復旧
「ふぅ、結構直せました!」「お昼ご飯出来てるよー」
戻って来たアルタイルにお昼ご飯を手渡す
「大分頑張って来たみたいだね?お疲れ様。他の皆はあっちの方でお昼食べてるよ?」
先に帰って来ていた皆も1つのテーブルに纏まって食べていたからそっちの方にアルタイルを誘導する
「遊馬さんも一緒にどうですか?」
「俺は遠慮しておくよ。まだ食べてない人も居るから離れる訳にはいかないんだよね……」
「そうですか……分かりました!遊馬さんも頑張ってください!」
「はいよー」
今は皆魔法少女の姿だから一応線引きはしておく。会話はしていたけどアルタイルの後ろに並んでいる人達も居るからこの場を離れるのは俺の責任感が許さない
「お待たせしました。どうぞ」
「かぁ!朝も食べたけど飯が美味い!」
「女の子の手料理!これを喜ばない男が居ようか!」
「疲れた体に染み渡る……」
うーん、勘違いしてる人居るけど訂正した方が良いのかね?
「あはは……まぁ喜んでいただけてなにより……」
俺は口を塞ぐことにした。これで仕事の効率が上がるなら皆ハッピーだしな!
(そういう所で勘違いが進んでいく気がするんだがなぁ?)
(どうせ今だけの関係性だし、いちいち訂正するのも面倒だからさ?)
(うーむ……一理ある……か?)
まだご飯を受け取りに来る人は居るので手は止めない。さっさと終わらせて俺もご飯を済ませたい所だ
実は料理が出来た序盤の方でこっそり家の皆は制服姿になって食べていたのでご飯が食べれていないのは俺だけだ。ずるい
「ふぅ……やっと終わった。俺も飯食べよ」
残った食材を集めて自分用の賄い飯を作って食べる。美味い
(美味しそう、一口、ちょうだい)
(妾も一口欲しいのじゃ!)
(私も一口欲しいの!)
(美味しそうですねぇ……?)
(こらこら、やめんか)
(そうだぞ?私達は既に食べさせてもらったではないか。これを私達が食べてしまったらクロトが食べる分が無くなってしまうぞ?)
おぉ、まさかこの2人がまともな事を言ってくれるとは!魔王コンビやるじゃん……
(それは……クロト、ごめん)
(流石に、わがままが過ぎたのじゃ……)
(ごめんなさいなの……)
(流石に欲張り過ぎましたね……ごめんなさい)
(まぁそこまで気にすんな。ただ流石に俺の分が無くなるからこれは勘弁してくれ)
これ食べられちゃったら晩御飯まで持たないかも……あの頃に比べたら弱くなった……のかな?
「とにかくこれ食べて皆の晩御飯分も作らないとな」
何気に大量の料理を作るって結構体力が要る。俺しかやってない事に文句を言いたい所だったけど他の人も色々頑張っているから思っているだけで誰かに文句を言う事はしない
「こんだけ復旧用に人材を用意してくれたじいちゃんだけどどうせ「飯は食材だけ用意しとけば玄斗が何とかやってくれんだろ」みたいな感じでご飯関連は俺に丸投げするつもりだったんだろうなぁ……」
じゃなきゃ普通は炊事班とかある筈だろ
「まぁ俺らの家が直っても全復旧するまではここで料理を作り続けるんだろうなぁ……」
俺の家が直ったから帰りますって今の俺にはもう言えない。今ここで働いている皆の胃袋を支えているのは俺だ。俺が居なくなると誰が料理をするのか?俺が居なくなった場合そこに割かれる人員は?そう考えると俺がここでの仕事を投げ出すつもりは既に無かった
遅めのお昼ご飯を食べて一旦神名さんが居るテントに向かう
「神名さん」
「お疲れ様玄斗君。お昼美味しかったわ」
「どうも、復旧状況とかどのくらいか分かります?」
「今は大体60%って所かしら」
テントの奥から端末を持った梓さんが出てきた
「結構進んでますね?」
「この調子なら明日か明後日には終わりそうよ?玄斗君が協力してくれるお陰で街の復旧も早いわ」
「俺はご飯作ってるだけですから。俺じゃなくて実際に街を修復してる彼女達を褒めてあげてください」
「そういえば聞いた話によると玄斗君かなり人気らしいよ?女の子の凄く美味しい手作り料理が食べられる!あの子の為に頑張れる!とか何とか……うりうり~人気者~」
「分かる」
いや、分かるじゃないんだが?




