シルエットメイト
「ご馳走様でした」
「「ご馳走様でした」」
食べ終わって2人とも料理に感謝し、手を合わせる。
「よし、じゃあ片付けちゃうよ」
食べ終わった食器やホットプレートなどを洗う為、台所に持っていく。
「片付け、手伝う」
「我もだ」
二人とも自分が使った食器を持って台所に来る。
「さんきゅー、でも食器洗うくらいだからいいよ、あと冷凍庫にアイスが入ってるから食べな?」
俺が片付けている間にアイスでも食べてゆっくりしているといい。
「うむ、ではありがたく頂くぞ!」
「あいす~」
使ったホットプレートはお湯を入れて汚れを浮かせないとこびりついて取れなくなってしまうから先にお湯を入れ、その間に食器を洗っておく。
「熱いものを食べた後のアイス……良い」
「はむっ、はむっ、はむっ、くぅ~」
シルエッタは頭がキーンとしたようだ。頭痛がする程急いで食べなくても誰も取りはしないのに。
食器を洗い終え、アイスを食べている2人の元へリンゴと包丁を手に戻る。
「美味しい?」
「美味いぞ、このアイスもクロトが作ったのか?」
「そうだよ、材料混ぜて冷やすだけだしね」
「クロト、なんでも作れる、すごい」
「なんでもは作れないけどまぁこの程度なら」
そう言って、8分の1に切ったリンゴはウサギに、4分の1に切ったリンゴは木の葉状にカットした。
「アイスも良いけど焼肉を食べたらリンゴを食べると良いよ」
口臭対策として食べるのが一般的だけど普通にさっぱりして美味しいからね。
「今の、見た?」
「危うく見逃す所だったが、すさまじい速さだったぞ……」
なんだかんだ言っているがリンゴを食べる2人。
「まぁあまり旬の時期では無いけどたまに食べたくなっちゃうんだよねリンゴ」
モールに行けば年中置いてるしね。
シャリっと一口食べる。うん、焼肉の後にはやっぱりリンゴでしょ。
食事は終わったし、食器も洗った。あぁ、アイスを食べた食器は風呂に入った後で洗えば良いか。
「じゃあ俺は風呂入ってくるから2人は好きにしてて良いよ」
「分かった、では我はゲームでもして待っていよう」
「分かった、お風呂、入る」
ちょっと待て
「はいストップ。シルエッタお風呂に入るのは俺だよ?」
「ん?私も、入る」
何言ってるんだこの子は
「じゃあ先に入りなよ」
まったく魔人さんの考えてる事は分かりませんなぁ?
「やだ、クロトと、入りたい」
シルエッタが抱き着いてきた。
だから!今日会ったばっかりだろ?なんでこんなに懐いてるんだ?
「クロトよ、そうなってしまったシルエッタは頑として聞かんぞ?諦めるのだ」
いやいや、ヴァイスさんよ。それを止めないとダメでしょ?あなたの仲間なんだから。
「そうは言っても俺には一緒に入れない理由があるの!」
男女として以前に見せられない物がある。
「理由?」
「俺の背中にデカい傷があるから見せたくないの!」
俺の時間が止まった時の魔物による大きな傷跡がある為、他の人と入浴なんてしたらそれこそ引かれる。
「私は、気にしないよ?」
「俺が気にするの!だからダメ!いう事聞かないなら明日のクレープは無し!」
悪いがこのカードを切らせてもらう。
「むぅ、わかった、諦める」
シルエッタが俺から離れる。
「シルエッタを抑えただと……我にも出来なかった事を」
ヴァイス君?君の仲間だよね?1回くらい止めれないの?
「じゃあ風呂入ってくるから大人しくしててね」
そう言って俺は居間から逃げる様に風呂場へと向かった。
「ヴァイス様」
「どうした?シルエッタよ」
「クロトの、背中の傷、見た事、ある?」
「我も見たことが無い。我にも隠すという事はそれだけ酷い傷なのだろう」
「そうなんだ、私だけ、仲間外れ、かと思ってた」
「酷い傷を見せたら我々が気分を害すると思っているのだろう。本当に優しい奴だ」
「クロト、一人で、抱えてる?」
「あまり探ってやるな、いつかクロトから打ち明けてくれるまで待ってやろうではないか」
「わかった、クロト、待つ」
これで良いのだ。クロトが我々を心配して傷を見せない様に振舞っているのだから我々は詮索しない事がクロトの為になるのだ。
「シルエッタよ、クロトを待つ間我とゲームでもしないか?」
「ゲーム?ガイドブックに、書いてた、アレ?」
「そうだ、一緒にやってみないか?」
クロトと二人でゲームするのも良いが、シルエッタを仲間外れにするのは良くない。
「やって、みたい」
「よし、その言葉待っておったぞ!」
シルエッタも寂しかったのだろう。だから出会ってすぐとはいえ、我と仲が良く優しいクロトにあそこまで懐いたのだろう。
「ではゲームスタートじゃ!」
ならクロトが遊んでいるゲームに引き込んでやるのも我の務めよ