恩返し
「だ、大丈夫か?」「ど、どうしたんです?」「気分でも悪くなりましたか?」「何があったんじゃ?」
俺の様子をみて皆心配してくる
「プレゼント、嬉しく、無かった?」
シルエッタまで涙目になってる……これはヤバいぞ。ジーンとしてるヒマは無い
「違う違う!嬉しかったから泣いちゃったんだよ!皆ありがとうね!」
皆の表情がパァっと明るくなる。シルエッタも嬉しそうに笑ってくれた
「ごめんね?紛らわしくて?」
「いやいや、感動したという事なのだろう?それだけ喜んでもらえれば我等も嬉しいぞ!」
「開けてみて」
「そうじゃ!まだ中身を見ておらんじゃろぅ?」
そういえば皆がお小遣いを使って俺にプレゼントを買ってくれたって事が嬉しくて中身はまだ見てなかった
「じゃあちょっと開けさせてもらうね?」
ラッピングが破れない様に慎重に開ける。勢いよくビリビリと開けるのは余り好きじゃない
「これは……包丁セットか!」
「これからも、料理、頑張って、欲しい」
「これでクロトの料理ももっと美味しくなるのじゃ!」
「包丁以外にも色々入っていて良さそうだったので皆でお小遣いを合わせて買っちゃいました」
「今日の外食より明日のクロトの料理だ!」
「流石にそれは直球過ぎな気がするです……」
ベルがヴァイスの言葉を直球だと言うがそれで良いと思ってる
「こんな嬉しいプレゼント貰ったら頑張るしかないな!」
チョロいのは分かってる。でも皆が俺にプレゼントをくれるとか嬉し過ぎて頑張るしかないじゃん?
「それで良いんです……?」
「良いんだよ。皆が話し合って決めたんだろ?なら俺は文句はないし、皆の為にも料理を頑張るだけだよ!」
やっぱプレゼントって嬉しいなぁ
「よし!皆帰ろう!」
「「「「「え?」」」」」
「ん?」
「遊ぶんじゃ、ないの?」
「皆お小遣い使っちゃったんでしょ?それなのに俺だけ遊ぶなら家に帰って皆に貰ったコレを使って何か作りたい気分だ!」
何を作ろうか、迷うなぁ!
「待て待て、先程食べたばかりだから少しは時間を置いた方が良い。やはりクロトは少し遊んできてくれ」
「え……」
「私達、見てるだけでも、良い」
「いや、それは俺が良くない!」
そんな状況で俺が楽しめる訳がないんだよなぁ……
「それじゃあまた皆でホッケーとかするかぁ!」
「おぉあれか!あれは面白い物だったな!」
「あれなら、皆で、遊べる」
「ホッケーですか……この場合はエアホッケーですかね?」
「そうです!あれは凄いです!白熱するです!」
「クロトは良いのか?妾達はもうお金はないのじゃぞ?」
またそんな心配してる……
「俺は皆と遊べるのが良いんだよ。あ~ホッケーは1人じゃ遊べないんだよなぁ……何処かに一緒にホッケーで遊んでくれる人居ないかなぁ?」
めちゃくちゃわざとらしい俺の一緒に遊ぼうのサインに皆も流石に気が付く
「しょうがないのぅ?妾が一緒に遊んであげるのじゃ!皆も一緒にクロトと遊んであげるのじゃ!」
「仕方が無い。我等の腹が減るまで付き合ってやるとしよう!」
「そ、そうです!一人じゃ遊べないなら付き合ってあげるです!」
「後悔する程遊んであげましょう……私に掛かればやった事のないエアホッケーでも勝てない事は無い!」
「素直じゃ、無い。でも、遊ぶ」
俺の回りくどいやり方でも皆が乗ってくれる。これ乗ってもらえなかったら俺は本当にただただ悲しいだけの奴になってしまうけど皆を信頼しているからこそこんな回りくどい言い方で皆を誘うのだ
「おし、じゃあチーム分けをしてやってみますか!」
6人居るので2人組を作って3組でリーグ戦したり、3人で1つのマレットを回しながら打ち合う無謀な挑戦をしたりして結構な時間遊んでいた。そして
「結構な時間遊んだなぁ。皆おつかれ」
「うむ、白熱したぞ!」
「途中、人、いっぱいで、びっくり」
「あの横の壁うにょうにょするとか聞いて無いですよ!?」
「面白かったのじゃ!」
俺達がエアホッケーで遊んでいた所を見た他の人達が面白そうと思ったのか結構な人がエアホッケーに並んだりしてリーグ戦が一時中断する場面もあったが夜まで皆で遊んでお腹も減ったので帰る事にした