?これがこの世界を襲う魔物か!)


 ヴァイスは初めて間近でこっちの魔物見たんだったな。だが呑気にヴァイスの感想を聞いてる暇は無い。

 急いで向きを変えて走り出そうとした瞬間、偶然にも見てしまった。

 女の子が一人転んでしまった所を。


「あっ」

 その一言は騒がしい悲鳴の中でも俺の耳に響いていた。死んだと直感した声、終わりを悟った声。


その瞬間、体が動いていた。


「オラァ!こっち向け!」

 俺は無我夢中でその辺の壁にあった消火器を投げていた。小柄な俺でも消火器が投げられたのは火事場の馬鹿力という奴だろう。


「ギャァァァァ!」

 絶対に効いている声ではない。怒っているのだろう、だがこれで良い。


 出来る限り他の人が居ない方へ走った。幸いにも化け物はそれほど速い訳ではなく、俺が全力で走っても追いつかれないくらいで距離を保っている。

 これであの子は助かっただろう。だが、俺は依然ピンチだ。


「早く来てくれよ?魔法少女!」

 魔法少女が来てくれないと俺が終わる。


(クロトよ!どうするのだ?このままではクロトの体力の方が先に尽きてしまうぞ!)

(言われなくても分かってる!だけど走るしかないんだよ!)

 奴から逃げるには魔法少女が来るまで耐えるしかない、そう思ったとき鰐頭の魔物が急に立ち止まった。


「なんだ?疲れたのか?こっちも疲れたけど止まる訳には行かないんだ!」

 魔物が疲れるなんて事があるのか分からないけど間違いなく何かするつもりだ。距離を取って間違いは無い筈だ。


 鰐頭がその顎を開く。そして高速で何かが飛んでくる。()()

 そして、鰐頭の舌が俺の脇腹を貫く。


「カッハァ……!」

 痛くて言葉が出なかった。痛い痛い熱い痛い

(クロトォ!クロトォ!)

 ヴァイスの声が頭の中で響いている。


 脇腹を貫かれ、口からも血が出てきている俺を追い詰める様に鰐頭がゆっくり歩いてくる。

 周りには誰も居ない。良かった、俺以外は逃げられた様だ。

(馬鹿者!お前が生きて帰らずどうするのだ!)


 分かってる、だけどもう足が動かないんだ。呼吸は乱れて血もかなり失った。正直立ってるのもキツい。

 そんな俺の様子を見て、鰐頭はまるでサッカーでもする様に舌で俺を何度も弾き飛ばした。


 身体から骨が折れる音が何度も聞こえる。そう、魔物に襲われたら助からないとは即殺されるかこうして弄ばれて最後にはバラバラになるからだ。


(もう見てられん!すまぬが守らせてもらう!)

 ヴァイスが約束を破って俺から出てくる。

 ヴァイスとは外出中は絶対に外に出ない事を約束していた。ヴァイスの姿を一般人に見られたらそれこそアウトだと思ったからだ。


「今は周りに人など居らん!我がクロトを守る!」



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