タクティカル・ナイト
「さぁ始めるぞ?今日はクッキーを作るけど何か要望はあるかい?」
普通なら時間が掛かる物だけどここにはエリュアスが居る。オーブン?必要無いね!
材料は用意してある。その気になれば数百枚は作れそうだな?
「チョコクッキーが食べたいのじゃ!」
「抹茶クッキーだな」
「えーと、ラングシャド?サクサク、したの、食べたい」
「ラングドシャかオッケー」
テレビか何かで見たのかな?オサレなクッキーを選ぶなぁ?
「ココアクッキーが食べたいの!」
「ベーシックにバタークッキーが食べたいですね?」
皆バラバラだなぁ?
「よっしゃ!やるぞぉ」
材料をテキパキと用意していく。明日は卵買ってきた方が良いかもな……薄力粉はすぐに買わなくてもまぁ困る事は無いかな?
「まぁ生地はラングドシャ以外は大体一緒でなんとかなりそうだな」
味を付ける為に生地に混ぜ込むのは何とか出来そうだけどラングドシャは若干違うのである程度は纏めて元の生地を練るのは出来なくはないな
「そんじゃ始めますか。エリュアス?かもーん」
「ん?妾の力が必要かのぅ?」
「うん、まずはこのバターがちょい固めのクリームになるくらい……大体部屋と同じ温度くらいまで頼むよ。エリュアスが頑張ってくれればクッキーの量が増えます」
「「「頑張れエリュアス!」」」
待機組はクッキーの量が増える事を期待して応援体制だ。まぁ既に行動しているのも居るのだが……
キッチンに立っているディールは薄力粉やココアパウダー等粉を篩ってくれているのですぐにクッキー作りに移行出来るが……粉の量が多くない?
「知ってますよ?実は私が粉の量を増やせばクッキーの量が増えるんですよね?」
これ下手したら晩御飯もクッキーになりそうだなぁ……
「流石に多すぎたら皆食べきれるか分からないけどn「「「「「食べられるに決まってる!」」」」」そうですか……」
あのギラついた眼はマジっぽいな。なら篩った分クッキー作るか
「よし、混ぜるぞ!」
ボウルに薄力粉と砂糖、バターを入れて混ぜる。そしてある程度混ぜたら今度は卵も投入して混ぜる。量が量なので結構パワーが要るな……
こねこねしながらある程度生地が出来てきたのでボウルを分ける。ここからは味を付けていく
「はい、こねるだけだから皆も手伝って?自分の分の味を付けてね。あ、シルエッタはラングドシャだからちょっとだけ待ってね?」
生地を4等分して皆に渡す。その間にシルエッタのラングドシャ生地を作ろう
「む?クロトは自分の分を作らないのか?」
「シルエッタの分も作ってあげたいのと、皆クッキーの独り占めはしないだろうなって信用してるからね」
「わ、わかったぞ!」
軽くクッキー全部食べるなよ?と伝える。しっかり目を見てお話したのでヴァイスはしっかりと分かったようだ
「よし、それじゃあこっちも作るぞ」
「わーい」
ラングドシャは卵の卵白の方を使うので他のクッキーと同じ生地では作れない。だから別の生地を作るのだ
「そっちはこねたら後でコレを入れると良いよ」
そういってバニラエッセンスを渡す
「これは?」
「香り付けの物だよ?嗅いでみな?」
バニラエッセンスの蓋を開けて嗅がせてみる
「おぉ、甘い匂いだ!これは確かに良い香りだな?これだけ良い匂いなら味も良さそうだ。どれ一口……」
「あっ、止めといた方が……」
「ん?うわっ!苦いぞ!?」
香り付けなだけでアレかなり苦いんだよなぁ。昔同じ様な事をしてあの時はバニラアイスでさえちょっと……ってなった時期も少しだけあった
「とりあえず香り付けだけって事は分かった?」
「ゲホッゲホッ、あぁこれは確かに匂いだけだな……」
ヴァイスがエッセンス地獄に嵌まっている最中もしっかりと作業は進めている(バターが少なかったので)溶かしたマーガリンと砂糖、薄力粉と卵白を入れて混ぜ混ぜ、他のクッキー生地と比べるとかなりとろとろな生地だ。一応香り付けのバニラエッセンスはこっちにも入れておく
これで全てのクッキー生地が完成した
「ではこれをクッキーにする為にはまずクッキーの形に切っていくね?」
今回は特に型抜きクッキーという訳では無いので太巻きの様な形状の生地を切っていくスタイルだ
「相変わらず凄まじい手際だ……」
「見えない、でも、クッキーの、形が、出来てる」
「私にも出来ない事をやってのける!そこにしびれる憧れるゥ!」
「クッキーがいっぱいあるのー!」
「これを妾が一気に……夢いっぱい……いや、クッキーいっぱいなのじゃ!」
机いっぱいに並んだ様々なクッキーがオーブンを使わずに一気に焼き上がる。そんな光景を思い浮かべると俺もワクワクしてきた
「「「「「包丁が速くなった!」」」」」




