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プロローグ③

 涙もろい魔王様を宥めた所でまたスマホに通知が入る。


「魔物は無事討伐されました。避難警報を解除します。」

 おっ?もう終わったのか。


「ほらね?警報が鳴ったって特に何ともなかったでしょ?」


「うむ……だが何故警報が鳴ったのにも関わらずその様に落ち着いてられるのだ?」


 あぁそっか……魔王様は異世界から来たから知らないのか。

「魔王様は来たばっかりだから分からないかも知れないけど、魔物が現れるとその周りの電波が妨害(ジャミング)」されちゃうらしくてこの機械(スマホ)とか使えなくなるんだよね。」


「ふむ、だがクロトのスマホ?とやらは警報が鳴った様だが?何か特別な物なのか?」


「いや、一般的な物だよ。それがこの警報が鳴ったのに気にしなくても良いって事と関わりがあるんだけどね。俺のスマホに警報が鳴るって事はそれだけ電波妨害範囲狭いって事。さっき警報で流れてた駅前公園とは大体1kmくらい離れてるんだけど妨害範囲がここまで届いてないって事はそこまで強くないだろうし、アルタイルならそれこそ1撃で倒したんじゃないかな?」


「な、なるほど……ガイドブックには魔物の情報も魔法少女の情報も載ってはいなかったが、力を持った少女達が今この世界を守っているのだな。」


「えぇ……そのガイドブックにもガイドする気があるのか気になるところだけどまぁ少女達が世界を守ってるってのは当たり。世界の平和を維持してるのは軍でも兵器でも無く魔法少女ってのが今の常識なんだ。」


 悲しい事だけど魔法を持たない普通の人間には彼女達の戦いを見ている事しか出来ない。何も出来ない歯痒さを感じながらもう10年は経った。 本当に嫌になる常識だ。


「うむむ……魔物はこの世界を壊す存在、そして魔法少女は魔物を倒し平和を維持する存在、それは分かったが我はどうなるのだ?魔物と見做されてしまうのか?」


 そうか、この魔王様も異世界からやってきた(漂流)存在だし、討伐対象になってしまうのか?味噌汁飲んで生き返るとか言ってたのに?それはまた魔法少女の常識とは別の悲しさがある。


「そうなるかもね……やっぱり仲間探しは今は動くべきでは無いかもしれないな、確実に魔法少女に狩られる。きっと優秀な魔王様の仲間達は隠れる事を選ぶと思う。」


「わ、分かった、クロトは我を守る為に今は探しに行くなとそういう事なのだな?」


「そうだね、家は俺一人しか居ないし、部屋も余ってるから一人くらい増えても気にならないさ。」


「一人なのか?親などは居ないのか?」


「両親は魔物に殺されたさ。」


「す、すまん……考えなしに聞いてしまった、許してくれ。」


「気にしちゃいないさ、まぁあんまり聞かないでもらえると助かる。」

 あんな奴らの事なんて


「うむ……肝に銘じておく。」


 いきなり辛気臭い会話になってしまい、この空気に耐えられなくなり話題を変えてみる。


「そういえば魔王様って魔法は使えるの?」


 しょんぼりしていた魔王様もこの空気が耐えられなかったのだろう。ハッと顔を上げ


「おぉ!使えるぞ!ただこの世界に来た時にいくつか使えなくなってしまったがな……」

 最初は威勢が良かったのにいくつか使えなくなったと言った辺りでまたしょんぼりしてしまった。

 これはかなり使えなくなったんだろうなぁ……


「じゃあ何か魔法見せてくれない?」


「おぉ!いいぞいいぞ!では何を……」「ピーンポーン」

 家のチャイムが鳴る。

 魔物が倒されたであろう時間、そしてお昼時、家のチャイムを鳴らす人物に検討が付く。そして気付く今が絶体絶命の瞬間であると。


「魔王様何でも良いから隠れる魔法使って!早く!」


「ふむ?何故そんなに焦っているのだ?」


「今家のチャイムを鳴らしてるの多分魔法少女。」

 そう、お昼ご飯を食べていないであろう彼女が。


「ファ!?すぐ隠れる!」

 瞬間的に魔王様の姿が消える。

 とりあえず魔王様がどこに隠れたか確認してる暇は無い。早く玄関のドアを開けなければ。


 ガチャっとドアを開けるとそこに居たのは先程まで戦っていたであろう魔法少女アルタイルの変身していない姿の鷲崎蒼音(ワシザキアオネ)が立っていた。

「遊馬さんこんにちは!魔物倒してきてお腹減ったので何か作って下さい!」

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