野良猫再び
「本当に良いんですか?」
「良いんです!お客様だからこそ、そうしてあげたいと思った私の行動です。お客様は安く商品を購入出来る。それで良いではありませんか」
罪悪感がドンドン積み重なっていく。
「せめて3万で……」
少しでも罪悪感を薄くしたかったので逆に値上げ交渉する。
「いえ!2万5000です!お客様の為なら更に値下げしても……」
「2万5000で良いです!買います!買いますから!」
これ以上値下げされたら罪悪感が俺を潰してしまう。
「お買い上げありがとうございます!」
そんなつもりは無かったけど店員さんを騙してしまった。これは今後もこの店で何か買わないといけないな……
炊飯器を無事(?)購入して宅配にしようかと思った所でシルエッタが話しかけて来た
(クロト?それ、どうするの?)
周りに人が居るので心の中での会話で答える
(これは、ここで買った物だから後で送ってもらおうかと思ってる)
宅配サービスを利用して自分は手ぶらで買い物を続行しようかと思っていた。
(それ、持つ?)
持つ?シルエッタに炊飯器持たせて俺は手ぶらとかそんなの俺自身が許せんわ。
(シルエッタに持たせるとかそんな事出来る訳ないじゃん!)
(私が持つ、じゃなくて、影に入れる)
影に入れる?……あぁそういえばシルエッタと出会った時、魔石を回収して影から出してたな。そう考えると影めっちゃ便利だな……
(じゃあお願いしようかな。今は周りに人が居るから後で頼むよ)
一旦店から出て人目に付かない所で影に入れよう。店内で影に入れたら監視カメラとかに映った時、荷物を持ってた人間が急に荷物を消したりしたら騒がれる事間違いない。
(一度外に出よう。炊飯器持ったままじゃ他に買い物も出来ない)
店から出て、監視カメラも人目も無い所に行き、シルエッタに頼む。
「じゃあこれ頼むよ」
(はーい)
影から黒い手が伸びて炊飯器の箱を持ったと思ったら影に箱が吸い込まれていった。
「すげぇ……箱消えちゃったよ、別に体が重いとかも無いし」
影に炊飯器が入っているらしいが俺の体が重くなったとかは無い。
「シルエッタは大丈夫?」
(快適空間、こんな箱1つ、何てことない)
シルエッタの言葉を聞く限りだと、影が部屋になっててそこに炊飯器の箱が置かれたみたいだな。
「何とも無いなら戻ってコントローラー買いに行こうか」
コントローラーを買う時は出来る限り炊飯器のコーナーには寄らない様にしよう……
そしてまた店に戻り、エスカレーターで3階に上がる。
ついさっき見た光景だが、炊飯器のコーナーとは真逆の方にホビーのゾーンがあることが幸運だった。
「よし、あの人にバレない様にさっさと買っちゃおう」
(うむ、先程あんなに心に訴えかけていた奴が遊びの道具の場所に居ると知られれば悲しむだろうしな)
細心の注意を払って、だが素早くホビーコーナーに進む。
合体する戦隊ヒーローのロボットやなりきりセットの様な物などを超え、ゲームが置いている所まで進む。
「コントローラーは……あった!」
コントローラーはあったから買って帰ろうと思ったが今、家にあるコントローラーは2つ、俺とヴァイスとシルエッタで遊ぶなら3個あれば良いが、ここにじいちゃんが入る可能性があるので4個になる様に2つ買っておこう。
そしてコントローラーを2つ掴んだ時ヴァイスが声を上げた。
(クロト!クロト!あれを!左を向くんだ!)
左?言われた通りに左を見るとそこにあった物は
【装甲ド・コア Arrange】
今まで再購入にミスって買えなかった物が目の前にある。
迷わず、手に取りパッケージを見た。
「これは、本物!」
パッケージを見て、偽物じゃないと確認して遂に発見した本物
待望のArrangeがようやく遊べる。その事に浮かれつつも他の人に確保されない様にサッとカゴに入れる。
「遂に来たか……」
さっさとコントローラー2台とArrangeを買って両方ともバッグにしまう。
「よし!もうここに用は無いからさっさとクレープ屋に行こう」
逃げる様に家電量販店から退店する。
(クレープ、クレープ)
(Arrange、Arrange)
クレープはもう少しだけど、Arrangeは家に帰るまで待っとけ。




