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野良猫デュエット

 もう死んだと思ったら天国に居た。


 柔らかい太ももの上で頭を撫でられる、しかも美少女に。


 やっぱり死んだんだろう。じゃなきゃこの状況はおかしい。


「おっ?目が覚めた?」

 美少女が声を掛けてくる、そして頭を撫でる手が止まる。


「あっ」

 つい、気持ちよくてやめてほしくなかった。


「頭撫でるの嫌だったよね、ごめんね」

 そうじゃないむしろ続けてくださいお願いします。


「続けて」

 はっ私としたことが口に出ていた。


「ふふっそうか、分かったよ」

 なでなで延長に感謝せざるおえない。


「ところで」

 美少女が話しかけてくる。


「降参する?」

 降参?いったい何の話だろう?


「降参するならなでなで続けてあげるよ?」


「降参します」

 即答


「そういえばマーシャルは?」

 そうだ、私の大事な仲間は何処だ?


「君の頭の上」

 フッと視線を上に動かすと美少女のもう片方の太ももの上で幸せそうな表情のマーシャルが居た。


「ここが楽園(エデン)だ」

 マーシャルが呟いていた。同感です。


「そういえばあなたは誰?」

 この天使はいったい誰なんだ?


「あれ?気付かない?」


 こんな可愛い天使一度見たら忘れるハズがない。


「俺クロガネ」


 私は悪魔の膝の上に居た。


 先程まで、仲間にする為戦っていた相手。マーシャルのほぼ全力の攻撃も耐え抜き、私達を絶望に追い込んだ悪魔。


「えっなんで?」

 目の前に居るのは私達より遥かに強い悪魔で頭なでなでしてくれる天使で……頭が混乱してきた。


「いやぁ、ちょっと悪い事しちゃったからそのお詫び?」

 天使ポイント+100点


「それならもっとなでなでして!」

 もう考えたくない。なでなでが欲しい。


「分かった分かったマーシャルさんもなでなで追加だ」

 マーシャルは太ももの感触であんな幸せフェイスでいたのか。意識のある状態でなでなでされたらもうダメだろう。


「あぁ~頭がバカになっていくのが分かる」

 マーシャルはもう手遅れだ。


 そして、約30分程でなでなでタイムが終わってしまった。この世の終わりだ。

「はい、おしまい。そろそろ疲れたし帰るよ。」


 待って、行かないであと5時間はなでなでして欲しい。


「待って、ホントに私達と仲間になるのは嫌?」

 なでなでで頭がやられていたが当初の目的を思い出し、聞く。


「さっき降参するって言ったよね?俺は仲間にならないよ」

 そこまで言われて降参した方が負けというルールを思い出した。


「どこかに属するって苦手なんだよね。仲間にはなれないけど戦場で会ったら手助けくらいならしてあげるよ」


 あぁクロガネとの繋がりは切れた訳じゃないんだ。


「戦場で会ったらなでなでして!」


「戦場で会うときはこの手じゃないよ」

 そういえば私達と戦っていた時の腕と違う。あんなに大きかったクロガネの腕が今は私達と同じくらいだ。


「だったら戦闘が終わったらなでなで!」

「私も頼む!」


 マーシャルも乗ってくる。このなでなでは他の人に譲れないそんな魔力がある気がする。


「まぁ戦闘終わりだったら……あ、でも支部の子達に見られたくないし、この森でだったら良いかな?」

 天使ポイント+2億点


「約束ですよ」「これは最早契約と言っても過言ではない」

 悪魔との契約、正しくそうかもしれない。


「分かった分かった、出来る限り魔物が出たら俺も手助けに向かうし、支部の子達も頑張ってると思うけど君らも頑張るなら政府には出せない報酬って思えばいいよ。」

 給料貰うより何億倍も価値が有る。


「ま、お互い野良だけど頑張ろうよ?」

 そう言ってクロガネが私達に手を伸ばし、立ち上がる手助けをする。


「怪我はしてないよな?」

 此方が怪我してないか心配してくる。天使ポイン(ry


「あぁ」「していない」


「じゃ、帰ってゆっくり寝ろよ?じゃあな!武装展開(アームド)!」

 クロガネは先程戦っていた時の恰好に戻り、跳んで行ってしまった。


「あれが天使か……」

 マーシャルが呟く。


「いや、悪魔だろう」

 だってそうだろう


「何故?あんなに可愛いのに?」


「あのなでなでの為なら私は魂を売ってもいい」


「確かに」


 マーシャルも理解した様だ。


 その後、私達はそれぞれの家に向かう為歩き始めた。


「魔物は倒す絶対に、そして……」

 私達の意思は固い。


「「クロガネになでなでしてもらう!」」


 野良猫同盟の新たな目標が出来た瞬間であった。



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