タクティカル・ナイト
「撃てなくなった、弾切れ?」
シルエッタが撃っていた拳銃は弾切れになったらしく、腕のモニターには拳銃に赤い円に射線が入ったマークが付いている。うん、明らかに使えないって感じですね
「そうみたいだね、シルエッタ協力ありがとう。で、ディール?これ離れて使える武装はいくつ出せるんだい?」
(ちょっと待って下さい……えーと、離れて使えるのは10個までですね)
「形は?」
(形は問いません)
「ひゅ~、やるねぇ?」
その気になればセントリーガンを10台出したり出来るんだろう?かなり良いじゃん?
「これ、どうするの?」
シルエッタが弾切れになった拳銃を持ってこっちにやってきた
「あぁそっか、これはほっとけば消えるのか?それとも回収が必要?」
(放置すると消えますけど出来れば回収したいですね。回収しないと凄いお腹減っちゃう気がします)
自分のエネルギーを使って武装を作る。作り過ぎるとお腹が減るのか……ってあれ?もしかしてお腹が減るってディールだけじゃないのか?ひょっとして俺も?
「なぁディール?お腹が減るってディールだけ?」
(あっ!多分クロガネになってる全員ですね!)
はい、回収しまーす。掌にシルエッタから拳銃を受け取るとその拳銃が装甲と触れる同時に拳銃が装甲に戻った
(まぁ撃った弾の分は消耗するでしょうけど、それは大して多くは無いですかね?武器が消滅した時は結構持っていかれるかもしれません)
ですよね~要は出した物の質量が多ければより多くの魔力を使うって事なんだろう。まぁこれはそんなに使わないかな?
「あ、ちょっと気になってたんだけど大きな物も作る事が出来るんだよね?」
(一応は出来ますね?何を作るつもりですか?)
俺だって男だ。そしてこの見た目に大きな物を作れるとなれば……
「俺自身を巨大化して戦う事も出来るのか?」
巨大ロボットに乗る(なる)事は果たして可能なのか?
(多分想像してる程巨大化はオススメしませんよ?そんな事をしたら多分3分間戦えるかも怪しいレベルですが……)
機動する戦士レベルのサイズで3分戦えないとなると結構厳しいな……いや、そんな敵そうそう居ないんだけどな?
「巨大化は無理かぁ」
(3mくらいなら出来ますよ?)
「出来るの!?」
18mまでは行かなくても自分が3mくらいまで大きくなれるってワクワクするじゃん?
(やってみますか?)
「おう!頼むよ!」
バレー選手やバスケ選手よりも遥かにデカい3mのサイズ。その新世界へいざ!
グググっと体が無理矢理引き延ばされる感覚。若干痛いと感じたが、自分のサイズが3mになった時に元から自分がその体だと思う位自然に感じる。おぉこの視線の高さ!素晴らしい!
「この力、素晴らしい!」
ドーピングした悪役みたいなセリフが口から出た。絶対負けるわ。いや、魔物には負けるつもりねーけど
(ふっふっふ!ではこいつも使ってみよう!)
マッドサイエンティスト風な不敵な笑いをしながら何かするらしいディール。ノリノリで俺に何するつもりなんですかねぇ?
「で、これは何?」
体に光のラインが駆け巡る。すると装甲がガコンッと音を立てて外れる
(今までのは言わばディフェ~ンシブな姿!そしてこれはオフェ~ンシブな姿!)
ノリノリで語るディール。装甲が外れると中から現れたのはブースターを装備した機動力を重視した装備。だけどブースターとか何処に仕舞ってたんだ?
(どうですか!この美しいフォルム!)
「これ?背中のブースターとかどうやって出したの?」
(あ、作りました)
それ別にディフェ~ンシブとかオフェ~ンシブ関係無いんじゃないですかねぇ?
(じゃあ試しに前に進んでみてくださいよ?)
言われて1歩進んでみる
「ん?進んだけど何もないぞ?」
(後ろ見てください)
クルっと後ろをふりかえって見るとシルエッタがビックリした表情で20mは後ろに居た
「ん?1歩で速く移動するのは割とクロガネじゃ普通だと思うんだけど?」
(クロトさん?ここは何処ですか?)
「何処って森……あれ?何で木にぶつかってないんだ?」
そう、森の中で20m適当に進んだはずなのに木にぶつかっていない。いや?何か違う?
(この姿は体そのものが武器です!突進するだけで十分ですよ!)
ここは森の中、自分の居る位置から20m後方に居るシルエッタの姿がはっきり見える。否、20mの間の木がごっそり無くなっている
「もしかして、1歩軽く進んだだけでここの木が消し飛んだの?」
(はい!)
訂正、これオフェ~ンシブじゃ無くてデ~ンジャラスな姿なんじゃないか?