野良猫デュエット
野良猫同盟とクロガネが戦っていた頃
「アルタイルただいま帰投しました」「ただまー」「戻りましたぁ」「き、帰投しました」
北一支部に4人の魔法少女が帰投していた。
「お帰りなさい、4人で上手く連携出来たかしら?」
御門支部長が4人に問いかける。
「はい、連携は上手くいったんですが……」
アルタイルの歯切れが悪い。
「何かあったの?」
「クロガネが出た!」
デネブの口からまさかの名前が飛び出した。
魔装少女クロガネ、つい最近現れた謎の魔法少女。まだ彼女の姿を見た訳では無いが報告書から上がった情報だけでもかなり異質だ。
「クロガネが出たの!?でどうなったの!?」
私も彼女が気になるのでデネブに詰め寄ってしまう。
「助けてもらいました」
スカーレットが代わりに答える。
「助けてもらった?って事は彼女が魔物を倒したの?」
「4人で10体倒したんですが、最後に大きな個体が私達を押しつぶそうとした時にクロガネが一撃でその個体を倒しました。」
4人で10体倒したのも凄いが、大きな個体を一撃……
「魔装少女クロガネ……いったい何者なの?」
「あっ写真撮ってあるぜ?」
へっ?今何て言った?
「ほらこれ」
そして差し出されるスマホを覗くとそこに映るは灰色の髪に顔にダークグレーのバイザーを付け、上下ともに面積の小さい服。そして左の巨腕と右の巨大な銃身。
足まではスマホに映ってはいなかった。
「これが……クロガネ?」
前にもらった報告と若干相違があるが、初めてその姿を見ることが出来た。
「前に会った時と若干変わっていましたが私達を守ってくれました」
形が変わった事は私にもよく分からないが、守ってくれたという事は敵対はしていないという事だろう。
「ちゃんと謝れたのかしら?」
「はい!気にしてないと言っていました!」
それは良かった。アルタイルも気にしていたから解決してなによりだ。
「あのぉ?ちょっといいですかぁ?」
ベガから質問が飛んでくる。
「魔石の使い道ってぇ、魔力回復以外に有るんですかぁ?」
魔石の使い道は魔法少女だと魔力回復や能力のコストとして使ったりだが……
「一応研究してるけど魔法少女には魔力回復か技のコストとして使うくらいかしら」
「そぉですかぁ」
何やら悩んでいる様だ。
「それがどうかしたの?」
「クロガネちゃんがぁ魔石の使い道は色々あるってぇ言ってたんですよねぇ」
クロガネは魔石を回復やコスト以外に使っているのか?
「益々クロガネの事が分からなくなった様な気がするわ」
彼女が前に会った時と変わっていたとはまさか魔石を使用して変化を齎したのか?
「でも、あの人は悪い感じはしませんでした!」
スカーレットはクロガネに対して良い人と思った様だ。
「まぁ貴女達を守ってくれたんだから良い人なのかもしれないわね。」
「クロガネは戦場で会ったら手伝ってやるって言ってたからな!アイツは良い奴だよ!」
野良でやっていくのに支部の子達を手助けする……駄目だ目的が分からない。
「クロガネと仲良くやっていけそうなら大丈夫かしら?でも聞けば聞く程ウチの支部で保護したいわね。」
正直ここに有る情報だけでもクロガネはウチに欲しい。
「アイツどっかに所属する気無いって言ってたぞ?」
一人で行動しているのか?
「もしかしてクロガネは独りぼっちなのかしら……?」
私がボソッと言った一言に周りの4人が反応した。
「そんな!?」「アイツが一人?」「独りぼっち……」「可哀想です……」
しまった、彼女達にいらぬ誤解を。
「かもしれないってだけでそうだって決まった訳じゃないわよ?」
「クロガネ……」
アルタイルが心配そうに呟いていた。
「決めた!アイツはウチに来るべきだ!私はアイツのスカウト頑張る!」
デネブがそう宣言した
「そうねぇあの子だけは危なそうだもんねぇ」「クロガネさんも仲間です!」
ベガもスカーレットも乗り気だ
「クロガネは支部で保護する……私はそれを諦めない。良いですよね?支部長?」
ダメだ、こうなってしまっては聞く耳は持たない。だが、私もクロガネが一人ぼっちだと思ってしまったから口から洩れたのだ。
「ええ!クロガネの保護は任せるわ、ただし無理やりは駄目だからね!」
無理やり入れても彼女はすぐ出ていってしまうだろう。そんな気がする
だからこそ彼女がずっと居たいと思える様に自分から入りたいと思ってもらわなければならない。