接触
さっきから俺達の周りに人が寄り付かない。というか避けられているように見えるが別段怪しまれるような表情と言うよりは認知出来ていない?
「なんだ?ただの認識阻害だぞ?そこまで不思議がる必要もなかろう」
隠そうともしないのやめません?
「とりあえずさっき別れた仲間の所に戻りますんで」
「よかろう」
(ディール、ちょっと面倒な奴を連れていく事になるかもしれない)
(そうですか……こっちもちょっと面倒な輩に絡まれている最中です)
うわっ、早速?
格ゲーの台の所に戻るとディーがあからさまにガラの悪そうな男と格ゲーで対戦している。と言っても
「んだよ!全然言う事聞かねぇじゃねぇか!面倒くせぇな!」
「……」
無言でプレイしているディール。相手するのも嫌という感じだ
「ディール、ジュース飲むかい?」
「あ、クロトさん!助かりましたよ!」
俺がジュースを手に持ってディールに話しかけると嫌そうな顔からパァっと表情が明るくなる
「あ?人避け使ってんのに入ってくるってお前魔力持ちか?」
「あれがアンタの探し人の一人だろ?どうにかしろ」
「ふぅ、そこの者すまないな?迷惑を掛けた」
「ええ、迷惑を掛けられました。どうにかして下さい」
「帰るぞジアン」
「あぁ?指図すんじゃ……」
「迷惑を掛けては計画に影響が出る」
「……ちっ覚えてろよ!」
そう言ってジアンと呼ばれた男は何処かに吸い込まれるように消えて行った
「さぁ次だ」
「あの……この人は?」
「知らない人。ただこのままだと皆に迷惑が掛かるから人探しを手伝ってる」
「……分かりました」
俺の目を見て厄介事だと理解してくれたのかディールは文句を言わずに格ゲー台から離れ、俺達に付いてきた
ディールの所に来たという事は他の探し人も皆の所に居るだろう
(シルエッタ、今どこに居る?)
(クレーンゲームの、所、変な、奴に、絡まれてる)
(オッケーすぐ行くから)
そして迷わずクレーンゲームの所に行くと……
「ぐへへ、どうじゃ?これやるぞ?」
「要らない、どっか、行って」
手にいっぱいの人形やらお菓子やらを持った胡散臭い爺さんがシルエッタに言い寄っていた。周りには中身が空っぽになったクレーンゲーム機がある……こいつやったな?
「ほれほれ、それが欲しいんじゃろ?ちょちょいのちょいじゃ」
シルエッタがプレイしていたクレーンゲームの中の景品が浮き上がり、受け取り口に移動して落ちてくる。そしてシルエッタが別のクレーンゲームに移動するという好かれたいならまるで逆な行動を見せられては流石にシルエッタが可哀想ですぐに駆け寄る
「その辺にしといてもらえるかな?お爺さん」
「ん?何じゃ……今儂は……ほう?お主も中々良い魔力を持っておるな?どうじゃ?儂の物にならんか?」
「この人、嫌い」
俺の姿を見かけるとシルエッタがすぐに駆け寄って来て俺の腰元にしがみ付いてきた
「やめんかリトゥーよ一度帰るぞ」
「……まぁ良いじゃろう仕方が無いが出直すとしよう」
リトゥーと呼ばれた爺さんもまた何処かに消えて行った。あの爺さんとはもうシルエッタとは会わせたくないな……
「ごめんな?大丈夫だったか?」
「正直、怖かった」
とりあえずシルエッタの頭を撫でたりしてまずは落ち着かせる事に努めた
「慕われているのだな」
「そんなもんか?そこそこ長く付き合ってればこれくらい信頼関係出来ると思うが?」
俺としては数ヶ月も一緒に暮らしていれば信頼関係なんて産まれると思うんだが……
「そんな事よりあと2人か?」
「あぁ」
「この人、誰?」
「人探ししてるらしいです」
「ふーん」
嫌な思いをしたせいか余り良い印象は無い様だ
次はエリュアスの方に行ってみるか
(エリュアス?大丈夫?)
(おおぅ良いタイミングで!ちょっと助けて欲しいのじゃ!変な奴がのぅ?)
やっぱり絡まれてんのか……助けに行かないとな