向こうの世界
「「これは美味い!」」
おぉ好評な様で何より
「お口に合ったみたいで良かったです」
「これは、これはどうやって作ったんですか!?」
ウィゲルさんが凄い勢いで聞いてきた。そんなに知りたいのか
「あはは、作り方のメモ渡しますね」
出来るだけ簡単に、分かりやすくメモに纏めた
「あ、そういえば日本語で書いたけど読めるかな?」
書いてから思ったけど日本語読めるんだろうか?そういえばさっきヴァイスが出されていた紙に書かれていた文字、俺は読めなかったな……やっぱ世界が違うと文字も違うんだなぁ
「ん?あぁ少し待ってくれ。翻訳するからもう少し魔力を貰うぞ?」
なるほど、ゲートの魔法に制限を掛けてウィンドウって魔法にしてたんだっけ?それを緩和すると色々出来るようになるのか。で、魔力を持っていかれると……また結構持っていくなぁ?
「オッケー。とりあえずメモは読める状態になったみたいだしこれをどうぞ」
メモを穴に投げ入れる
「おぉ、おぉ!」
アワアワと空中を漂うメモを取ろうとウィゲルさんはその辺りを走り回っていた
「ふむふむ、このバニラエッセンスという物は手に入らなそうですが他の物はかなり簡単な材料だったのですね。これでこの味が作れるとは……」
「匂い付け用の物ですから別の物で代用すると良いかもしれません。そちらの世界の食材とかは分からないのでそちらで似た様な物があるかもですね。こちらではバニラの花の豆を発酵と乾燥を繰り返した物をアルコール……えーっと酒精?に溶かすと作れるはず?です」
急いでスマホでバニラエッセンスの情報を探してバニラの花の画像を見せる
「なるほど……こちらであるかどうか探してみます。貴重な情報をありがとうございます!」
俺もバニラエッセンスの作り方がこんな感じなのかと今初めて知った所だ
「どうでしょう、そちらの魔力の余裕がある時で構いません。またこのバニラアイスをいただけませんか?」
「良いですよ?とりあえず今後は多めに作る様にしておきます」
「ありがとうございます。これは我々も早く世界をもっと楽に越える方法を見つけなければなりませんね?」
「簡単で美味しい。きっとこれだけでは無いのでしょう?そんなの見たくなるに決まっています!」
向こうの魔王さんサイドがやる気になってる……
「とりあえず今日の所はこのくらいで終わりにしたいと思います」
「とても美味しい物をありがとう。あ、皿をお返しします」
魔力で空になった皿を穴に動かすとこっちにお皿が返って来た
「今度こそさらばだ。元気でやるのだぞ!」
「ええ!言われなくても頑張りますよ!」
こっちに手を振る2人にこちら側の全員も手を振りながら穴を閉じた
「凄いお方だ……よし!至急バニラの花が無いか探してみよう!」
「ええ、味は今すぐにでも出せそうですがあの甘い香りは中々ありませんからね……もし見つからなかったら今度穴が開いた時に現物を一度貰えないか相談してみましょう」
「案外今度穴が開いた時には既に現物を持ってきてくれるかもしれないぞ?」
「何だかそれもあの方だとあり得そうですね……」
「とにかく探すだけ探してみよう。上手く見つければ我々で完璧なバニラアイスを作って皆に披露する事が出来るぞ!」
「我々の新しい特産品になるかもしれないとなると探さなければいけませんね」
「あのお方のお陰で私達にも新しい風が来そうだ……」
一方デルヴァンとウィゲルから謎の信頼を勝ち取っているクロトはというと……
「とりあえず向こうで見つからない可能性も高いだろうしバニラエッセンスは買っておくか……あ、通販でバニラビーンズも注文しておこう」
2人の思惑通りというかバニラエッセンスとバニラビーンズを注文している玄斗だった