魔刀ルーゼ
「今日は買い物に行くか」
食材だ、家具だと色々無くなっているから買いに行こう
「あぁそうだ。クロト」
「ん?どうしたルーゼ?」
ご飯を食べ終わった後、片付けをしている最中にルーゼに話しかけられた
「朝は済まなかった。だが、クロトに包まれたお陰か私の中で温かいモノを感じた」
「お、おう……」
改めてお礼を言われると照れる
「それで……今ここでやっても良いか?」
「何を?」
やっても良いと言われても何をやるのか良く分からない
「とりあえずやるぞ?変身!」
「えぇ!?」
ルーゼが変身と唱えると刀身が紅色の妖しくも美しい刀となり、床に刺さった
「おぉい!床に刺さったらダメだろ!?」
(あ、すまない……だが鞘が無くてこのまま床に転がるのもあれかと思って……)
左様ですか……
「とりあえず抜いてみるか」
(よし、良いぞ!)
両手でしっかり柄を持ち、床から引き抜く
「うぉ、結構重いな……」
(お、重いとか言うなっ!?)
クロガネの時なら普通に持てるだろうけど今の俺には若干重く感じる。んー刀って結構重いって聞くし、やっぱ俺でも持てるって考えるとまだ軽い方なのかな?本物の刀とか持った事無いから分からないや
「ごめんごめん、とりあえず危ないから元に戻ってくれる?」
(分かった)
刀から元のルーゼの姿に戻ると俺の手の中にルーゼが居た。ルーゼの脇腹を掴んだ状態で向かい合っている
「そうなるのか……」
「これはちょっと予想外だったな……」
「「んー」」
お互いに思案しながらルーゼの刀について考える
「何をしているのだ?買い物に行くのでは無かったのか?」
ヴァイスがやってきた。丁度良い、相談してみよう
「ヴァイス、ちょっと見てて?」
「む?」
ヴァイスの目の前の床にルーゼ(刀)が突き刺さる
「うおっ!?」
(済まない、まだ場所が調整できなくてな?)
「あぁそうだ。ヴァイス?後で床に開いちゃった穴直してくれる?」
「それは構わないが……これはいったい……」
ルーゼ(刀)を色んな方向から見ながらほぉ、とかはぁ、とか唸っている
「買い物、行くんじゃ、ないの?あれ?」
「さっきからどうしたのー?」
「あれ?ルーゼさんの気配は感じますが……」
「刀とは物騒じゃのぅ?むむ?」
皆もやって来て刀を見て唸っている
(私の新しい力……とでもいう所だろうか?)
「ルーゼ?」
(そうだ!私だ!)
「おぉ!凄い綺麗な刀になってしまったのぅ?」
「はぇ~すっごい……」
「これがルーゼなの?凄いの!」
皆が刀を褒めるという不思議な光景が今目の前に広がっている
「今ルーゼに鞘が無いから抜き身の状態なんだけどこのままだと危ないかなって」
「ルーゼ、そのまま、動ける?」
シルエッタがそんな事を聞いているけど流石に動ける訳が無いだろう……
(こうか?)
ふわぁっと刀が空中に浮かび上がった
「マジ?」
(何か出来てしまったぞ!)
「危ない危ない!」
切っ先がこっちを向いて楽しそうに話しかけてきた。超あぶねぇ
(すまない……だがこれなら鞘が無くても床を傷付けずに済む)
確かに、刀に変身した瞬間に宙に浮けば問題無いな
「床に刺さるのはこれで問題無いか……まぁルーゼが刀になる時とか戦闘中だろうし鞘は気にしなくても良いか」
普通にルーゼが俺の中で刀になってから出せば問題無いか。今更だけどルーゼの刀形態をどうしようかと悩んでいたけどクロガネ形態でしか使わないと気が付いた
「あ、ルーゼ。その状態で握られたり触られたりって感覚どうなるの?」
(特に何も感じないぞ?)
なるほど……武器になると感覚は無くなるのか。まあ感覚があると斬った時とか大変か
「ちょっとごめんよ?」
ルーゼの刀身を指で弾く
キーンと金属音が響く。良い音だ
「何か感じた?」
(いや、指で弾いたのは見えたが弾かれた感覚は無かった)
ふむふむ、視界はあるんだ
「不思議だけど今に始まった事じゃ無いし、とりあえず買い物に行こうか。検証はまた今度やろうか」
ここでルーゼの検証もやっていきたいけど買い物はしないとご飯も何もないからな