激突
「もう良いか……じゃあな?」
突き刺した右腕の影の刃は遂に体の外にまで飛び出す。グリングリンと刃が回転して相手の体を肉片へと変えていく
(おぅ、残虐ぅ……)
(これは……人には見せられんな?)
やっぱりヴァイスもこの技は残虐だと思っているみたいだ。ん?人には見せられない……?
(あわわわわ……秘密を喋るとこうなってしまうのか……?絶対に喋らないようにするからどうか消さないでくれ……!)
やっちまった……そういえば来客が居たの忘れてた
まぁその事は置いておいて……
(コレは燃やしておくか。エリュアス?頼めるか?)
(うむ、コレは燃やしてしまって後顧の憂いを断つとするのじゃ)
ベールゼイドの為にもこいつ等の存在は無い方が良い。だからバラバラになった肉片は欠片も残さず焼き尽くした
まぁそんな事すればもちろん
(あわわわわ……ここまでするのか?こんなにも圧倒的なのか?)
怯えるギン。もうこっから俺の秘密が漏れるって考える方がバカらしいかもしれない
「これで終わり、かな」
あの4人は既にもう形すらない。残っているのはこの城だけ
「そうだ!アイツはどうなった?」
影に収容していたベールゼイドを出してみる
「よし、傷はしっかり塞がってるな?」
服装は貫かれたせいでちょっと大胆な服装になってるけどまぁ大事な部分は隠れているから大丈夫
「ん……んん……んあ?」
どうやら気がついた様で目が覚めるベールゼイド
「あれ?余は死んだのか?」
「死んでねーよ。せっかく助けてやったのに勝手に死ぬな」
一応心配だったから膝枕状態だがこれはそのまま地面に出した方が良かったかね?
「では何故このような状況なのだ?」
「あぁ悪い。お前の部下4人全員消しちゃったからその詫び?」
「は?4人全員消した?」
「悪いな、なんかお前が裏切られたの見てたらムカついてアイツらぶっ殺してた」
うん、言葉にすると情緒不安定のやべー奴としか思えんな?
「そうか、もう皆居ないのだな……」
やっぱり自分の手で報復とかしたかったのかな……
「配下の者に裏切られ、死に掛けている間にその配下の者は処されて、処した相手に救われて……魔王としては失格だな」
「まぁ失格かどうかと言われれば纏める者としては失格かもな?」
辛辣かもしれないけど事実だ
「そうだな、余は……ううん、私はもう魔王じゃない」
どうやら他の奴らが死んだ事で纏めるべき存在も居なくなったので自分で魔王では無くなったという事かな?
「なんか吹っ切れたみたいだな?」
もう魔王じゃないと言っていた表情は凄く良い笑顔だったからそう言ってみたけど……
「分かるか?正直もう魔王なんてやりたくなかったんだ。あの者達は最高戦力と言っても過言では無い者達だったから仕返しに来る者……いやそもそも世界を越えてこれる者がそもそも居らんか」
「で、どうすんだ?」
「どう、とは?」
「いや、王冠はぶっ壊れたみたいだけど魔力があれば帰れるんだろう?」
「嫌だ!私は帰らないぞ!」
魔王辞める宣言してから何か子供っぽくなった気がする。帰りたくないなら仕方が無いか
「で、この城はどうしたら良いんだ?さっさと撤去してもらいたいんだけど?」
「あぁこの城はこちらに転移してきた物だからな。撤去するなら物理的に撤去するしかないぞ?」
嘘だろ……面倒この上ないんだが?
「それより私の処遇はどうなる?」
「どうなるって……好きに生きたら良いんじゃないか?」
「何を言っている。さっきプロポーズしたばかりでは無いか!」
「んんん??待て待て待て、プロポーズなんてした覚え無いぞ!?」
「さっき俺のモノになれと言ってくれたではないか」
頬を押さえてくねくねするんじゃない。ほら、一度戻ったはずの影クロガネが急に俺の背後に出てきた。これ絶対シルエッタだろ
(勘違い、訂正、急いで)
はい、直ちに訂正します
勘違いを放置することを許さないシルエッタからの圧を感じて直ちに訂正した